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アラフォーミニスカメイド報酬タイム(前編)

お帰りなさいませ、お嬢様達❤️

報酬のお時間でございますわ❤️



~翌日・昼~

~富良野市・富良野西岳ダンジョン~

~老人の山小屋~


「……結構物が多いですね」

「イチカさん、何回か取りに行っても良いですか?」


「良いよ」

「どうせ暫く何も無さそうだし(願望)」


その時、荷物を持ったハルカが足を踏み外す。


「おぅわっふっ!?」


哀れ、床が抜け、たぬきの室内吹き抜けオブジェが完成した。


「んもー運動神経ゼロやな、このタヌキ」

「それか太りすぎか」


レイカはたぬきを抱え、床から引き抜く。


「重っ」


「き、気のせいじゃない?」


アイカがキレながらたぬきの余り切った腹肉を摘まむ。


「良くもお爺さんの家を……」

「今日はタヌキ鍋ですかね……?」

「なんなんですかぁ?この肉はぁ……」


「ヘルプミー!イチカ!」

「食われるぅ~~!」


「こらこらアイカ、ダメだぞ❤️」

「このタヌキは絶滅危惧種だからな」


イチカはアイカの頭を撫でて言う。


「イチカさんがそう言うのなら、食べるのは今度にしておきます❤️」

「ん……?床の下に何か……」


アイカは床下に南京錠の付いた木箱を見つける。

レイカは屈みこんで、床下を覗く。


「……あのジイさん、アイカに遺産を残したな」

「しかし、何が入っとるんや」


「取り敢えず回収しようぜ」

「お手柄だぞ、先生」

「ご褒美にメニューのジョギングを倍にしてやる」


「それご褒美じゃないんだけどぉ!」


イチカは床下に降り、長い木箱を回収する。


「……結構重量あるな」

「何が入ってんだ、これ」


「開けてみてのお楽しみやな」

「ちなみにゲームの福袋は買わんようにしてる」


「なんで?」


「一度クソゲーの詰まった福袋買ってしもうてな」


「その気持ちメッチャ分かる」

「でも『三国志Ⅶ』に出会えたのは感謝してる」


「いっちゃん、シブい系が好みなんか……?」


「いや、全般的にSLGとか作業ゲー好きなんだよ……っと!」

「『Farming Simulator』シリーズとか」


「あんなん息抜きの代わりに仕事しているようなモンやんけ」

「いっちゃんは休むのヘタやな」


「良く言われる」


「言われたらダメなんやで、いっちゃん」

「ホンマ心配なるで」


レイカは刀を抜いて南京錠を斬り落とし、箱のフタを開ける。


「……狙撃銃やな」

「しかし、エラいえげつない意匠やんけ」


そこにはオレンジ色の幾何学模様が入った、まるで獰猛な動物を感じさせるような雰囲気を放つ、黒色の狙撃銃が収められていた。


「……ダンジョンアイテムだな」

「……判る。そして、この銃は主人を待っていた」

「名前は《M99カリュドーンライフル》。名前以上に獰猛で血に飢えた獣だ」


「……一体誰をご指名で?」


「そりゃ一人しか居ないだろ、先生」

「アイカ。コイツはお前が使え」

「爺さんの形見だと思えば、抵抗無いだろ」


「……分かりました」

「これが……形見……」


アイカは銃を持ち上げ、大切そうに抱く。

そして、彼女は箱の隣にノートの束を見つける。


「これは……」


イチカがノートを一冊取り上げ、ページをパラパラと捲る。


「狩猟や解体のノウハウや情報を、爺さんなりに纏めたモノだろうな」

「すげぇ……金には代えられないレベルの情報ばかりだ……」

「和弓での実践的な狩猟技術なんて、ほぼ失伝してるも同然だからな、スゴいぞこれは……!」


「これ、どれくらいスゴいの?イチカ」


「博物館が建つレベルだな。即刻、重要無形文化財の認定が降りるぐらいか」

「正直そこらのダンジョンアイテムなんかより、遥かに価値が高い」

「お前の責任……結構重いぜ、アイカ」


「はい……!」


「良し、後は爺さんの墓拝んで帰ろうか」


アイカはライフルを握りしめ、強く頷いた。

レイカはタバコを吹かしながら言う。


「……やっぱええ景色やわ、ここ」


一行は小屋を離れ、墓がある場所まで来る。

4人は石が積まれた墓の前で手を合わせる。


「……何だろうな、短いけど滅茶苦茶濃い二日間だったな」

「まぁ何とか無事に生きて帰ってこれたし、上々か」

「さ、帰ろうか」


「はい!」

「うん!」

「おう!」


4人は墓を後にし、山を下りて行った。


~数時間後~

~国道~


