ワガママギャルキューレ襲来(後編)
プリキュア☆ギロチンチョーク!❤️
と言うワケで、ホームステイの受け入れ宜しくね❤️
レイカは粉々になった窓の先を覗く。
「あーあー……」
「もう無茶苦茶やんけ……」
「……ん?」
庭の美しいオブジェと化したエレナの横に、作業着を着た女の職人が呆然と立ち尽くしていた。
「おーオマエが例の職人か」
「見るからにいっちゃんと相性悪そうなタイプやな」
「ワイはレイカ。気軽にレイやんと呼んでくれや☆」
「ヴッ(気絶)」
女職人は胸を抱えて仰向けに倒れた。
「オイオイ、救急車なんか呼べへんで」
レイカは女大工を抱え起こす。
以下、大工フィルター起動。
「大丈夫か?病院行くか?」
(訳:ワイが付きっ切りで面倒見たるから、ワイの腕の中で寝とけや)
「まぁ意識はありそうやな、暫く部屋で横になっとき」
(訳:ベッドで目ェ閉じて横になってろや、優しくイカせたるから)
大工フィルター停止。
フィルターの交換期限が迫っております。
大工はレイカに抱えられ、家に連れ込まれる。
「色気付いてんじゃねーよ、クソ大工」
「私の家で盛ったらブッ殺すからな」
「そこ!言葉遣い!」
「私の後継者となるからには、女子力の向上は急務よ!」
「はいはい、すいませんでしたわ」
「『はい』は一回!」
「もう……!こんなカッコカワイイ顔しているのに……❤️」
「ぷんぷん!」
いつの間にかマルファはイチカに膝枕していた。
「ぅわキッツ……」
「ってうぉぉ~~ぃ!?」
「何してくれやがってんですかぁ~~!?このクソ×××××~~!」
「全く野良犬がうるさいわねぇ……」
「プリキュア☆グラデニェッツバースト!」
「あっ、今度は壁が吹き飛んだ」
「もうイチから作り直した方が良いんじゃない?要塞」
「余計なお世話d……」
マルファはイチカの額を撫でながらニコニコしている!
「……です」
「えらい!❤️」
ハルカは頭から地面に埋まっていたエレナを引き抜く。
(超気難しい生き物なのに扱い上手いなぁ……)
(でもこれぐらいが良いのかも……)
『ナイスよ!タヌキ!』
『エレナポイント10点追加!』
攻撃を回避したアイカが、屋根の上からエレナに向かって言う。
『そのポイント貯めたら何かくれるんですかね』
『私から褒め言葉を貰える権利をあげるわ!』
『このxxxxxが、ピーッでピーッしますよ』
『可愛い顔して怖い!レッドアイより遥かに攻撃的だわ!この狂犬!』
エレナは立ち上がり、銀色のサイドテールに付いた土を落とす。
『そ、それで先生……』
『私にハナシがあるってヴァヴィロフから聞いてるんだけど』
『ええ』
『ちょっとの間、ホームステイして貰おうと思って❤️』
『ドコに?』
『オランダ?スイス?』
『ああ、アルプスのスキー場でバカンス、ってのも悪くないわ!』
『ココ❤️』
『北海道??』
『だからココよ、イーチカの家よ』
『へ?へ??へ???』
『正気で言ってるの?先生』
『大統領の許可も取ってるから』
『アレクセイには無断だけど』
『あり得ないわ!』
『モデルの仕事もあるのよ!?来週にはイスタンブールのファッションショーに出なきゃいけないのよ!?』
『それがこんな汚い中古の民家でホームステイ!?床にバイブやローターが転がってるこの環境で!?』
『言いたい放題だなこの銀髪ギャル』
『まぁ事実なんだけどさ……』
『大統領は激おこぷんぷん通り越して、アナタのバカさ加減に呆れていたわ』
『ヤストレブが大学教授に見えるレベルだって仰ってたもの』
『ヤストレブよりもバカなの!?私!?』
『ああ見えて彼は空軍将校よ。学力に関してはアナタと比較にならないわ』
『そもそも自国の首都と政権与党の名前間違えるとか、あり得ないでしょう』
『ジーカだってちゃんと答えられるわよ』
『バ、バカにしないでくれる!?』
『知ってるわよそれぐらい!』
『あ、あの時はワザと間違えただけよ!そう、場を和ませる為のジョークだったの!』
『じゃあ答えて』
『正しく回答出来たらホームステイはナシにしてあげる』
『間違えたら即決定ね❤️』
『よーし見てなさい!華麗にホームステイを回避して魅せるわ!』
『……ロシア連邦首都の名前はキエフ!』
『政権与党の名前は国家社会主義ナントカ党!』
