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現代日本プレッパーズ~北海道各地に現れたダンジョンを利用して終末に備えろ~  作者: 256進法
第一部:イカレた北の大地へようこそ

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こんな年増なナースはお嫌い?

大好き


大好き


~翌朝~

~帯広市内・ハルカのアパート前~


「……よし!と……」

「後は引き払いに合わせて家具とかを運び出すか」

「トラック借りなきゃな」


「……業者呼ぶんじゃないの?ノンデリ女」


「よく考えたら、カネが勿体ないなって思って」

「私、大型トラックの免許も持っているし。お前の部屋のブツぐらい楽勝さ」


「うぉ~~……ガテン系女の鑑……」

「いや、助かるけど」


「イチカ引っ越しセンター、開業しちゃおうかなぁ~」


「私はパスで。腰は作家の生命線だし」

「……というか、見た目は良いんだし、Y○uTubeで動画載せて見たら?結構稼げるかも……」

「ちょっと脱げば疲れたオッサン達が入れ食いだって!」


イチカは後ろでイチゴ牛乳を飲んでいるアイカを、親指で差す。


「……あぁ、そういう……」

「載せるならLiveLeakですわ」


「もうサービス終わったけどな」

「家に引きこもっていた時、必ず1日に一度は開いていた気がする」


「暗っ……」


「もう明るい明るいイチカちゃんですから」

「心配ご無用ですよ、ドMドエロスキー先生」


「明るい人は自分の事を明るい、なんて言わないでしょ……」

「私の前では張らなくていいよ、虚勢(・・)


「……ヤバい。理解ありすぎて涙溢れそう」

「遅れて来た青春、今味わってる……!」


「もうちょっと泣くフリしろよ」

「涙出てねーぞ」


「過酷な労働で枯れました」

「でもまだ生理は止ってません」


「途中のコンビニでそんなコト言いやがったら、関係無いフリするからな」


「え~~?」

「女子トークしようよ、もっとぉ~!」


「あのねぇ、女子はもっとオシャレとかそっちの話題でしょ?」

「悪い意味で女子校なんだよ、私達の会話は!」

「あ~~ロベール君、この哀れなシンデレラを助けに来てくれねーかなー!」


「こんな汚いシンデレラ、載せられるのヤンマガぐらいだろ」

「ただアイツらマルタ騎士団とか言ってたから、ロベールも良家の出身かもな」

「多分見習いだと思うけど」


「来ちゃった?人生最大の玉の輿チャンス来ちゃった~~?!」

「ドエロスキーのエロエロえちえちな所魅せちゃうよ!?」

「童顔騎士一人お持ち帰り確定!あざぁっした~~!」


「男日照り過ぎて遂に幻覚が……」


三人はハイエースへ乗り込んで行った。



~正午前~

~札幌市内~

~自衛隊病院・平良一尉の病室~


 「それじゃあ私は家に戻るよ……」

「もう無理はしないで、私……耐えられないから……!」

「やっと帰って来たのに……!帰って来たんだから……!」


ベッドに横たわっている平良の側で、白髪の女性が目尻に涙を溜めながら、彼のボロボロの手を握る。


「……すまない。だがこれからは、なるべくお前の隣に居る時間を増やす」

「……キリエ。俺は決めたんだ。お前と子供の未来を護れる王国を、この手で創り上げると」

「これから俺はその為に戦う」


キリエは小指を差し出し、平良も指を出して、絡ませた。

彼女は包帯が巻かれた平良の額にキスをし、病室を去って行った。

彼女と入れ替わりに背の高いナースが部屋に入って来る。


『平良さん、検温のお時間です』

『アツアツで測定不能になっちゃうかもだけど♡』


平良はシーツの中に隠してあった《妖刀悪鬼村雨》の鞘を握る。


「……誰だ(ロシア語……!!)」

「日本人じゃないな、正体を見せろ」


ナースの首から上が別人に変化していく。


「……!!《魔女》!!」

「遂に俺を殺しに来たか!!」


「いえ、今日はお話に来ただけ」

「どう?似合ってるでしょう?ナースのコスプレ」

「一度やってみたかったのよね」


平良は絶句し、鞘を握ったまま《妖刀悪鬼村雨》を置いた。


「《バーバ・ヤーガの盛装》の能力か……」

「全く最悪の組み合わせだ……お前にそのアイテムとは……」

「名実共に本物の《魔女》だ、お前は」


マルファはその場で一回転し、体温計を取り出して平良に迫る。


「《魔女》じゃありません。今の私は看護師長です」

「マルファ看護師長、これから検温を行いますっ♡」


「……正気か!?」


マルファは強引に平良の脇へ体温計を突っ込み、体温を測る。

そして音が鳴り、マルファは体温計を取って見る。


「36.8℃……少々アツアツだけど、正常の範囲ですね、平良さん♡」

「可愛い奥さんですね、お大事に♡」


平良は思わずため息を付き、諦めたような眼で笑顔のマルファを見る。


(……どうやら俺を殺しに来た、というワケじゃなさそうだな……)

(しかし、昔遭った《魔女》と同一人物とは到底思えない……)


