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第4話

 ブラッドリーは仕事らしい。ここ最近、公爵家に滞在していたが、歯の浮くような台詞と共に去っていくが。


「フィリス。あの男、怪しくないかしら?」


 メイドのフィリスを呼び、意見を聞いてみる事に。


「確かに怪しいですね。それに浮気の証拠が全く出てこないのも、何かありますかね?」

「そうね……」


 フローラは頷き、浮気の証拠が全く出てこない事にも違和感が拭えない。まさか誰かが証拠を隠蔽している?


 ふと、閃いた。ブラッドリーの愛人に、浮気をネタに脅している存在がいる?


 前世で読んだ「毒妻探偵」も脅しが事件のキーになっていた。


「あり得ない話じゃないですよ!」


 フィリスは大騒ぎしていたが、黙っていられない。改めてマムの周辺の人間関係を洗い出したが、この女、相当周囲に恨まれていた。仕事関係、実家関係もアンチしかいない。いわゆるカスハラもし、出禁になった飲食店も多数らしい。


 再びマムの尾行を開始したが、案の定、彼女は脅されていた。相手はゴシップ誌の記者で、マムに恨みがあったらしい。浮気の証拠も公爵家に出入りする洗濯婦を通して得ていた。決定的な浮気の証拠が出ないわけだ。


「という事であなた。これが不貞の証拠一覧ですわ」


 愛人の手紙だけでなく、貢いだお金の流れが記録された裏帳簿を見つけた時は、呆れたものだが。


 書斎でブラッドリーに対峙し、不貞の証拠を見せ、詰めていたが、なぜか相手はふっと吹き出し、嫌味な笑みを見せる。


「お前は、おもしれー女だな」


 その声色は低め。いつものような浮ついた台詞とどうも違う。


「浮気の証拠を自力で見つけ、あろう事が俺に見せつけてくるとは、面白い。おもしれー女だ」


 といっても前世のWEB小説「毒妻探偵」の記憶を使って調査したまでだが? 


 なぜかブラッドリーのツボに入ってしまったらしい。


「お前は俺の事だけ見てればいいよ」


 ブラッドリーはフローラを壁まで追い詰め、ドンと叩く。


「愛人調査を自力でする女など、最高に面白い」


 ブラッドリーの吐息が漏れていた。


 ◇◇◇


「っていうWEB小説を書いたんだけど、響子ちゃん、どう思う?」


 川瀬文花は親戚の佐川響子に対面し、詰めた。響子の口元は引き攣る。響子はWEB小説も読まされるが、サレ妻公爵夫人が離婚する為に浮気探偵になるものの、イケメン夫にデロデロ溺愛されるという展開に、どうコメントしていいかわからない。


 しかもなぜか自分が転生前の主人公になっているのも、不可解だ。


「え、ええ。ゆ、夢があっていいですね?」


 そうコメントする事しかできないが、文花の夫は作家。小説の芸の肥やしで浮気もしているような男だが、おそらくこのWEB小説は実話でもあるのだろう。特に不倫夫が言葉だけ達者な部分はフィクションっぽくない。


 改めて文花の闇の深さに顔が引き攣るが、この小説の溺愛パートはお腹いっぱい。


「やっぱり殺人事件が起きたリアルを小説にしましょうよ」

「そうね、響子ちゃん。溺愛パートは夢小説過ぎて飽きてきたところだったのよね。ええ、この話の続き、書きますか? っていうか夫に書かせてもいいわね?」


 サレ公爵夫人転生〜離婚したいのに、なぜか夫の愛人調査でバッドエンド回避〜to be continued

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