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第2話

 サレ公爵夫人フローラ・アガターの中身は佐川響子なのだ。「毒妻探偵」というWEB小説の世界に転生してしまったらしいが、このままだと夫に浮気されて、殺人事件にも巻き込まれ、バッドエンド確定。


 という事で公爵家の屋敷を動き回り、夫の浮気の証拠などを探っていたが、ものの見事に何も出てこない。メイドのフィリスにも協力してもらったが、証拠はゼロ。


 ちなみにこの国では男の不貞に甘く、女のそれには厳しいらしい。よっぽどの証拠を見つけないと。


 そして探偵にも依頼した。メイドのフィリスの親がたまたま探偵だったが、全く目ぼしい証拠が上がってこない。


「奥さん、公爵さまは相当、狡猾ですよ!」


 田舎出身で礼儀作法が雑なフィリスはさわぎ立てるが、やはり自力で不貞の証拠を見つけないとならないらしい。


 そういえば前世で読んでいた「毒妻探偵」では、ボロをまとって変装し、愛人調査に向かうシーンがあった事を思い出す。確か作中ではフィリスも連れていた。探偵の尾行は複数人でやった方がバレにくいらしい。


 という事でフローラは変装し、フィリスとともに尾行を始めた。


 すぐに夫の姿は見失ってしまったものだが、愛人と密会している別荘の居場所を確定し、潜入調査を始めた。


 どうやら相手の女は恋愛カウンセラーらしい。名前はマム。別荘にもマムの書籍や髪も残されていた。


「やりましたよ、奥さん! これで不貞の証拠を見つけました!」


 フィリスはニコニコと証拠を採取し、公爵家に持ち帰っていたが、はたして髪の毛なんて証拠になるのだろうか。前世の記憶では髪の毛は大した証拠じゃなかったはず。


 思わず考え込むフローラ。公爵家の書斎でうんうんと唸っていたが、マムとは仕事で会っていたと主張されたら、言い返せない。


「奥さん、大丈夫です?」


 そこにフィリスが紅茶を持ってやってきた。


 二人で紅茶を飲んでいると、リラックスしてくるものだが、突然、フィリスはポンと手を叩く。何か閃いたらしい。


「奥さん、ほんとに公爵さまは浮気していると思います?」

「どういうことよ、フィリス」


 中身は佐川響子だが、フローラとして生きてきた記憶もある。ついついフローラ風のきつい口調も出てしまったが。


「ここまで浮気の証拠が出てこないとなると、公爵さま、潔白なのでは!?」


 まさか。しかし探偵でも証拠が見つけられない案件。まさか……?

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