『『あっ……』』
マルファはスッと立ち上がるとエレナの頭を押し下げて首を抱え、エレナの前腰を軽く蹴って固めに入った。
「プリキュア☆ギロチンチョーク!❤️」
「と言うワケで、ホームステイの受け入れ宜しくね❤️」
『あ"あ"あ"あああっ!ギブ!ギブ!ギブアップだから!』
『ごめんなさいぃぃぃ!!』
「……オイ、こんなの面倒見切れないぞ……」
「タダでさえ、今そんな気分じゃないのに……」
「歩く爆弾じゃねぇかコイツ……」
「ちゃんと報酬は出すから❤️」
エレナはマルファの完璧な極めにより、フッと気絶した。
「……幾らだ?」
「そうねぇ、500万って所かしら」
「期間は二か月よ❤️」
「相当買ってるんだな、このパープリンを」
「……で。具体的には何をしてやれば良いんだ?」
「好きにして良いわ」
「勉強を教えるも良し、ダンジョンに潜るも良し、畑を耕させるも良し、一緒に街へ出るも良し……」
「アナタの裁量に任せるわ、イーチカ」
(…コレはいっちゃんの成長を促す為でもあるな)
(この銀髪ビリギャルを如何に扱い、育てるか)
(今はたった四人の仲良しグループやが、将来どうなるか分からんしな……)
「……分かった」
「エレナを受け入れる」
「ただ、命の保証は出来ないからな……特に今の状況だと……」
「心配無用よ」
「エレナも探索者。その辺りは心得ている……ハズよ❤️」
「何ですかその間はァ!」
そしてマルファはイチカの隣に座って言う。
「アーデルハイドに付いてなんだけど」
「……聞くよ」
「……ありがと❤️」
「彼女はきっとこの北海道で大戦を起こす」
「それに彼女の《堕天使原理》は、既に第三段階の《覚醒》状態まで到達してる」
「……何だ《覚醒》って」
「ダンジョンアイテムと使用者の精神が完璧に同調している状態よ」
「ランクが高い程それに至るのは困難を極めるわ」
「《堕天使原理》のランクは恐らく特A。アーデルハイドは現状、誰よりもアイテムの力を世界に及ぼせるの」
「……アイテムに関してはアンタを超えてるのか、あのゴスロリナチは」
「ええ。癪だけれどね。しかも精神操作系という最悪の部類に属する能力アイテムよ」
「ポーランドとチェコ、そしてドイツやオーストリアの一部地域においては彼女を公然と支援し始めているの。リトアニアとデンマークはコレに追随する形を取っているわ」
「これはアイテムの力によって極右政党に政権を奪取させ、更に議会運営も支部を使って裏からコントロールしている。少なくともGRUの第7局と第13局はそう見ているの」
「……第13局なんて聞いた事ないが」
「詳しくは言えないけれど、昨今の状況変化を踏まえて新設されたの」
「これで察して頂戴な」
「……大方の事情は理解できたよ」
「軍属じゃないエレナを戦場で戦わせてる場合じゃない、という事でもあるのか」
「それにアーデルハイド達に捕まったら、ヤバい事態へ発展する事情がある」
「……流石ね。イーチカ」
「メンタルは落ち込んでても、頭脳は冷えてる」
「エレナの母親はドイツの名門貴族出身なのよ。彼女はハーフなの」
「──」
「似てるのよ、彼女とアナタの出自は」
「だから……この子をお願い」
「きっと、きっと……仲良く出来るわ」
マルファはイチカの手に自分の手を添えて、彼女の赤い眼を真剣に覗き込みながら柔らかな熱を伝える。
「……分かった。面倒をしっかり見るよ」
「2か月後にはちょっとだらしなくなってるかもしれないけど……」
「ありがとう、イーチカ」
「本当に、本当に愛しているわ」
マルファはイチカへ熱く抱擁してキスすると、歯軋りするアイカの横を通り過ぎて去って行った。
魔法(肉体言語)
魔法の(ように人が居なくなる)国
魔(法少)女
今更大魔法峠思い出した
もう一回視てみるか……
アレも内容が大概だった気がする
エレナ、ソレはやべーよ幾ら何でも……
そりゃあの男も笑うしかないってカンジです。
と、いうワケでおバカヴァルキュリアのイチカ家ホームステイ開始です。
そして、次回は高っちゃんの伝説が更新されます。
乞うご期待。
ここまでお読み下さりありがとうございました。
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