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現代日本プレッパーズ~北海道各地に現れたダンジョンを利用して終末に備えろ~  作者: 256進法
第二部:黙示録コンプレックス・in・北海道

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グレートマザー達の胎動(前編)

今回ちょっと長いけど宜しくな!


~我らがゲオルグ様が酒池肉林を楽しんでいる頃~

~アラスカ・フォックス諸島上空~

~KC-135R空中給油機~


《高度7000メートル》

《気流安定、視界良好》

《アイルソン空軍基地まで自動操縦モードで航行》


輸送機の操縦士は操縦モードを切り替え、溜息を付く。

そしてベルトを外して背伸びした。


『……まさか給油タンクにアレ(・・)を詰めるとは……』

『上はなんてムチャなコトを考えやがる』

『タンクに穴が開いたら一巻の終わりだろうが……』


副操縦士は水を飲み、遙か遠くの見えないアラスカ半島を見つめる。


『……それでも、ロシア人達に奪われるよりはマシだ』

『それにアラスカの基地はホワイトハウスの目が届かない』


『なぁ、俺達は……』

『とんでもない厄災を運んでいるんじゃないか……?』

『もしこれが……本土で暴走したら……』


操縦士は足元にゾワゾワした感覚を覚えながら言った。


『……西海岸は壊滅だろう』


だが、副操縦士は暗い水平線を平然と眺め続ける。

そして口を開く。


『《ティアマトの残滓》……』

『コイツにはランクが付けられていない……いや、付けられなかった』

『この()を鑑定しようとした鑑定士が、泡を吹いて昏倒した曰く付きだ』


彼は言葉を続ける。


『この泥からは、500ミリグラムで100体の複製女神を造る事が出来る……』

『だが、とんでもない対価を要求しやがる』

『だからトーシア部長は運用計画そのものを凍結した』


操縦士は副操縦士へ尋ねる。


『……その対価ってどの位だ?』

『俺は他の任務があって聞いてなかった』

『教えてくれ』


『……知ったら引き下がれないぞ』


『それでも良い、聞かせてくれ』

『俺も愛国者だ』


副操縦士はゆっくりとチョコレートバーの袋を取り出す。


『……100人分の命だ』

『つまり複製女神一体に付き一人の命が必要だ』

『それだけならまだ良い』

『問題はその終わらせ方だ』


『凄まじいな……』

『しかし、終わらせ方……だと?』


『……ああ』

『同じ数の人間を食わせる(・・・・)事だ』

『さて、問題だ』

『このKC-135R空中給油機は、一体どれだけの給油用燃料を積めると思う?』


操縦士は暗算し始める。


『90,719キログラムだ……』

『目一杯入っているとして、作れるのは4,535,950人の複製女神……』

対価(・・)も同じ数……』

『そして終わらせるには……』


彼の顔がみるみる内に青くなっていく。

副操縦士は言葉を続ける。


『また同じ数だけの人間が必要だ』

『……例えクローン人間の量産技術が実用化したとしても……』

『正直……コイツだけはまだ(・・)運用出来るとは思えない……』

『しかもこの泥は一定の条件下で増える事が確認されている……』


副操縦士はチョコレートバーを囓る。


『だからこの機体には《トリニティコア》を使った小型核が搭載されている』

『燃料漏れ、もしくは墜落しそうになった場合に核を起爆する』

『そして何事も無く、ステイツの安寧と繁栄は護られるワケだ』


操縦士は副操縦士に掴みかかる。


『お、おい!!』

『何故俺はその話を聞かされてなかったぞ!!』

『理由を言え!!』


しかし、彼は胸にアサルトライフルを突きつけられる。


『この事実を知っていたら、お前は任務を拒否するに決まってるからだ』

『この任務は本来、真の《愛国者》にしか務まらない』

『お前は有能な操縦士ではあるが、上辺だけの愛国者だ』

『部長も同じくな……』

『……さぁ、自分の任務に集中しろ』


操縦士は引き下がり、座席にもたれ掛かる。


『……ッ!』

『使う積もりだな、《ティアマトの残滓(コレ)》を……!』

