出撃!アラサーダストクルセイダース
レイカ:「おい!これじゃポルナレフ役ワイやんけ!」
ハルカ:「じゃあ私、まさかの花京院!?」
イチカ・アイカ・レイカ:「「「ないない」」」
観賞用BGM:https://www.youtube.com/watch?v=xtxjm7ciwmc&ab_channel=Kino-Topic
~北海道~
~国道237号~
イチカ達が乗ったハイエースは、国道を北上していく。
「……」
「……」
車内は気まずい沈黙に包まれていた。
ハルカは思わずスマホを取り出し、地図を読むフリをしながらアイカとイチカの様子を伺う。
(ぅっわ~~……これは喋れない空気……!)
(アイカも俯いたままだし、イチカは怖い顔で無言だし!)
そして、10分ぐらい沈黙が流れ続ける。
アイカは上着を握り締めながら口を開く。
「……先ずは行方不明になった、協力者のお爺さんを探します……」
「……それがお前の答えか?」
「……はい」
「もしお前が『敵の殲滅で償う』と言い出したら、その場で放り出す所だった」
「お前のやらかしは私がカバーしてやる」
「ヤク畑を焼き払うのは協力者を探し当ててからだ」
「イチカさん……!」
「ごめんな、アイカ」
「厳しい事言って。だけど、今回の仕事はいわゆる非合法な裏仕事だ」
「無用な巻き添えを出さない事は、最後のラインなんだよ」
ハルカは窓を開け、大きく息を吸って吐く。
「あ~~……ホントにやめてよね、もう……」
「こんな気まずいの、コミケでモーゼになった時以来だよ……」
「海渡ってからがツラいからな、アレは」
「金色の牛フィギュアでも造ってみるか?」
「牛のようなおっぱいをしたフィギュアなら需要あるかな」
「あと馬のようなおちんち……」
「はいストップ」
「それ以上言うとモーゼがあの世から殴ってくるぞ」
「コワ~……」
そして、イチカはスマホをホルダーに入れ、ある人物へ電話を掛ける。
「捜索掛けるとすると、3人じゃ頭数足りねぇからな」
「ヘルプを呼ぶ事にした」
「ヘルプ……?」
アイカは首を傾げる。
ハルカは彼女へ言う。
「競馬場で知り合ったんだよ」
「戦力にはなるんじゃない?」
そして相手が出る。
《お!結構早かったなぁ、いっちゃん!》
《繁盛しとる証拠やなぁ!》
「『いっちゃん』ってなんだよ……」
「もう10年付き合ったぐらいの呼び方じゃん」
《?》
《そっちの方が呼びやすいやろ?》
「もういいよ、分かった分かった」
「で、依頼の内容なんだけど、行方不明者の捜索とヤク畑の焼却に協力して欲しいんだ」
《後者は分かるけど、前者はどういう事や?》
「こっちの不始末だ」
「だけど始末するには人手が足らない」
《そういう事か》
《ほな何処で合流する?》
「JR占冠駅前かな」
「今から3時間後で」
《りょーかい》
《で、報酬の取り分はどうする?》
「成功報酬で5000万。お前が2で私達が8だ」
《いっちゃんさぁ、それはアカンて》
《ワイが4でいっちゃんが6や》
《てか戦闘もあるやろ、コレ。人が悪いなぁ、いっちゃんは》
「やっぱり結構鋭いなぁレイやん。小狡いマネは出来ないか」
「お前が3.5で私達が6.5。それで良いだろ」
《言ってみるもんやな!》
《750万の儲けや!》
「商売上手いなぁレイやん」
「カタギの会社でも立ち上げてみるか?」
《ええ提案やが、まだ虎柄着たマダムになる気はないで》
《財界人やるのも結構面倒らしいし》
《まぁその時が来たら、一気に上り詰めて天下人やけどな!》
「大阪城にでも住む積もりか?」
《悪ぅない提案やな》
《でも先ず私は京都と多摩に、土方歳三博物館を造りたいんや》
「なんでぇ、五稜郭でも良いじゃん」
《そら死んだ場所なんて縁起悪いやろ》
「ヘンな所で常識的だよなぁ、お前」
《ならざるを得んのや……》
《高っちゃんは石狩川にネッシー狩りに行くとか言って、走って出掛けてったしな》
ハルカが思わず突っ込む。
「ネッシー!?」
「色々とツッコミたい所あるけどさ、まず湖だからアレ……」
《高っちゃんに取っては恐るべき事に、海も川も湖も大差無いんや》
《なんなら泳いで津軽海峡渡った事あるからな》
「……えーと……ダンジョンに潜った後だよね??」
「アイテム使ってるよね?」
《いや、2年前の話や》
《しかも冬》
「本当に人間!?」
「やっぱり最強クラスだよなー高っちゃん」
「惜しむらくは競争馬と一緒に走って追い抜いてしまう、そのお茶目さだが」
《そこが付いていきたくなる所なんやけどな!》
《分からんやろ~~?》
「「分からんって」」
《ま!ええわ!高っちゃんの良さはワイが分かって居ればええんや、アラサー処女共!》
《じゃあな~~三時間後!》
そして通話が切れた。
イチカが凄まじい目でスマホを凝視する。
「……何ですか、この女」
「馴れ馴れし過ぎませんか??」
「アイカも『いっちゃん』、って呼んでみたら?」