「ところで患者様……」

「このような顔の女性に会いませんでしたか?」


マルファの首から上がイチカの顔に変わっていく。


「──!」

「何故お前がイチカを知っている……!!」


「ビンゴ♡」

「やっぱり会ったのね、ダンジョンで」

「にしても……アナタ、分かり易すぎるわ。底抜けの正直さね」


「……ッ」

「醜態を晒している俺に、嫌味でも言いに来たのか……?」


「いいえ。全くの逆よ」

「賞賛しに来たのよ。ヴァチカンへ《防衛魔人の遺伝子》を渡さず、イーチカへ飲ませたのはアナタでしょ?」

「ファインプレーよ。危うく《聖少女》の思惑通りになる所だったもの」


「何だと……?」


「《聖少女》は自らがアイテムでありながら、人の形を取って生きている存在」

「今までの行動を分析する限り、彼女は全てのダンジョンを封印しようとしている」

「確かに危険で封印しなければいけないダンジョンも、ある事にはあるけど……全てってのは幾らなんでもやり過ぎだと思わない?」


「……確かに。俺もダンジョンが切っ掛けで行動を起こした……」

「行動を起こしてなければ、俺は何処かで無力さを味合わされていたかもしれない……」

「それにダンジョンアイテムにはプラスの面もあれば、当然マイナスの面もある。要は……」


「使いこなす人間とバランスが重要、ってコト」

「そういう意味でもアナタはファインプレーなのよ」

「イーチカが飲んだのは運命としか思えないけれど……」


「運命、か」

「その言葉を久しく信じてなかったな、俺達日本人は……」

「……これからどうするんだ《魔女》。次は利尻島を狙っている、と専らの噂だが……」


マルファは平良のベッドに腰掛け、イチカの顔のまま妖しい笑みを浮かべる。


「旭川」

アメリカ人(アメリカンスキー)を皆殺しにするわ」

「魔女は基本的に来る者拒まずだけれど、森に火を付けるような無法者には容赦しないの」


「……なら()敵である俺から一つだけ忠告しておく」

「マルクト社の役員であるトーシアには気を付けろ。連中は《能力アイテム》を使っている」

「たった二人のアメリカ人傭兵に機甲小隊は全滅させられた。連中は既にダンジョンアイテムを使った戦術を確立している」


マルファは指先を青い炎に変化させる。


「……一人はクエイド・オースティン。元デルタ出身の狙撃手。今は猟師をやっているけど、高額報酬目当てでマルクト社と直接傭兵契約を結んでる」

「そしてこの男が非常に厄介なのよ。ヘイリー・クリステンセン。通称、《ジャンパー》」

「この男が加入してから、アメリカ人のダンジョン攻略は大幅に加速した。この男の略歴は不明よ」


「……!!」

「《魔女》にも分からない、となると……」


「最高機密レベルの人物よ」

「軍に居たのか、諜報機関に居たのか、民間で働いていたのか。その一切が覆い隠されているわ」

「彼が《攻略》の切り札ね」


「……やはりアメリカ、人材が豊富だな……」


「その豊富な人材を使いこなせているとは、到底思えないけれど」

「第一、投入が遅すぎるわ」


マルファは立ち上がり、指先を元に戻す。


「……これは個人的な忠告なのだけれど」


彼女の首から上が、茶髪の美女に変わっていく。


「この娘には注意して」

「本物の殺人鬼よ。イチカのコントロールが効く内は良いけれど……」

「いずれ効かなくなるわ。重刑を受けた囚人兵がしていた眼と、彼女の眼は同じだったもの」


「……!!」

「彼女と行動を共にしていたぞ、その女は……!」


「ふふふ。可愛かったでしょう?」

「でも、私にとっては最大の敵よ。いずれ何処かで殺し合うかも♡」

「今日イーチカの家に行くから、もしかしたら今日かもしれないわね」


「……闇の住人だな」

「警察庁や道警も追っているだろう。いずれ国家権力と対決する時が来る」

「イチカが彼女を大人しく引き渡すとは、到底思えないがな……」


マルファは首から上を元に戻した。


「ふふっ。身内同士の殺し合いは、日本人のお家芸では無くて?」


「……それはお互い様だろう」

「お前とて、しくじれる立場じゃないハズだ」

「それに政敵も多い。お前の活躍で、FSBや国家親衛隊の連中は立場が無いだろう。何処かで仕掛けて来るぞ」


「ふふふふ。望む所よ」

「私の部下達は、ロシア各地から集めた精鋭揃い」

「モスクワで椅子取りゲームをしていた連中なんて、敵じゃ無いわ。けど大変ね、お互い(・・・)……」


「……そうだな」

「また戦場で」


「ええ。また戦場で」

「マルファ看護師長のナースコール、これにて終了です♡」


マルファは手を振り、笑顔で病室を去って行った。



マルファお姉さん一世一代のナースコスです。

女医でも良かったのに敢えてナースを選ぶ所が、彼女らしくて良いですね。

ストレスでおかしくなったわけじゃありません。極めて正気です。多分。


お読みくださりありがとうございます。「面白かった」「続きが気になる」「更新頑張れ!」「ドエロスキー先生との会話好き」「看護師長キッツ……」と思っていただけましたら、ブクマ・評価いただけると励みになります。よろしくお願いいたします。

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