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無神論的実存主義。兄と妹の会話で覚えるニーチェ・他

ニーチェは「神は死んだ」とキリスト教道徳を批判し、「力への意思」を持つ「超人」を理想とした。

ハイデッガーは人間のことを現存在げんそんざいと呼んだ。

サルトルは人間について物体と異なるものであるとして「実存は本質に先立つ」とした。

倫「ニーチェは神への信仰を弱者のルサンチマンであるとして批判的にとらえたわ」

学「ルサンチマンとは強者に対する弱者のねたみのことです」

哲「キリスト教は弱者救済という面があるから、そのあたりが気に入らなかったんだろうな」

倫「ニーチェはキリスト教道徳を奴隷どれい道徳と呼び、「神は死んだ」と表したの」

学「著書『ツァラトゥストラはかく語りき』の中で主張していることですね」

倫「このキリスト教という価値観の否定こそがニヒリズムを引き起こすとしたわ」

学「ニヒリズムは虚無主義と訳され、権威やすべての価値を否定する思想のことです」

倫「この状態を脱却するためには「力への意思」を持って自己を強化し生きることだとしたわ」

学「「力への意思」は「権力への意思」とも呼ばれ、根源的な生命力に基づく意思のことです」

倫「ニーチェは「力への意思」を持ってたくましく生きる「超人」を理想としたわ」

学「「超人」はラクダのような忍耐力と獅子の強さと小児の創造力を持つものだそうです」

倫「そして超人こそが「永劫回帰えいごうかいき」を受け入れて生き抜けることができるとしたわ」

学「「永劫回帰」は世界は意味もなく目的もなく永遠に繰り返しているという考えです」

倫「そんな永劫回帰の世界を直視し肯定的に愛することを「運命愛」と呼んだわ」


倫「覚え方行くわよ。題して兄と妹の会話で覚えるニーチェよ」

哲「兄と妹。お兄ちゃん。おにーちぇん。おニーチェんってことか」


妹「おにちぇん、おにいちぇん。今日は私が朝ご飯作るよ」

兄「お兄ちゃんな。海外暮らしが長かったから日本語が不自然だな」

妹「朝ご飯だよ。ブレイクファーストだよ」

兄「いや、ブレックファーストな。英語も怪奇だな」

妹「料理は1に愛情2にリズムだよ。ニヒリズムだよ」

兄「ノリだけで作りそうだな」

妹「メニューはトーストとチーズから揚げだよ。チーからおいしいよ。力への意思よ」

兄「力への意思はともかく、うまそうだな」

妹「うまいこと請け合いよ。うんまいあいよ。運命愛だよ」

兄「無理やりだな。おい、煙が出てるぞ。大丈夫か?」

妹「煙がいっぱいでXルサンいたみたいだね。Xルサン充満。ルサンチマンだね」

兄「ああ、トーストが黒焦げじゃないか。本当にブレイクファーストだな」

妹「とにかく運ぶよ。きゃあ危ない! 転びそうになったよ」

兄「ドジっ子な妹がお皿をひっくり返した!」

妹「トーストがお兄ちゃんの頭に直撃だよ。大丈夫?」

兄「ああ、平気だ。お兄ちゃんの頭は超人的に頑丈だからな。だが、髪は死んだ」

妹「それなら黒いトーストをカツラにすればOKよ」

兄「そのうちカツラがしゃべりだすかもな。かつらトーストらはかく語りきってね。やかましいわ」


哲「これは普通に覚えた方が早いまであるな」

倫「それがいやなら、神に頼らず自力でどうにか覚えろってことよ」


倫「ハイデッガーは人間のことを存在を認識できる特別な存在である現存在げんそんざいと呼んだわ」

学「現存在の人間は世界の「内」にあるとし、その根本の在り方を「世界—内—存在」としました」

倫「だけど、本来の姿ではない没個性的な「ひと」である「ダス・マン」に陥っているとしたわ」

学「これらのことはハイデッガーの著作『存在と時間』の中で言及したことですね」

倫「人間はいつか必ず死を迎えるから「死への存在」であると言えるわ」

学「死から目をそらさず不安を受け入れたうえで生きることを「死への先駆的決意性」と呼びます」

倫「覚え方行くわよ。題して関東人と関西人の会話による痴漢冤罪で覚えるハイデッガーよ」


東「おい、おまえ。痴漢をしているだろう」

西「は? これ原寸大フィギュアでっせ」

東「なんだと」

西「痴漢なんで社会的に死にますわ。冤罪と痴漢で、死への冤罪でっか?」

東「い、いや」

西「謝罪はまだでっか? 返事はイエスでっか、ハイでっか?」

東「間違いだ、すまん」


哲「「冤罪と痴漢」が「存在と時間」か。原寸大が現存在、だすまんの部分がダス・マンだな」


倫「サルトルは人間について物体と異なるものであるとして「実存は本質に先立つ」としたわ」

学「これは、人間の性質は自分で作り上げていくものであるということですね」

倫「人間を何も定義されていないものであり、「人間は自由の刑に処せられている」としたわ」

学「定義されていないからこそ自由に生き方を選び、自分の本質を作るものということです」

倫「自由は自己や社会への責任を伴うものであり、社会への参加を「アンガジュマン」と呼んだわ」

学「「アンガジュマン」は拘束の意味で、人間は社会に拘束され、また社会を拘束します」

哲「自由に選んだ結果に責任をもって社会に参加しろよってことか」

倫「彼の著作『嘔吐おうと』という日記形式の小説の中で実存に語っているわ」

学「ちなみにサルトルはノーベル文学賞候補になったけど辞退したそうです」


倫「覚え方行くわよ。猿が作っとる餡が十万もする饅頭を食べて嘔吐して先立つ」

哲「猿が作ってるがサルトル、餡が十万がアンガジュマン、先立つが実存は本質に先立つか」

倫「饅頭は「マン、自由」で「人間は自由の刑に処せられている」なのよ」

哲「分かりにくい」

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