大陸合理論 刑事と犯人の会話で覚えるデカルト他
デカルトは方法的懐疑によって「われ思う、ゆえにわれあり」と演繹法を確立。
スピノザは「神即自然」とし「神の知的愛」を人間の最高の幸福とした。
ライプニッツは実体を「モナド」と定義。パスカルは『パンセ』で「人間は考える葦」とした。
倫「今回は大陸合理論について覚えていくわよ」
学「大陸合理論はイギリス経験論と対になる考え方ですね」
倫「合理論は演繹法と呼ばれる推論方で、デカルトが確立したのよ」
学「演繹法は、AならばBである。BならばCである。よってAならばCであるという論法ですね」
哲「一般的な数学の証明問題のやり方だな」
倫「デカルトは方法的懐疑によって「われ思う、ゆえにわれあり」という結論に至ったわ」
学「方法的懐疑とは、真実を追求するためにすべてのものを疑うことです」
倫「疑った結果、疑い続ける自分の精神の存在だけは否定できなかったってことね」
哲「正直、疑いすぎだろうとは思う」
倫「デカルトは精神と物体を独立したものと考え「物心二元論」または「心身二元論」を唱えたわ」
学「精神や物体をそれだけで存在できるものとして、「実体」と呼びました」
倫「さて、デカルトについては刑事ものドラマを意識して覚えましょう。刑事ルトよ」
刑事「俺は刑事。刑事は疑うのが仕事だから、疑い深い俺は刑事ルートを選んだ」
犯人「ルートって、分岐点があったのかよ」
刑事「どのくらい疑い深いかというと、この世をすべてを疑った。自分自身も疑い続けた」
犯人「疑いすぎだろうよ」
刑事「だが、どれだけ疑っても疑っている自分は存在する。それが「われ思う、ゆえにわれあり」だ」
犯人「コギト=エルゴ=スムだな」
刑事「事件は会議室で起きていないが、懐疑は俺の中で起きているのだ」
犯人「うまいこと言ったつもりか」
刑事「さて、今回俺が挑むのは、ある演劇部が雪山で遭遇した事件だ」
犯人「やっと事件の話か。俺はやってないぞ」
刑事「雪のせいで電車が駅から動けなくなったので、部員が除雪をして助けたのだ」
犯人「それは事件じゃなくて慈善じゃないのか」
刑事「演劇部の駅の解決法。演繹法だな」
犯人「それが言いたかったから演劇部が出てきたのかよ」
刑事「雪道で運転してぶつけたら逃げろ。物損逃げろ。ちなみに俺が唱えたのは「物心二元論」だ」
犯人「刑事がそんなこと言っていいのか」
刑事「俺の著書は『方法序説』だが、除雪の方法を考えた方が有益だってことだな」
犯人「もういいわ。ところで俺は何の犯人だったのか疑問は尽きない」
哲「まるで刑事ドラマ要素がないんだが」
倫「そんなもんよ」
倫「スピノザはデカルトに対して、神だけが唯一の実体であると考えたわ」
学「デカルトの二元論に対し、一元論の立場です」
倫「神はすべてのものに存在し、神のうちに存在するという「神即自然」としたわ」
学「この考え方は「汎神論」と呼ばれています」
倫「彼は人間も神の愛の一部である「神の知的愛」を人間の最高の幸福であるとしたわ」
学「神への知的愛とも言いますね」
倫「化粧をしていない「すっぴん」は自然で知的だと覚えておくといいわ」
哲「それは化粧に対する偏見が酷いぞ」
倫「ライプニッツは、実体は単純な不可分な「モナド」(単子)であるとする多元論の立場をとるわ」
学「モナドは精神的な非物質であり、物質である原子とは異なる概念です」
倫「彼はこのモナドの秩序によって宇宙の調和が保たれる「予定調和論」を唱えたわ」
学「予定調和は、予想通りに物語が進むという意味で使われますが、それとは異なる意味合いです」
倫「覚え方は、ライブにいつ行く? 俺の予定帳は土曜が開いてる。お前も、なあ土曜日でいい?」
哲「急に何かと思ったら、ライプニッツ、予定調和、モナドの覚え方だな」
倫「パスカルは『パンセ』を著して「人間は考える葦である」としたわ」
学「人間は葦のように弱い植物と同じく無力だけど、考えることができると評価した言葉ですね」
倫「覚えるためにイメージするのは、アシスタントの考えたパンセットでパパ助かる場面よ」
哲「考える葦、パンセ、パスカルか」