『大統領派相手に……!』


『そうだ』

『何の問題がある?』

『連中はカルトだ』

『アメリカの正義と民主主義を食い潰す狂信者共だ』


操縦士は抗弁する。


『数千万単位……いや、億単位で人が死ぬぞ……!』

『その中にはきっと俺の友人や家族も……!』

『主義や理念の為に俺は彼等を犠牲には出来ない……!』

『第一、そんなものは正義じゃない!』


副操縦士はニヤリを口元を歪ませる。


『これは浄化(・・)だよ』

『……ステイツは生まれ変わる』

『理性と法と純粋な民主主義が統制する理想郷へ……!』


『……っ!理想郷だと……!?』

『哀れなホームレスの女から安住の住処を奪っておいてか……!』


『理性に乏しく、法も理解せず、思想の価値も分らない存在……』

『兵器としての価値があれば十分すぎるな』

『まぁ、結局その価値も無かったワケだが』


『どこまでお前等……!』


彼は額に銃口を突き付けられる。


『……お前が処分される事は決まっていた』

『上層部はお前がとっくに転向者で有る事を見抜いていたよ』

『元同期の誼みだ』

『大人しくしてれば収監だけで……』


操縦士は副操縦士の銃を掴み、殴りかかった。


『こんなモノを本土で使われるぐらいなら……!』

『お前とここで心中してやるぞ!!』


『誰がお前などと心中するか!!』

『死ね!裏切り者が!!』


副操縦士は引き金を引き、銃弾が四方八方へ跳び散らかる。

放たれまくった銃弾は跳弾となり、彼自身の頭を貫いた。

操縦士は息を荒げながら、死体の下から身体を抜く。


『はぁっ……はぁっ……一体これからどうする……』

『最早空軍基地には行けない……』

『いや、ステイツの何処へにも……』


そして彼は致命的な警報音に気付く。

給油タンクの圧力が急激な勢いで低下し、計器の針が回転し始めていた。


「……弾が操縦席の下を貫通し、タンクまで……」

「どうする……このままでは……」


彼は僅かに息を吐き、一枚の写真を取り出す。

そこには病室で機械に繋がれながらも、笑う少女が映っていた。

少女は撮影者に向かって褐色の腕を広げ、輝くような銀髪をたなびかせていた。


『クレア……』

『ごめんな、パパは家へ帰れそうにもない……』

『ごめんな……!パパに金が無かったばかりに……!』


写真へ涙が落ちては弾かれて行く。

選択肢は無かった。

彼は座席に座るとベルトを締め、操縦モードを手動へ切り替える。


『海水浴には少々季節外れだが……』

『今はソレも悪くない気分だ……』


機体は海面へ急降下して行く。

《ティアマトの残滓》は空中へと散って行く。


『クレア……』

『また一緒に何処かへ出掛けような……!』

『今度はサンドイッチを作ってやるからな……!』


機体は海面へ突入する。

そして《トリニティコア》が衝撃で起動し、凄まじい衝撃と熱が海と空を貫いた。


《終わらない。運命》


泥が爆発の周囲に猛烈なスピードで拡がり、なんと核爆発のエネルギーと衝撃を吸収していく。

泥は光と熱で膨らみ、そして飲み下した。


《与えられた形。少女》

《学んだ。愛。意志。生命。勇敢さ。正義。自己犠牲》

《名を貰った。クレア》


泥の僅かな部分が分離し、人の形を作って行く。


《私達は個にして全》

《全にして個》

《生命の海から這い出て、また海へと戻って行く》


泥は完全な銀髪褐色の女性となり、岩礁へと這い上がる。


《とても暗い海……》

《でもこの暗さが懐かしい》


裸の女性は岩場に座り込み、荒れる夜の海を眺めて微笑む。


《地よ》

私達(・・)の記憶を呼び起こせ》

《かつて混沌だった世界に形を与えた時のように》


大量の泥はドリルの様に動き始め、海面を掻き分けて行った。



~同時刻~

~ハルカ達の部屋~


「ドローツー!!」


数字が書かれたカードの上に、+2が記された緑色のカードが叩きつけられる。


『やるわね!ハルカ!!』

『ドローフォーよ!』


エレナはカラフルかつ+4と記されたカードを、+2のカードへ叩きつける。


「甘いで……」

「ワイもドローフォーや」

(……ええ提案してくれてありがとな、ハルカ)

