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現代日本プレッパーズ~北海道各地に現れたダンジョンを利用して終末に備えろ~  作者: 256進法
第一部:イカレた北の大地へようこそ

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最終女騎士アルマゲドン in 旭川(後編)

観賞用BGM:https://www.youtube.com/watch?v=RycVMzNnt0c&ab_channel=KeigoHoashi-Topic


~旭川市・北永山駅周辺~


『少将!!』

『報告があります!!』


『……手短に』

『今私はとても気が立ってるから』


『は、ハッ……!』


マルファは、氷漬けにした傭兵を蹴り倒して砕く。


『先程、ハバロフスクの極東軍管区司令部より緊急通信がありました!』

『青森の三沢基地から大型の機体が発進し、旭川に向かって直進していると……!』


『──!』


マルファは通信機を取り出し、チュグエフカ基地で待機しているある男へ連絡を掛ける。


『ヤストレブ大尉!!』

『三沢から《黒い鳥》が発進した!!今すぐ出撃し、これを撃滅なさい!!』


《了解!!》

《待っていた!!この瞬間(とき)を!!》


~ウラジオストク・チュグエフカ基地~


ブラックメタル色の逆足が鈍く光り、背部からオレンジ色の炎が噴出する。

射出カタパルトから整備員が離れ、機体は前傾姿勢を取る。


戦友(クレイエル)!!待っていろ!!》

《また戦場で会えるとは……俺達は運命の糸で結ばれているのかもしれないな!!》

《ハハハハハ!!また奏でようじゃないか、美しい(たたかい)を!!》


《《ケストレル》起動!!》

《目標!!戦友!!》


鋼鉄の隼は一気にレール上を加速し、宙に飛び立つ。


《加速!!》

《全進全力最大加速だ!!》


《ケストレル》は一気に加速し、あっという間にウラジオストクを離れていく。


《マッハ11、マッハ12、マッハ13……最高だ!!!》

《この身体の芯まで締め上げるかのようなG!!堪らないぞ!!》

《絶頂しそうだ!!だが戦友(クレイエル)に逢うまでは我慢だ!!ハハハハハ……!!》



~札幌市・北部方面総監部~


「北海道近海のEEZ(排他的経済水域)に向かって超高速で移動する物体を確認!!」

「大きさからして……ミサイルではありません!!航空機……いやこれは……!?」


「ダンジョンアイテムだ……!」

「しかもこのルート……旭川か!!」

「高射砲部隊に連絡を!!直ぐに迎撃を!!」


「目標物体はマッハ20で移動中!!」

「展開、間に合いません!!」


「い、一体何が向かって来ているというんだ……!?」



~旭川市上空~


エレナはギリギリでリヴァの攻撃を避け、背後を振り返る。

《アヴァロンカリバー》のビーム攻撃で背後の山が吹き飛び、半円状に抉れていた。


『……ッ!?』

『こんな馬鹿げた威力、先生(ウチーチェリ)の攻撃でも見た事が無いわ……!』


『素早い乙女、極光ユキウサギ』

『綺麗な夜空、遠くまで視える山』

『山、北、西、春、酒、笑顔、私も笑顔』


リヴァは落下しながら回転し、空中を蹴ってまたエレナに迫る。


