イギリス経験論。ベーコンを食べたいヒドラで覚えるベーコンのイドラ・他
ベーコンは帰納法の考え方を重視し、偏見を生む四つのイドラの排除を主張した。
ホッブズは器械的運動論を主張。ロックは生得観念を否定し、人間は白紙状態であるとした。
ヒュームは人間の本性が「感情」であるとした。
倫「イギリスでは個々の事例から法則を見つけ出す帰納法による経験論が重視されたわ」
学「歴史的に激動が続いた大陸に対して島国のイギリスは安定していたため経験が重視されました」
倫「フランシス=ベーコンはイギリス経験論の祖と呼ばれているのよ」
哲「明らかに加工肉のベーコンで覚えさせてくる名前だな」
倫「ベーコンは「知は力なり」と、自然を知ることでその力を利用できるようになると考えたわ」
学「彼は自然を人間が幸福になるための道具であると考えたわけですね」
倫「ベーコンは物事を正しく知るために偏見をなくすことが重要だと考え、偏見をイドラと呼んだわ」
学「イドラは幻影や偶像と訳されます」
倫「ベーコンは、イドラには種族、洞窟、市場、劇場の四種類があるとしたわ」
哲「三つは場所なのに一つだけ種族なのが浮いているな」
倫「種族のイドラは、人間という種族がもともと持つ感覚のことで錯覚や思い込みのことね」
哲「錯覚によって大きさや色を誤認することはあるから、正しい知識を得る邪魔になるだろうな」
倫「洞窟のイドラは、個人の教育や習慣に由来するものね。育ちや環境によって見え方が違うのよ」
学「人間は洞窟にいて、外からの光に映し出される影しか見えないようなものだということです」
倫「市場のイドラは、言葉が不適切に使われることで生まれる偏見のことで噂話などもこれよ」
学「人々の間で言葉でやり取りされることを市場で言葉が飛び交うことにたとえたんですね」
倫「劇場のイドラは、伝統や権威を無批判に受け入れてしまうことね」
学「舞台で行われているお芝居を現実のものと思い込むようなものであるということです」
倫「イドラなんてイメージしにくいからとりあえずヒドラを想像して覚えていくわよ」
学「ヒドラはギリシア神話に出てくる蛇の怪物ですが、実在の生物にも同名のものがいます」
倫「大蛇を想像して。種族のヒドラね。それが洞窟に住んでいるのよ。洞窟のヒドラね」
哲「いきなりのファンタジー観」
倫「そのヒドラが劇場にお芝居を見に行ったの。劇場のヒドラね」
哲「大蛇が劇場に来たらのんきに芝居を見ている場合じゃないだろうな」
倫「劇場でハムレットを見たヒドラはハムが食べたくなって市場に行ったわ」
哲「ハムレットを見てハムを食べたくなる奴は伝統や権威に影響されているわけじゃないな」
倫「市場に行ったヒドラはハムよりベーコンの方がいいと聞いて心変わりしたの。市場のヒドラね」
哲「ここで予想通りの形でベーコンが登場である」
倫「翌日、ヒドラは思ったの。昨日ベーコンを食べて元気いっぱいだ。血は力なりと」
哲「帰納法、ベーコン、知は力なり、だな」
倫「次はホッブズね。彼は実存するものは物体と運動のみであるという機械論的運動論の立場よ」
学「自然現象だけでなく、心的現象も物体の機械的運動であると考えました」
倫「実存は物体と運動のみ。自然現象も心的現象も機械的運動。国家も社会もその複合体である」
哲「なんでもかんでも運動だってことだな」
倫「ホップ、ステップ、ジャンプの運動と覚えればいいわ」
哲「機械的運動であって器械運動じゃないし、三段跳びは器械運動じゃないと微妙にややこしい」
倫「ロックは生得観念を否定し、人間は生まれたときは白紙状態であるとしたわ」
学「生得観念とは、生まれながらにして人間に備わっている知識のことです」
倫「白紙状態。白い紙の状態。白くした紙、しろっくした紙、しロックした紙よ」
哲「ブロックしたい、その発言」
倫「ちなみにホッブズとロックは社会契約説の話でも出てくるから覚えておいてね」
倫「ヒュームは人間の本性が「感情」であるとして、共感によって客観的妥当性を持つとしたわ」
学「彼は人間の観念は「印象」によって作られるもので、経験に由来すると考えました」
倫「印象をよくして良い感情を抱かせ共感を得るために香水を使うと覚えましょう」
哲「フュームじゃなくてヒュームだけどな。発音してみても違いが分からないけど」