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世界を渡る魔法 旧題:涙の魔法使い  作者: 夕凛
単独独立章
1/4

プロローグという名のエピローグ

このエピソードは、この小説の最終話のホントのホントに一番最後のシーンの抜粋となっております。


読みたくない方は普通にスルーしてくれて結構です。


ただ、最終話のラストシーンだけを最初に読んでから、改めて一からこの小説を読む、というのも作者的にはアリだな、という心持ちから、一番最初に掲載しております。


このエピソードを読んで、どうしてこうなってしまったのか、というのを追いながらこの小説を読むもよし、普通に一から読むもよし。


お任せします。


























              「  」












































                    作者より


 人の気が全くない、石造りの建物の中、暗闇の奥から、コツコツと足音が聞こえて来る。

 足音は一人の少女の前で止まり、少女は目の前の男を真っ直ぐ見つめた。

 男は、銀髪の魔法使いであった。

 しかし、目も虚ろで、服もボロボロ、ほとんど千切れかかっている。言葉一つ発する気力のない、ただの廃人同然の生き物だった。


「兄さん...」


 少女の目の前に立ったきり動こうともしない魔法使いを、少女はギュッと抱きしめた。

 これが、異世界への旅を続けた魔法使い、ないしは魔術師の「結果」である。


「どうして...こんな...」


 魔法使いの、その輝かしい銀髪が数本、少女の肩へ落ちる。

 少女は魔法使いの目を見るが、もはや彼の目は何も見ず、何も映してはいない。ただ呆然と、目の前に目元に着いた玉を向けているだけに過ぎなかった。


「とりあえず...おかえり。兄さん」


 そうボソッとつぶやくと、少女は肩をかして魔法使いと、一歩づつ、一歩づつ、歩き始めた。

 廃墟となってしまった石造りの建物を出ると、そこには紛れもない平和な世界が広がっている。

 人々は今日も幸せそうに、そして当たり前の幸せを無意識のうちに享受しながら、かたや誰かと話したり、かたやコーヒーを飲みながら読書に打ち込んでいる。


「あなたが守った幸せですよ。涙の魔法使い様」


 ...反応はない。それでも、少女は話しかける。


「家に帰りましょう。もう、以前ほど賑やかではありませんけど」


 少女は脱力しきった魔法使いに肩を貸しながら、再び歩き始めた。

 家に帰る、帰路をたどって。

 





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