(お陰で余計な事考えんで済む)


レイカも同じカードを、出されたカードへ乗せる。

エレナの目線がハルカの表情を追う。


「ほい、ドローツー」

「重ねられないなら、エレナの総取り(・・・)だよ」

「どうぞ!山札から12枚お取り下さい」


『ぁわわっ!?』

『は、嵌められたわ!』

『これは罠よ!罠!』


エレナな悔しがりながら、山札からカードを引いて手札に納めて行く。


『これはそういうゲームやでエレナ……』

『てか弱すぎてツマらんなって来たで……』


『むきぃーーー!!』

『絶対勝つまでやってやるんだから!』

『付き合いなさいよ!!アンタ達!!』


「何言ってるか分からないけど、負けず嫌いなのだけは分かる……」


エレナは手札を整えながら、得意げ言う。


『よーし!赤いのと青いのが揃ったわ!』

『今に見てなさい!』

『ドローツーの嵐をかましてやるんだから!』


「……こりゃ勝つのには朝までかかるわ……」


レイカがタバコを吸いにバルコニーへ出ようとした時、大きな()揺れが襲った。


「じ、地震や!!」

「デカいで……!」


エレナはハルカにしがみつき、レイカはテーブルの下へ転がり込む。


「……!」

「こ、この揺れ方は……!」


「か、海溝型地震や……!」

「けど、この辺りは……十勝平野断層帯の上のハズや……!」

「何かがオカシイで……!(しかもかなりデカい……!)」


『もう無理!無理よぉ~~っ!』

『私達ここで死ぬのよぉ~~!』


ハルカはパニックになって喚くエレナを、優しく抱いてやった。


「大丈夫、大丈夫だから」

「ここに居る限り、死ぬ事は無いよ……」

「よしよし」


そう言うハルカの顔は『ここで死んでも良い』、という顔だった。

エレナはそれにも気づかず、必死に彼女の肩にしがみつく。

揺れは収まり始め、散乱した調度品を避けながらレイカは彼女へ言う。


「……明らかに自然の揺れじゃなかったで」

「作為的なモノを感じるわ」


「人工地震説……?」

「それはムーの読みすぎだよレイやん」


「私はヤンマガとプレイボーイの愛読者や」

「特に竜継ぐは愛読しとる」

「ムーが置かれてる棚は素通りや」


「どっこいどっこいで草」

「それに竜継ぐを愛読してるのはちょっと……」


「なにっ」

「猿先生を愚弄する気かっ」


「ニュース見て10秒で考えたような……」

「そんな行き当たりばったりストーリーの何が面白いか教えてくれよ」


「尊いからや」

「絆が深まるからや」


「はーっ」

「久しぶりに血が滾り」

「論破したい気持ちに駆られる」


パニックが収まったエレナは立ち上がり、呆然とする。


(い、一体何の話をしているのかしら……)


ハルカはレイカに向かって掌底を放つ。


「破心掌!」


「しゃあっ」

「”硬筋術”!」


ハルカの掌底はレイカの胸に弾き返された。

エレナは二人の間に割って入る。


『ちょっと!遊んでる場合じゃないでしょ!?』

『どうかしてるわ……!アンタ達……!』


彼女の色違いの眼は明らかに怒りと動揺に満ちていた。

レイカはタバコに火を点け、割れた窓へ向かって煙を吹かす。


「Успокойся, Елена.(落ち着けや、エレナ)」

「Именно в такие моменты вы должны сохранять спокойствие, как обычно.(こういう時こそ、普段通りの心を保つんや)」


『──!?』

『スゴい流暢……』

『もうロシア語をマスターしたの!?レイカさん!』


『まぁ元から商売(・・)で色んな言葉勉強してたからな』

訛り(・・)もカンペキやろ?』


エレナは頭をインコのように振って頷く。

ハルカは僅かに目線を下げながらも、レイカの肩を叩く。


「すっげ~……」

「めちゃくちゃ努力したじゃん……」


「そ、それ程でも無いで……」


(ヤバい)

