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現代日本プレッパーズ~北海道各地に現れたダンジョンを利用して終末に備えろ~  作者: 256進法
第一部:イカレた北の大地へようこそ

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バーバ・ヤーガのお散歩(中編)

もう完全にFラン探索者チームじゃねぇか……!


観賞用BGM:https://www.youtube.com/watch?v=q6JDLlf2qeE&ab_channel=Underworld


~道央~

~富良野市内・富良野駅前~


「店も殆ど閉まってるし、人は見かけねーし……」

「と言う事で、私達は行き詰ってしまったワケよ」


「ふーん。今、崩壊スターレイルのイベントボス戦で忙しいから、丁度いいや」


イチカはハルカの両頬を摘まむ。


「ハルカくん!お仕事中だよ!」

「ソシャゲはやめようね!」


「ふぁい、ひゅみまふぇんでひた」


レイカは車にもたれ掛かりながら、夜の月を見て酒を呷る。


「いやぁ、美味いわぁ……金賞ボルドー……」


「レイやん!お仕事中だよ!」

「お酒はやめようね!」


「ひゅふぁん、いっひゃん」


イチカは頭を抱えてしゃがみ込む。


「ちくしょう、Fラン高校の学生よりヒドいぜコイツら……!」

「やっぱりアイカだけだよ、頼りになるのは……」


彼女は期待しながら車の中を覗き込む。


「あっ」

「これは……その……違うんです!」


アイカはイチカの替えのシャツを嗅ぎながら、致そうとしていた。


「……もう信頼出来るの自分だけだわ」

「どーすんべ、このダストアラサー共……チームで動くと想像以上にダストだった……!」

「もう完全にFラン探索者チームじゃねぇか……!」


「ムショの塀の上をフラフラと歩く探索チーム、ってのもアリじゃない?」

「ほら、多様性だよ、多様性」


「塀の上どころか、全員ガッツリ塀の奥チームだろうがよぉ……」

「あと多様性はそんな便利な言葉じゃねぇ」


「すまんこ」

「まんこ!まんこにゃ!」


イチカはまたしても、ハルカの両頬を摘まむ。


「今度は雀魂やってんのかぁ~~?えぇ~~っ!?」

「第一まんこじゃねぇ!ちんぽだ、ちんぽ!!」


「これが平均年齢28.5歳の会話か……?」

「教育の敗北を感じるわぁ……」


「敗北の見本が言うセリフじゃありませんね」


「お?やんのか?ワレ、狂犬女」

「銃の代わりにアレ(・・)咥えさせたるぞ」


「望む所ですよ」

「尻に刀差して踊らせてあげますから」


「たすけてマルファせんせい」

「イチカちゃん心労でしんじゃう」


「そう言って死んだヤツは居ない定期」

「お!ロンだ!ロン!ローン・パィーズリー!」


イチカはハルカを後ろから抱え、駅の花壇でバックドロップをかました。


「ぱとろなむっ!」


「しゃあっ!出たで!伝家の宝刀、バックドロップ!!」


イチカはさらにレイカを後ろから抱え、バックドロップをかます。


「ほわぃっ!」


「えーっと、次はまさか……」


彼女は靴と靴下を脱ぎ、靴下をアイカの鼻に押し付けた。


「あ"ぁ”ッ(昇天)」


そしてイチカはベンチに座り、タバコに火を点けて言う。


「ハイ。全員そこに整列アンド正座」

「キミ達は、この仕事の危険性を理解してないように見えます」


「え?でも失敗しても成功報酬の2割くれるって……」


「キミはバカかね?ハルカさんや」

「あの魔女のバ…お姉さんがそこまで甘いとお思いですか?」


((ババァって言い掛けたなコイツ))