「……あいつ等アメリカの傭兵か」

「皆ボロボロでやつれとる。《魔女》に負けて逃げて来たか」


「うわ、あの人手がない……!」

「これもう戦争じゃん……」


「……何時の世も敗者は哀れだな」

「ただ、この光景がSNSで拡散されたら、全世界の米軍がヤバいかもな」

「しっかし、アメリカ人が弱くなったのかマルファが強かったのか……」


「両方でしょうね」

「地獄の地上戦を戦い抜き勝利したロシア人と、久しく同等以上の相手と戦って来なかったアメリカ人……」

「どちらが勝つかは自明の理でしょう」


「まさかアメリカ人が一方的に負けるとはな……」

「いっちゃん、本当に関わり続けてええんか?あの魔女と……」

「余りに容赦無さすぎるであのオバハン。見てみ、アメリカ人と一緒に避難民まで逃げて来とる」


イチカはアメリカ人の傭兵に抱えられている、傷だらけの子供を一瞥(いちべつ)して言う。


「……もう一回話してからだな、判断するのは」

「プロ相手だけなら兎も角、避難民まで巻き込む作戦を断行した理由が、私には理解出来ない」

「それだけは絶対に聞き出す」


「……回答によっては関係を切るの?イチカ」

「……ムリだよ、それは」


「……何故そう思う?」


「あの女性(ひと)はイチカに物凄く執着してる」

「それこそ、この国なんか滅ぼしても構わないぐらいに」

「その執着を無理やり突き放そうとしたら、逆にとんでもない事になると思うよ……」


アイカが弾倉へ弾を入れつつ言う。


「その心配はご無用ですよ、おっぱいタヌキ」

「いざという時は私が命に代えても《魔女》を殺しますから」


「ハッキリ言うてお前でもムリや。探索者の中で不動の王者……もとい女帝やからなあのオバハンは」

「いっちゃんはその女帝の寵愛と盲愛を一身に受けてもうた」

「今は余計な事は考えん方がええで。女帝を殺す前にその軍隊に殺されるわ」


「むぅ……」


「……あの魔女とは付き合い方考えんと、もっととんでもない事に巻き込まれそうやな」

「どうにかして危険なフラグを折ってくしかないか……」

「というワケで、セクハラタイム開始や。今から《いっちゃん1週間独占権》を行使するで!」


「何が、『というワケで』なんですか?」

「魔女の前に身内を殺さねばならなくなりました」


レイカはアイカの殺気に構わず、後ろから助手席のイチカへ手を伸ばし、後ろからFカップおっぱいを鷲掴みにした。


「ひゃっ!?」


「うぉーー!最高や、このおっぱい!!」

「指が沈み込むクセに、深い場所で跳ね返して来よる!!」

「匠の技やぁ~~!うひゃひゃぁ~~!それにしてもカワイイ声出しよんなぁ~~えぇ~~?」


「ちょっ、ちょっと!なんで抵抗しないんですか!?イチカさん!!」


「わ、私はレイカさんに買われたから……」

「抵抗したら、もっとスケベなコトされちゃう……!」


「そういうコトや、狂犬」

「ホラ、しっしっ。お子様はもうオナって寝る時間や」


「アルハラ、パワハラ、セクハラの三拍子そろった瞬間初めて見た」

「スゲェぜ、レイやん。完全に昭和のオヤジだよ」


「令和最先端のトレンディガールやで、ワイはぁ~~!」

「ワハハハハ!」


「セクハラアラサー女がトレンドとはたまげたなぁ」

「アイカも私のおっぱい揉む?」

「アイカは私のおっぱい好きなんだよね~~?」


「こ、この……このおっぱいタヌキ!!」

「……うぉりゃ!!」


「この遠慮ない揉み方!」

「間違い無くおっぱいスキーだね!」


そして、アイカはハルカの乳首を摘まむ。


「おぉぅ!?」


ハルカはハンドルを切り間違え、危うく崖から転落しそうになる。


「お、おい!何ヤッってんや!タヌキ!」

「折角無事に生きて帰れたのに、ここでお陀仏とかシャレにならんで!」


「ドエロスキー汁発車しまぁあぁす!!」


~更に数十分後~

~イチカハウス(仮)~


「ふぃ~~……ただいまただいま」

「レイやん、今日は泊ってく?」


ハルカは後ろに居るセクハラ大阪女へ言った。


「おう、当然やろ(モミモミ)」

「まず風呂や風呂」

「全身に泡付けて背中流して貰おうか~~?ワハハハハーー!」


「くっ、殺せ……!」


「おう、天国までイカしたるからなぁ~~!」

「最高や、今日は!」

「たぬきぃ~~!酒や酒ぇ~~!」


「ふーっ、ふーっ、……ぐるるるる……」


「うわぁ、アイカがヤバい事に……」

「今日はさっさと自室戻って寝ようかな……」

「しかし!その前に!」


ハルカはリュックからコンビニの袋を取り出す。