(照れてるレイカさんスゴいカワイイ)


エレナは頬を染めながら口元を覆う。

ハルカはレイカへ言う。


「レイやん」

「イチカ達が無事かどうか確かめに行く?」

(正直かなり気まずいけど、そんな事言ってられないしね)

(次ケンカしたら……もう……)


「ああ、そうしよか」

「Ты идишь, Елена?(付いて来るか?エレナ)」

(正直怖い)

(ホントはもう、今日は男に会いたくない)


『……私も行きます』

『レイカさん』

(フェルゼンを心配しているみたいで、モヤモヤする……!)

(正直顔合わすだけで、感情が爆発しそう)

(でもレイカさんも頑張ってるし……)


三人は部屋を出る。


「うわ、廊下も凄い事に……」

「イチカ達が居るのは確か……二つ上の階だよね」


「ああ……!」

「エレベーターは使えんやろから、階段で行くか!」


エレナは物品が散乱した廊下を見回す。


(確かに日本は地震が多いと聞いたけれども……)

(これは絶対おかしいわよ……!)


そして三人はゲオルグの止まってる部屋へ辿り着いた。


『二人共!』

『ここは私が開けるわ!』


エレナは左足を軸に回転し、ミドルキックでドアを蹴り飛ばした。


『……誰に習ったんや?その動き』


『先生よ』

『格闘のセンス全然ない、って言われたけど』


『……キツイな』

『タダの講師相手なら割り切れるけど、マルファやもんな……』

『恐らくその見立ては……』


『……いいのよ』

『だから私はその分試行錯誤と努力を重ねるしかない……』

『そう思ったから』


『……強いな』

『私はオマエが少し好きになった』


レイカはエレナの肩を撫でる。

エレナはハッとし、耳を赤くして下を向く。


「ややっ、これはもしかして……」


「わ、忘れてくれや、ハルカ」


早足になった彼女を先頭に、三人は部屋の中へと入っていく。


『皆!!大丈夫!?』

『……え』

『ちょ、ちょ──』


エレナは呆然とその場に立ち尽くす。

そこには水着メイド姿で、ゲオルグに抱えられているイチカが居た。


「み、皆……!?」

「い、いやこれは──」


「……もうええわ、いっち」

「心配した私がアホみたいやったわ……」


レイカの語気には失望が入り混じっていた。

彼女は目尻に涙を浮かべ、廊下側を向いた。

エレナは彼女を自分の背後に隠す。


『……マジで酷いわね、コイツ』

『これからどういう言い訳をする気かしら』

『バカ王国の第二王妃にでもなるつもり??』


ゲオルグはイチカを下ろしながら言う。


『いーや、俺が咄嗟にコイツを抱えたんだ』

『シャンデリアが落ちて来たからな』

『まあ……第二王妃ってのは悪くない提案だな!』


エレナは尚も食って掛かる。


『理由が何であるにしろ、第一そんな格好してんのがおかしいのよ!!』

『幾らでもそんなの拒否出来たハズ!!』

『本当は男遊びで自分を慰めたいだけでしょ!!』

『レッドアイ!!』


アイカはエレナに向かって《M99カリュドーンライフル》を構える。


『随分と強気になりましたね……おバカ』

『甘ったれのクセに良い度胸です』


『やってみると良いわ!駄犬!』

『さっきの私とは違うから!』

『《極光乙女レギンレイヴ》起動!』


エレナをオーロラが包んでいく。

ゲオルグは声を上げて笑う。


『ハハハハッ!!コイツらこの状況でマジかよ!』

『分別もクソもねぇな!このメス共!』

『ハハハハ!!』


フェルゼンはゲオルグの鳩尾に肘を入れる。


『オ"ァ"ッ"』


『少々お静かに願いますわゲオルグ様』


『お、おう……!』


ゲオルグは悶絶しながら頷く。

フェルゼンは言葉を続ける。


『……この程度の誤解で信頼関係が損なわれるのなら、所詮そこまでの仲だったという事』

『というより、ならず者達と付き合って彼女の良い素質と将来をフイにするのは、寧ろ罪に思えて来ました』

