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現代日本プレッパーズ~北海道各地に現れたダンジョンを利用して終末に備えろ~  作者: 256進法
第一部:イカレた北の大地へようこそ

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最終女騎士アルマゲドン in 旭川(前編)

会えない人に会いに行きたい

だから会えるまで走れる


~富良野市内・富良野ワイン工場周辺~


『……ッ!ここまでか……!』

『いや、ムハンマドの教えに背いた者としては妥当な末路だ……』


怪鳥アルクーフは藻掻きもせず、イチカの介錯を待つ。


『ムハンマドはヤクなんか使わなくても、ナチュラルで神と交信出来たからな』

『だからこそ、聖戦を完遂出来たんだよ』

『まぁ、教典に書いてある言葉になんざ、美しくても意味自体は無いけどな』


『……』


『どうする?フライドチキンになる前に、言い残す事はあるか?』


『……無いな』

『こうなる事をも含めての、聖戦(ジハード)だ』

『そして、麻薬工場は食品工場に偽装してある。破壊するかどうかは自由にしろ』


『……爺さんは?』


『……生きてはいるだろう』

『どこに潜んでいるかまでは、追いきれなかったが』


『そうか』

『……他には?』


『……工場の地下には、アメリカ人との取引である女を拘束してある』

『だが、拘束は絶対に外すな。死ぬ事になる』


『……パンドラの箱かよ』


『……だが、厄災も希望も詰まってない』

『箱に詰まっているのは底無しの狂気だけだ』


『……?』

『まぁ行けば分かるか。じゃあな、怪鳥』

『来世ではシンドバッドでも助けるんだな』


イチカが血の刃を振り抜こうとした、その瞬間だった。


『ねぇ、ヘイリーはどこ?』

『知ってますか?』

『黒い髪、赤い瞳、可愛い女の子』


斬られた男の首を両手に掴みながら、イチカの顔に女の顔が近づく。

アルクーフが叫ぶ。


『逃げろ!!女!!』

『ソイツが例の……』


金髪青目の女は首を手放すと、一瞬で姿を消す。


『《アヴァロンカリバー》起動』

『《夜は私の為に斬られるナイトスラッシュ・フォーミー》』


アルクーフの嘴から脚にかけて一瞬で輪切りにされ、血飛沫(ちしぶき)と共に吹き飛んでいく。

金髪の女はイチカの耳元で囁く。


『赤い瞳、赤い月、赤い羽』

『アナタは私の妹になりますか?愛と姉妹』

『ヘイリーはきっとアナタも愛します。優しい日々』


イチカは身動きする事も喋る事も出来ず、ただ言葉を流し込まれるしかなかった。

金髪の女はイチカの首元や下腹をさすり、頬と頬をくっつけて言う。


匂い(・・)、覚えました、記憶』

『マイシスター。アデュー』


金髪の女はその場で跳び立つと、宙を蹴って山向こうへと飛び去った。

イチカは思わずその場で腰を抜かす。


(なっ、何だったんだ、今のは……!?)

(ダメだ……!まだ声が出ない……!)


口をパクつかせるイチカに、防衛魔人(仮)は言う。


《……今のは『アヴァロンカリバー』》

《10回前の世界で全人類を斬り尽くした、狂剣よ》


(……!)

(キッカケは……?)