『なっ、なんなのよぉ~~っ!?この女はぁ!!』

『《極光乙女レギンレイヴ》!!この女を撃ち落としなさい!!』


『レッド、レッド、グリーングリーン』

『スラッシュ、スラッシュ、セイバー』


エレナが放った極光のレーザーは、リヴァの《アヴァロンカリバー》によって真っ二つにされる。


『~~っ!?』

『ごっ、合流よ!!先生と合流!!』

『こっ、これは撤退じゃないんだから!!先生!皆!ごめんなさぁ~い!』


エレナは凄まじいスピードで、マルファの元へと飛び去って行く。


『チェイスチェイス、ヴァルキリー』

『野に花、草むらの蝶、街の公園、お揃いのマフラー』


リヴァは空中で向きを変えると、ミサイルのように宙を蹴り、ビルを粉砕しながら着地する。

彼女はエレナを追い掛けながら、地上を走り抜けて行く。


『構える構える、ライフル、ハンドガン、道に座っていただけ』

『当てられてライト、追われてパトカー、入れられて病院、つらいつらい、かなしい……』

『助けて助けて、誰か』


リヴァは涙を流しながら、射撃を浴びせてくるマルファの部下達をなます切りにしていく。

途中で歩兵戦闘車が出てきたが、彼女は駆け上がりながら車両を両断する。


『……!』

『……全員下がりなさい。私が相手するわ』


爆発に気付いたマルファは《魔勇剣グラデニエッツ》を抜き、向かってくるリヴァを遠くから見据えた。

爆炎の中からリヴァは飛び出し、マルファと目を合わせる。


『ウィッチ!!ウィッチ!!アイスアイスアイス!!』

『苦しみ苦しみ!嘆き嘆き!!絶望!!リベンジ!!』

『一緒に帰る!スプリングフィールド!ヘイリー!!』


『あらあら……可哀想、とは言わないわよ』

『私の部下を殺し、私に刃を向けたのだから』

『《盛装》、私を戦装束に飾りなさい』


マルファの服が変形し、彼女の肌へと格子状の隙間を作りながら所々穴が空き、スリットの入ったクラブウェア(※1)のように張り付いていく。


『ふふふ……私、綺麗でしょう?狂女騎士さん』

『これでも40超えてるのよ?』

『《盛装》が言っているわ……貴女の肉が欲しいと』


リヴァの《アヴァロンカリバー》とマルファの《魔勇剣グラデニエッツ》が激突し、凄まじい衝撃波が周囲に飛び渡る。

二人は鍔迫り合いを離し、まるで踊るように剣を重ねていく。



~旭川上空~


《巨大化した《魔女》の部下を確認》

《これから攻撃を開始する》


クレイエルは上空から彗星の如く、ロシア人の軍勢に向かって落下して行く。


《《レイヴンズマハト》ブースト全開。武装起動》

《レーザーブレード展開》


《指揮官!助力するよ!》

《《電子妖精ディープ・ダイブ》起動!!》


マルファの軍勢は同時に通信障害に襲われ、レーダーにも何も映らなくなる。

《レイヴンズマハト》は巨大化したヴァヴィロフの頭上から急降下し、タテに回転しながら斬り掛かる。


『おお……!いきなり切断プレイとは!!』

『やはり戦場は堪らない!!』


ヴァヴィロフは腕で回転斬りをガードし、火花の滝が流れ出した。


『──!』

『このタイミングしかない……!』

『《オリハルコンドーム》起動!』


地面から金属の棘が無数にせり出し、サボテンのトゲのよう飛ぶ。

棘はクヴォズジーカの放ったミサイルやロケット弾を、次々と迎撃しては撃墜する。


『流石ね、CIA(カンパニー)