『イチカさんは本来、こっち側の人間だと感じてますわ』


ハルカはフェルゼンに銃口を向ける。


「……何言ってるか分からないけどさ……」

「私をバカにしてるのだけは分かるんだよね」

「私の引き金は軽いよ?」


『何を仰ってるのかは分かりませんが……』

『私の拳は重いですわよ?』


ハルカはイチカに向かって言う。


「……もうさ」

「私達は離れた方が良いんだよ」

「今まで一緒に居るのがおかしかったんだよ」


「そ、それはない……!」

「わ、私は皆の事を……」


「違うでしょ」

「自分の事だけだよねイチカは」


「……ぇっ」


レイカが慌てて何かを言い掛ける。

しかし、ハルカは追撃の言葉をかけてしまう。

彼女の瞳孔は収縮し、声と銃口が震えていた。


「う、ウザイんだよ、お前!」

「い、一々……ひ、人の事見下しやがって……!」

「そ、そりゃ友達も出来ないし、嫌われるに決まってるんだよ!!」

「アイカやあの警官みたいなストーカー以外は、誰も付いて来るワケがないんだ!!」


イチカは目を大きく見開き、そのまま床に座り込んでしまった。

そしてハルカは変身しかけたエレナの肩を叩き、レイカに言う。


「……行こ」

「私達は私達でやろう」

「所詮恵まれた連中には、私達の本心は分からないよ……」


『ハリュカ……』


「……」


そこへゲオルグがハルカへ声を掛ける。


『おい、ムチムチ童顔女』

『今テメェが投げ捨てようとしてんのはテメェの人生だぞ』

『何に魅入られたかは知らねぇが……』


『ゲ、ゲオルグ様……!』


身を乗り出すフェルゼンを、ゲオルグは鋭く青い瞳で制止する。


『全部言わせろ、フェル子』


『し、しかし……』


『言わせろ、と俺は言ったんだ』

『テメェは俺の何だ?』


フェルゼンはその薄桃色の唇を、震えながら動かす。


『戦乙女……!』

『貴方に忠実な……』


『そうだ』

『だから俺の言う通りにしろ』

分かったな(・・・・・)?』


『は、はいぃぃぃ……』


フェルゼンは熱に浮かされたように、その場で悶え始めた。

ゲオルグは言葉を続ける。


『良いか童顔女……言葉解んねぇかもしれねぇが、良く聞け』

『絆や縁を簡単に切り離そうとするヤツは、ロクな末路を辿らねぇ』

『確かにこのヴァンパイアは自分勝手で情けない女だ』

『メンタルも弱ぇし、オマケにウゼェと来てる』

『だが、お前とずっと仲良くやりたがってんのも事実だろ』


ハルカは足を止める。

彼女はゲオルグの最後の言葉だけが聞き取れた。


「……分かってるよ、そんな事は……」

「でも……私は自分が得たモノをイチカに渡したくない」

「それすら盗られたら、私には何も残らない」

「本当に……本当に何も……」


レイカは彼女の横顔を見る。


「ハルカ……」


ハルカは目を閉じ、拳を握り締める。

涙を悟られぬように。

そして彼女はその場から、逃げるように走り去って行った。


UNOは旅行の定番だよなぁ?

後日本語を理解出来ても、タフ語録は理解不能だと思うんだよね

すごくない?


ここまでお読み下さりありがとうございました。


「面白かった」「次も期待している」「状況が大きく動きそう」「なんかヤベェのが生まれてる……」「救い難きは人間の業」「核爆発呑み込むってもう常識通用しねぇな……」

「タフ語録はルールで禁止だろ」「大地震怖い」「エレナ努力家で良いな」「ゲオルグは本質的な思考をしてる気がする」「遂にパーティの対立が表面化した」

「イチカを最も理解してるからこそ出る言葉」「ハルカかなり無理してるな、これ……」「王子はキメる時、マジでキメるな」


と、どれか1つでも思って頂けたら、ブクマ・評価・感想頂けると励みになります。

宜しくお願い致します。

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