「今日はお楽しみスイーツタイム!」

「仕事の後のシュークリームとショートケーキと、あんころ餅、そしてミルクレープは絶品だぁ~~!」

「そして酒!飲まずにはいられないッ!」


彼女はリビングのドアを勢い良く開けた。


「お帰りなさいませ、お嬢様達❤️」

「報酬のお時間でございますわ❤️」


そこには執事の格好をして四つん這いになっているヴァヴィロフと、ミニスカメイドの格好をし、ヴァヴィロフを椅子代わりにしているマルファが居た。


「……うーん、皆ごめん。家の住所を間違えたかも」

「ちょっと特殊なイメクラに迷い込んだみたい」


ハルカはドアを閉めようとする。


「萌え萌えきゅん!❤️」


マルファの凄まじい力により、ドアは無理矢理開かれた。


「うわぁ……前もスゴかったですけど、一層ヒドくなってますね……」


「あの世にいってらっしゃいませ、アイカお嬢様❤️(ジャキッ)」


そして、マルファとアイカは互いに銃を突きつけ合った。


「なんやコレ」

「悪夢か?」

「いっちゃん、今日は別のトコ行こうや。ここはマジでアカンわ」


「はい!1名様ご案内!(強制)❤️」


レイカは手首を引っ張られ、ソファーに向かって投げられた。


「マルファお前、何だその格好……」


「ミニスカメイドです!お嬢様!❤️きゅんっ❤️」


「お、おう……」

「てかやたらデカい執事も居るんだけど……」

「コンセプトどうなってんの??」


ヴァヴィロフが4人に向かって叫ぶ。


「椅子だ!今の私は執事じゃ無く椅子だ!」

「思う存分座って欲しい!お嬢様方!!」


「うわぁ……正真正銘の変態じゃねーか、コイツ……」

「勝手に変態を家に入れるの止めて貰って良いですか?」


ハルカは恐る恐る自分の椅子に座ろうとする。

しかし、それは直ぐさまヴァヴィロフに入れ替わった。


「うわぁっ!?」


「この初々しい反応……女王様に程遠いが、大きな可能性を感じる……」

「やはりシベリアは開拓してこそだ」


「ナニ言ってんだよコイツ……」


「良いぞ、その反応!その目!」

「それを待っていた!」


アイカはヴァヴィロフを一瞥して言う。


「……うわっ、気持ち悪い……」


「──その言葉、その軽蔑した目、その冷たい態度……実に最高だ」

「マルファ様に付いて来て正解だった……!」

「まさかこんな逸材に出会えるとは……!」


「無敵かコイツ」


マルファはヴァヴィロフの上に座り、足を組んで言う。


「実際ヴァヴィロフは無敵ですわ、お嬢様❤️」


「有難き幸せ!」


「あーもう滅茶苦茶だよ」

「次どんなヤツが来るか、逆に楽しみになってきたわ」


イチカはマルファと背中合わせにヴァヴィロフの上へ座り、タバコに火を点けようとする。

ヴァヴィロフは一層興奮した。


「お嬢様❤️おタバコはパーフェクトメイド★まるふぁの前では、厳禁ですわ❤️」


イチカは仕方無さそうにタバコを仕舞う。


「どっちが主人か分かんねーな、もうコレ……」

「まぁいいや。仕事(・・)、キッチリ終わらせて来たぞ」

「カネは?」


「あちらでございます、お嬢様❤️」


マルファはテーブルの方へ手を向ける。

そこには大きなアタッシュケースがあった。

アイカは用心深くケースを開ける。


「……すっげ……」

「初めてみたよ、こんなの……」


ハルカは大量の現金を食いつくように覗き込む。

レイカが立ち上がり、マルファに向かって言う。


「……連中が拠点にしていた麻薬工場で、PCとか書類とか仰山見つけて来たで」

「車の中に在るから査定してくれや」


マルファは指を鳴らす。

するとどこからともなく武装したロシア人Aが現れ、書類やPCを精査し行った。


キッッッツ……

最高だぜ。


お読みくださりありがとうございます。


「面白かった」「続きが気になる」「更新頑張れ!」

「爺さん本当に凄かったんだな……」「アイカのパワーアップイベント来た!」「レイやんが完全にセクハラ酔っ払いオヤジのソレ」「イチカやっぱ攻められると弱い」

「ハルカ、お前甘い物買い過ぎだ!」「変態を勝手に家に入れるな」「いや、そもそも勝手に人の家入るな」「うわ、キッッッツ……」「お、おう……」

「ヴァヴィロフが無敵過ぎる」「パーフェクトメイド★まるふぁ好き」


と一つでも思っていただけましたら、ブクマ・評価いただけると励みになります。

よろしくお願いいたします。

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