『私を恐れないからには、恐れないだけの備えをして来ている』

『この狂女騎士といい、黒い鳥といい、その防衛アイテムといい……』


マルファはリヴァと斬り合いながら、笑い声を上げ始めた。


『ぅふふふふふ……!!』

『つまり!ここで勝てば!貴方達の全てを奪えるという事よ!!』

『あぁ……ナスターシャ見てて!!先生、死ぬ気で頑張るから!!』


リヴァは何かに感づき、一瞬でマルファから距離を取る。


『《バーバヤーガの盛装》二段階(・・・)起動……』

『《深き闇の魔女ヴェジィマ・グロボキィ・ティマ》』


マルファの足元から影が周囲に伸び、無数の黒い腕がリヴァへ向けて襲い掛かる。


『シャドーシャドー、ロングロング、アーム』

『聞く、聞く、アヴァロンカリバー』

『闇、闇、信念、覚悟、犠牲、魔女、愛、愛、愛、愛……』


リヴァは黒い腕を躱しながら跳び上がると、空中をバックステップで撤退していく。

黒い腕の群れはリヴァを追いつつ、市内の中心に向かって突入する。


『見てなさい、ナスターシャ』

『貴女を焼き殺した者の仲間達が、闇に握り潰されて死んでいく様を』



~旭川市内・神楽山~


『……!なんだあの黒い手は……』


エスティアは街を覆い尽くす、無数の闇を見て呟く。


『《魔女》だ。遂に本気を出したか……』

『最早戦線は保たないだろう……』


クエイドは市街地に向かって軽く十字を切る。


『……しかし、魔女が本気を出す程の手駒……こちらに残っていたとは思えないが……』


『……リヴァだ』


口と鼻と目から血を出し、横たわっていたヘイリーが呟いた。

二人が驚いて、ヘイリーの方を振り向く。


『理由は……分からねぇ……』

『だけど……アイツは生きている。そして、近くに居た……』

『そして、俺を捜し……逢いに来てくれた……』


『説明しろ!アル中男……!』

『リヴァは単なる人質だったんじゃないのか!?』


エスティアがヘイリーに詰め寄る。

ヘイリーは息も絶え絶えに答える。


『……リヴァはアメリカ最強の戦力であり、かつ秘密兵器だ……』

『俺なんかじゃ無い……』

『現場でこの事を知っているのは、俺とあのクソ眼鏡だけだ……』


クエイドがヘイリーを抱き起こす。


『リヴァが持っているのは《アヴァロンカリバー》……』

『《ソード・オブ・ミカエル》や、《至聖剣デュランダル》に劣らない……最高クラスの近接武器だ……』

『ただ、この剣は精神がマトモな人間には扱えない……ある被験者は、自分の首を自分で斬ったそうだ……』


『……リヴァは被験者になったのか』

『ただ、自分の意志では無い。そういう事か』


『……ああ』

『だが何で……よりによって……リヴァが……!』

『何でだ……!何故この世界はアイツを幸せにしない……!何故虐め抜く……!』


『ヘイリー……』


そして、ヘイリーはエスティアとクエイドの方へ目線を向けて言う。


『もう少しだけ、もう少しだけ撤退を待ってくれ……』

『リヴァは必ず……ここに居る俺に辿り着く……!』

『俺はアイツと一緒に、スプリングフィールドへ帰りたいんだ……!頼む……!』


『『……』』


クエイドはヘイリーの横に座り込み、エスティアはやれやれと言った感じでため息を付く。


『しょうがない、待ってやる』

『けど、私への借りは高く付くぞ?』


『……ハッ。ユダヤ人の鑑だな、エロ学者様』

『ただ……レッドネックの俺に、支払い能力なんざ期待してくれるなよ……?』


ヘイリーは時折市内で光る、黄金色のビームを嬉しそうに眺めた。


※1 スッゲェスケベで大胆な、キッツキツのドレス。マルファお姉さんがとんでもなく露出の多い格好をしています。最高だぜ。是非自信満々にススキノの街を歩いて欲しい。


まーた変態か。

ドMのお次は重力加速で興奮する変態です。

大尉は戦場の空で交わしたドッグファイトが、未だに忘れられないようです。


あと、リヴァさんの単騎特攻スゲェ……純粋な戦闘力で包囲網を突破しています。

突破力はナンバーワンですね。

やっぱり金髪女騎士は王道だなぁ


そして、非常に非常に重要な事ですが、マルファは40を超えています。

年増にはキツい格好をさせてこそ輝くんだ!

タマキン(玉木雄一郎)、アイツは本当の本当に良く分かっている……


お読みくださりありがとうございます。


「面白かった」「続きが気になる」「更新頑張れ!」

「リヴァさんの言葉から、お辛い過去が伝わって来る」「新手の変態だな、戦友!」「露出の多い格好もっとさせろ」「今日のマルファお姉さん怖い」「リヴァさんの勘が鋭すぎる」「マルファお姉さんが余りにも強い」「愛、愛、愛、愛」「ヘイリーいい男だな、そりゃ惚れられる」

と一つでも思っていただけましたら、ブクマ・評価いただけると励みになります。


よろしくお願いいたします。

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