「いやぁ~……優しいロシア人も居るんだなぁって思って……」

「ようつべがおすすめしてくるゆっくり動画はクソだ、ってはっきりわかんだね。リアル最高!お金が正義!」


「それ、口止め料アンド危険手当なんすよ」

「失敗してトンズラこいたら何処までも追い掛けて殺すからな、という意味合いも含まれております」

「後、それは先生が視てる動画が偏ってただけです。アルゴリズムに操られとりますなぁ」


「ヒェ~~ッ」


「いっちゃん先生、質問があるんやけど」


「ハイ、何でしょうか。そこの酒臭いアラサー女」

「ワンカップが手放せないお年頃ですか??」


「いっちゃん怒ってる……?」


「別に。ただ、全てを破壊してぇ気分だわ」

「目の前のダストアラサー共がしっかりしてくれないと、いっちゃん世界滅ぼしちゃうかもよ?」


「魔王かお前は」


「聖女を魔王にしてるのはキミ達なんだよ」


「自称聖女は草」


「ホラ、アレやろ。筋肉でメイス振り回して、敵の頭潰すタイプの聖女や」


「そろそろ本当に泣くぞ、マジで」

「なけなしの明るさ振り絞ってるんだからね?」

「ホントはよわよわなんだからね?イチカちゃん」


その時、巡回中のパトカーが彼女達の前に近づいて来る。


「イチカさん……ヤバいです」

「警察が来ます」


「おぉ、もう……」


パトカーから警官が二人降りて来て、イチカ達へ話しかけて来る。


「えーっと……アナタ達、ここで何をやっているんですか?」


「キラキラ投資女子の集いです(キッパリ)」

「こうやってお酒飲みながら米国株の動き見て、外の空気吸いながらお話してるんです~~」


「キラキラというよりはギラギラ……」

「おぅふ!」


イチカはハルカの脇腹を肘で付き、スマホの画面を女性警官に見せる。


「という事で失礼しますわ。おほほほ……」


「何故にお嬢様言葉を……」


彼女達は車へ退散しようとする。

だが、レイカの持っていた刀が警官の眼に止まる。


「ちょっ、ちょっと待って下さい!」

「その刀は何ですか!?」


「見れば判るやろ」

「スポーツチャンバラの道具や、道具」

「ワイら女子会終わった後はいつもスポーツチャンバラやんねん」


(レイやん、その言い訳は無理がありすぎるって!)


「では……ちょっと見せて頂けますか?」


「イヤや」

「つか、他人に触らせたくないねんコレ」


「何故ですか?」


「ワイがイヤやからや」

「それ以上の理由が必要か?」


「──!」


警官はレイカの《烈鬼剣兼定》を無理矢理掴もうとする。

しかし、イチカがその前に警官の手首を掴んで制止する。


「マジで斬られるぞ、アンタ」

「相手は剣鬼だ」


「……!公務執行妨害で……!」

「応援を!」


イチカは警官が無線を使う前に素早く肩へ組み付き、絞め落とした。

同時にアイカがもう一人の警官の頭を銃床で殴り、気絶させた。


「結局はこうなるのか……」

「私達は暴力しか使えない、悲しい生き物になってしまった……」


「元からなんだよなぁ」


その時、物陰に隠れた中東系の男達の姿が、イチカの目に留まる。


「……全員、戦闘準備だ」

「今の騒ぎでヤツ等(・・・)に見つかった。有利な場所まで移動するぞ」


「うぇっ!?マジ!?」


「しーっ……声がデケェ、ハルカ……」

「車で富良野ワイン工場へ向かうぞ」

「大人数を相手にするには駅前(ここ)じゃ分が悪い」


「……市役所は?」


「……まだ職員が残ってる可能性がある」

「巻き込めない」


イチカ達は車に乗り込み、富良野ワイン工場へ向かい始める。

イチカはバックミラーに映る4WD車の集団を見て呟く。


「……アイカ。後ろを頼む」

「チェイススタートだ」


「はい!」


「レイカ。ハルカ」

「アイカの援護を」


「「──了解!」」


イチカは一気にアクセルを踏み、空の国道をかっ飛ばし始める。


『気付かれたか!!追え!!追え!!』


アイカは追手の車両に対し、ルーフから身を乗り出して引き金を引く。

弾丸は運転手の額を正確にブチ抜き、車はガードレールの餌食となる。


(……なんちゅうウデしとるんや、この狂犬)

(こないなスピードであんな離れ取って、正確に運転手の額ブチ抜きおった)

(負けてられへんな、これは……!)


2台の車両が両脇から、イチカ達の乗るハイエースにぶつかってくる。

レイカは窓を開け、するりとルーフの上に出る。 


『──!!』

『態々屋根の上に出やがって!!バカが!!あの女を撃て!!』


追跡車の窓が開き、一斉にアサルトライフルの弾がレイカへ襲い掛かる。


「甘いわ、ダボ」

「血魂飲んでるワイは普通の人間とちゃうんやで」


レイカは眼にも止まらぬ速さで刀を抜くと、自分に迫り来る銃弾を全て斬り落とした。


「お返しくれてやるわ、カス共」

「願うこと あるワケないやろ 火取虫ひとりむし


刀が炎を纏い、彼女は追い縋る車両に対し、思いきり刀を振り抜く。

炎を纏った斬撃が、敵ごと車を真っ二つにする。


(──!)