《『バッカスウォーク』の死を間近で見た事》

《……血が干からびるまで斬られた覚えがあるわ》

《思い出しただけでゾワゾワする……!》


へたり込むイチカの側に三人が駆け寄って来る。


「イチカさん!!」

「いっちゃん……!」

「イチカぁ~!!」


イチカは力を振り絞って口を開く。


「ゴメン。腰が抜けて立てないんだ」

「誰か肩貸して」


アイカとレイカが両側からイチカを抱え上げる。


「良かった、いっちゃん……!」

「倒せたんやな、あの鳥公!」

「メッチャカッコ良かったで!」


「流石はイチカさんです!」

「これでお仕事完了です!」

「無事でよかったぁ~~!」


ハルカはアルクーフの羽を拾い、地面に向かって振りながら言う。


「イチカ、この足跡誰の?」

「すんごい地面が捲れてるけど……」


「アヴァロンから来た金髪女騎士かな」


「サーヴァントかなにか?」

「問おう、貴方が私のマスターか?」


「たぬき召喚とか聖杯戦争秒で負けるわ」

「……この鳥にトドメを刺したのはその女騎士だよ」

「いきなりその鳥を殺して私をマイシスター認定した後、頬ずりしてセクハラして何処かに消えた」


「んぎぎぎぎ……一体何処の不届き者が……!」


歯軋りするアイカを余所に、レイカはしゃがんで足跡を確かめる。


「これは剣士の踏み込みや……」

「でも日本のとはちゃう、西洋のや……」

「どんなヤツやった?」


「乳上とサムスを二で割って、エヴァーガーデン混ぜたような感じ」


「ゲームのやり過ぎとアニメの見過ぎや、いっちゃん(ワイの土方はレベル120やけど)」

「ヘタすりゃ今の発言黒歴史確定やで」


「黒歴史は更新していくものだろ」

「『幕末恋華新選組 尽忠報国の士』」

「女性隊員になり切ってプレイしただろ、レイやん」


「ぁぐっ!?」

「や、やるな……流石はいっちゃん……!」


「へぇ~~レイカはそういうの好きなんだ~~!」

「やるねェ……」


「か、勘違いするなや!」

「ワイは新撰組がちょ~~っと好きなだけで……」


「沖田総司を前にしたら?」


「「目瞬(まばた)きするな!」」


「う~~ん……もうこれは手遅れだな……」

「ですがまぁ、これでお仕事完了!です!」

「つーワケで爺さん捜しに行くぞ!」


「「「おーー!」」」


イチカは腕を上げながら倒れそうになる。


「……ゴメン」

「その前に医者に連れてって。今アイテムの力で出血止めてるだけだから」


「なら闇医者に連れてったるわ」

「芦別に腕の良いスイス人の親子がおるんや」

「ハルちゃん!住所教えるから連れたってーや」


「お、おう!」

「レイやんは?」


「この狂犬とジイさん探すわ」

「そいで、ついでに麻薬工場捜してツブしとくか」

「いっちゃん。何か言ってなかったか、あの鳥」


「確か食品工場に偽装してるってさ」


「良し!ほな行こか!」

「大金までもう一踏ん張りやで!」

「仕事が終わったらパーッと焼肉行こうや!焼肉!」


「……大阪女」

「マズかったら承知しませんからね……!」


「アホか、店選びのセンスには自信あるわ」

「札幌の超一流店ジンギスカン、ガッツリ行くでぇ~~!」


「やった!久々の焼肉!焼肉!」

「頑張ってよかったぁ~~!」


「焼肉かぁ~~」

「一人で焼肉食べてたなぁ……」


ハルカはイチカの肩を支えながら言う。


「もう一人じゃないよ、イチカ」

「私もだけど!」


イチカはハルカに笑顔で返した。

その時、青い流星が満月の下を駆け抜ける。


「お!流れ星……!」

「願い事だ!願い事!」


「イチカさんに××××して#$&%出来ますように……!」


「朝起きたら大金とトッシーに囲まれていたいんや……!」


「ロベール君とレッツファック!」


「や、やっぱりコイツ等ロクでもねぇ……!」



~富良野市上空~


《レナ、電子戦支援を頼む》

《そろそろ旭川市内だ》


《了解!指揮官……!》


クレイエルの駆る《レイヴンズマハト》は、イチカ達の頭上を青い流星となって駆け抜けて行った。

イチカ達に願い事をされている事など知らずに。



~旭川市内・南端~


『……ヘイリーの匂いがする……!』

『やっと……やっと会える……!』


その時、流れミサイルが金髪女騎士に向かって飛んでくる。

彼女は切っ先を弾体に沿わせ、真っ二つにする。


『方向はあっち……?』

『ミサイルミサイル、ホワイトホワイト、ノースノースロケット、スウォームスウォーム』

『北のウサギ、何見て跳ねる?』


女騎士はビルの上を猛スピードで駆け抜け、跳び上がる。

一息付くエレナの目の前に、女騎士が突然現れて告げる。


『アナタはヘイリーの敵?敵??敵???』

『お月様見てレッドレッド、グリーングリーン、極光極光』


『いっ、いきなりなっ、なによアンタ!?』

『てか地上からここまで跳躍して来たの!?』


『私はリヴァ。ヘイリーの大切な恋人。たった一人の運命』

『大切な思い出、スプリングフィールド、橋の下』

『小さな部屋、手品、破れたカーテン、春の陽射し、砂糖入れなくても甘いコーヒー』


リヴァは黄金色に光る剣を振りかぶる。

剣が大きく発光し、得体の知れない粒子が集まっていく。


『《我が麗しき破滅の剣マイライフ・デストラクション》』


黄金色の巨大なビームがエレナに向かって放たれた。



リヴァさんは基本的に話が通じません。

完全にバグってます。

彼女の言動を理解出来るのはヘイリーだけです。


妹認定おめでとうイチカ。


そして、スプシ更新。

https://docs.google.com/spreadsheets/d/18yCj9B-CZEpJGIDICTLBSG4K3ASfzvPI7MeKN9sNjkY/edit?usp=sharing


お読みくださりありがとうございます。

「面白かった」「続きが気になる」「更新頑張れ!」

「やっぱ仲間とのやり取りいいなぁ」「北海道で焼肉と言えば!ジンギスカン!ビール!」「ロクでもない願い事ばかりで笑った」「リヴァさんヤバすぎ&怖すぎ」「会話通じない感、壊れてしまってる感が伝わって来る」「おつらい……」「次回が楽しみ」

と一つでも思っていただけましたら、ブクマ・評価いただけると励みになります。

よろしくお願いいたします。

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