始まり
小説家になろう 初投稿です。
まだマナーやルールについて曖昧な部分があるので、間違っている時は教えて下さると幸いです。
よろしくお願いします。
残業、残業、残業。
きちんと寝ることができたのは何日前だったかと考えながら、ひたすら画面と睨めっこして手を動かす。既にここ数日の疲れで頭痛は酷いし、何より眠たい。先程から規則的に音を立てている時計を見て、今日もきっと日が変わる頃に帰ることになるんだろうな、という事実を頭の中で再確認してため息が出た。
いつからこうなってしまったんだろうか。休憩がてら、自分の過去を振り返る。
大学の頃は、目立つ方ではなかったが、かと言って地味な方でもなかったと思う。可もなく不可もない、全てにおいて普通だった俺は、自分と同じような友達を見つけ、それなりに楽しく青春を謳歌していた。
就職も、第一志望ではなかったが取り残されることも無く決まり、俺の人生そこそこいい感じだな、と思ったのが今から1年前だった。
あの頃の俺は甘かったんだろうなと考え、更に頭が痛む。
俺が就職した会社は、いわゆるブラック企業というものだった。給料が悪い訳では無いが、残業が多く、しっかりとした休みが取れなくなってしまった。
ただ、辞めようとは思わなかった。
給料に不満がある訳では無いのだ。今どき給料が悪い上に残業が多い会社もあるのだろうと思い、俺は会社を辞めず1年間自身の疲れと戦いながら働いてきた。
あまり休憩するのも良くないなと思い、再びパソコンの画面を見つめる。
だが、眠たくなってきた。体も痛い。だけど流石にここで寝るわけにはいかない。そう思ってはいるものの落ちてくる瞼を再び元に戻すほどの気力もなく、俺はその場で目を閉じた。
こちらを見て焦った顔で駆け寄ってくる同期の姿を見て、俺は初めて自分が座っていた椅子から落ちたのだと気づいた。
咄嗟に大丈夫、と言おうとした俺の声は酷く掠れていた。
やっぱり休むべきだったな。そう思った時にはもう、俺は意識を手放していた。