(このヤケド女、強い……!)

(そしてそのアイテム……全く侮れませんね!)


「ヒュ~~ッ!やるぅ!二人とも!!」

「イチカ!車の窓ガラス代は後で弁償するから!!」


ハルカはトカレフの安全装置を外し、車内から敵の運転手に向かって構える。


「CoDシリーズで鍛えたウデ見せてやらぁ~~っ!」


ハルカのトカレフが、乾いた鋭い音を立てて窓ガラスをブチ抜き、敵の運転手の脳天を弾き飛ばした。


「やるじゃねぇか!!先生!!」

「私も負けてられねぇぜ!!」


イチカはハンドルを素早く捌き、ハイエースで追手の車両へ体当たりする。

追手の車両は橋ゲタに乗り上げ、富良野川に転落した。


「ダニエル・モラレース級のドライビングテクニックだよ、イチカ!」


「ははは!もっと褒めて!ハルカ!」


イチカは笑いながら更にアクセルを踏み込んだ。



~同時刻~

~旭川市と阿寒町の境~


『ファック!!止まらねぇぞあの水色の甲冑!!』

『ジャベリン持ってこい!!』


『お嬢様とマルファ様に同時に叱られながら踏まれたい!!』

『その欲望だけが今の私を動かしている!!』


ヴァヴィロフに向かって十字砲火が炸裂するが、彼は砲火をものともせず、敵の陣地へ突入していく。


『苦痛!苦痛!!苦痛!!!だがこの苦しさと痛みこそ私の快感!!』

『《エゴーリィの戦槌》!!もっと苦痛を蓄積しろ!!』


彼はアメリカ人の傭兵達を戦槌で叩き潰していく。


『クソッタレのロシア人(イワン)が!!』

『これでも喰らえ!!』


建物の陰に隠蔽されていた《M2ブラッドレー戦闘車両》の機関砲と、ジャベリン対戦車ミサイルがヴァヴィロフに向かって火を吹いた。


『なんとこれは……最高だッッ!!』

『いいぞ……!いいぞ!!アメリカ人(アメリカンスキー)!!』


ヴァヴィロフは隊列の先頭で、猛砲火の全てを受ける。


『やっとくたばったか!?あのイカレ野郎……!』


『ははははははは!!』

『絶好調だ!!私の快感を是非受け取って頂きたい!!アメリカ人(アメリカンスキー)!!』

『《解放(ブィプスカチ)》!!』


ヴァヴィロフの身体は甲冑と共に、凄まじい勢いで巨大化して行った。

彼は虫を踏み付けるように装甲車両を踏み潰し、石コロを蹴るように陣地を吹き飛ばしていく。


『もっと痛みを!!もっと責め苦を!!』


その時、ヴァヴィロフの視界を一筋の極光が引き裂いていく。


『エ、エレナ様!!』

『おお……!!もっと軽蔑した眼で私を!!』


《全く、こんな戦い早く終わらせて服と靴を買いに行きたいのに……!!》

《しかも変態(ヴァヴィロフ)と一緒に先陣だなんて!!恨むわよ、先生(ウチーチェリ)……!!》


エレナはエスティアが上空に張った、光の防御陣へと戦闘機以上のスピードで接近していく。

彼女は旭川市を覆う六芒星に対し、バルディッシュを翳した。


《《極光乙女レギンレイヴ》!!私の輝きでこの六芒星を打ち破りなさい!!》

気紛れの極光乙女ストランノヤ・ポラーリノヤ・シーヤニエ!!》


光と光がぶつかり合い、旭川の空は閃光と極光に焼き尽くされた。


お読みくださりありがとうございます。


「面白かった」「続きが気になる」「更新頑張れ!」「平均年齢28.5!?」

「女としても人間としても終わってやがる、このアラサー共……」「ちんぽ!ちんぽにゃ!」「アイカ流石」「レイやんの俳句カッコ良い」「ドエロスキー先生射撃上手いな!」「先陣が変態マゾ軍人とはたまげたなぁ」「エレナの戦闘もっと見たい」

と一つでも思っていただけましたら、ブクマ・評価いただけると励みになります。


よろしくお願いいたします。


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