「よっ、呼べるワケねーでしょうが!!このおっぱいタヌキ!!」
イチカがニヤニヤしながら言う。
「偶にはアイカにも『いっちゃん』って呼んでみて欲しいなぁ~~」
「~~っ……!」
「いぅ、いっ、いっちゃん……!」
「はい!可愛いアイちゃんの『いっちゃん』頂きました!」
「やったぜ」
「もう皆さん嫌いです!!あーもう!!」
~三時間後~
~JR占冠駅前~
「お。居た居た」
「どう見てもカタギに見えないあの背の高い女が、レイカだ」
「裏社会の住人特有のオーラが、プンプン漂って来てますね」
ハイエースがレイカの前に停まる。
イチカはドアを開け、身を乗り出して言う。
「待った?」
「いいや、丁度良かったで」
「電車最後やったけど」
「で、その手に持っている袋には何が?」
「金賞ボルドーとツマミや」
「車の中で飲もうと思うて」
「レイやん、これから仕事って理解してる??」
「昭和なら、仕事中も余裕で酒飲んでたやろが」
「西成のおっちゃん達は、まだ仕事中も酒飲んどるぞ」
「札幌の駅前に居たロシア人達も酒飲んで踊っとったわ。ガンガン音楽掛けて」
「驚いたぜ~!今は昭和かぁ~~」
「勉強になったぜ~!」
「てか札幌は何時からモスクワに??」
「もうワイが来た時にはなっとったわ」
「皆なんでアディダス着とるんやろうか。まるで駅前がドンキの前みたいや」
「仕事が終わったら、マルファに苦情入れておくか」
「多分ロシア人達の顔役だろうし、何とかしてくれるだろ」
「対価として何要求されるか分からんけど」
レイカはチューハイの缶をそこら辺に投げ捨てると、後部座席に乗り込み、《烈鬼剣兼定》を持ったままドカッと座る。
(う、後ろにDQNが……!)
(じ、人生初めての経験……!)
「お。デカパイタヌキやんけ。元気にしてたか?」
「お、お陰様で、へへへ……」
そして、レイカは隣のアイカにも挨拶する。
「おう、お綺麗なお嬢さんやんけ」
「これから宜しくな!」
「……」
「こら、アイカ」
「挨拶だ、挨拶」
「宜しくお願いします……チッ」
「し、舌打ち!?」
「ワイなんかしたか!?」
「してないけど、アイカは警戒心が強いんだ」
「基本的に私の言う事以外聞かないから、十分気を付けてな」
「なんやソレ!?」
「狂犬やんけ!」
「はい、狂犬です」
「迂闊な事をすると喉を食いちぎられます」
「ちなみに何人殺しとるん?」
「さぁ?知らないけど、多分3ケタ以上かな」
「ファッ!?」
「エラい場所に座ってもうたわ……」
「タヌキちゃん、席変わろや、なぁ。このままだと途中で殺し合いなる気がするわ」
「うっ……!小中学校時代のトラウマが……!」
「クラスのヤンキーに言われて断れ無かった思い出が、ぽろぽろ……」
「こっちも面倒くさい事になっとるわ……」
「なぁ、いっちゃん。こんなんで大丈夫なんか……?」
「ふぅ、やれやれだぜ」
「承太郎かオマエは」
「まるでジョジョ3部みたいな滑り出しや」
「ちょい待ち……それじゃワイは剣持ってるしポルナレフ役やんけ!一番ヒドい目に遭うやん!」
復活したハルカが興奮しながら叫ぶ。
「じゃあ私、まさかの花京院!?」
「「「ないない」」」
「うわっヒドっ!」
「ほら!花京院も最初絵描いてたじゃん!筆でグッパオンって!」
「第一、花京院は下品さの欠片も……いや、途中であったわ」
「ほら!やっぱり私じゃん!」
「エメラルドスプラッシュ!!」
「先生がスプラッシュするのは別のモノだろ」
「オメコスプラッシュ!!」
「あひゃひゃひゃひゃ!ハヒハヒ!」
「タヌキ、オマエおもろすぎるわ!最高や!」
レイカはバカウケし、座席を叩きまくる。
「酷い酔っ払いですね……」
「降ろすべきでは??」
「慣れろアイカ」
「多分このノリがこれからデフォルトだ」
「えぇ……」
そして、イチカは国道脇に車を寄せて言う。
「皆車降りろ」
「記念撮影だ」
「おい、まさかアレやるんか……?」
「そうだ《アレ》だ」
「エジプトへ出発する時の集合キメポーズだよ」
イチカは車から降りると、スマホのカメラタイマを入れる。
残りの3人も一斉に車から出て、身体を斜め右前に向けながら1列に並んだ。
「アラサーダストクルセイダース!」
「出撃だ!!」
「「「YES!! WE!! CAN!!」」」
「それアブドゥルやなくてオバマやろ!」
ジョジョで一番好きなキャラはジャイロ。
お読みくださりありがとうございます。
「面白かった」「続きが気になる」「更新頑張れ!」「仲直りして良かった」
「やっぱ根っこはマジメだなーイチカ」「アイカかわいい」「レイカが悪い意味で昭和のおっさんすぎる……」「キンクリに殴られて生きていたポルナレフはすげぇ」「たぬきとレイやんの相性意外と良い」「第二の人生楽しんでるな、このアラサー共……」
と一つでも思っていただけましたら、ブクマ・評価いただけると励みになります。
よろしくお願いいたします。




