歩けーアルケー大会で覚える万物の根源提唱者
ギリシア哲学者たちは万物の根源[アルケー]は何であると考えたのか。
タレスは水、ピタゴラスは数、ヘラクレイトスは火、デモクリトスはアトム[原子]であるとした。
倫「今回から高校における倫理科目の特別授業を行うわよ。生徒はあんたたち二人ね」
哲「倫理なんて特別授業をすることなんてないと思うけどな」
学「自学自習でもある程度は勉強できる科目だと思います」
倫「内容の説明については気持ち程度にしかやらないわよ」
哲「それじゃ何のための授業なんだよ」
倫「どうやって覚えればいいかについての授業よ」
学「覚え方ですか?」
倫「語呂合わせやこじつけで暗記するのよ」
哲「意外とありがちな方法だな」
倫「語呂合わせは覚えるときより思い出すときに役立つのよ」
学「そんな覚え方をしても自分のためにならないと思います」
倫「試験は答案に答えが書ければいいのであって、どう覚えるかなんて問わないのよ」
哲「そりゃ、そうだけどさ」
倫「効率的に覚えることは悪じゃないわ。時間は限られているのよ」
学「確かに、僕たち高校生はいろんな科目を勉強しなくてはいけませんからね」
倫「そう。勉強時間は主要科目に割きなさい。力の入れどころを選ぶべきなの」
哲「教師が言うことじゃないと思うけどな」
倫「なんにしても、とりあえずこの覚え方をやってみてから判断して欲しいわね」
倫「さて、倫理は思想家の名前とそのキーワードの組み合わせを覚えることが重要よね」
哲「思想の中身についても理解しておくことは重要だろうよ」
倫「解説についてはちゃんとした教科書や参考書で理解して頂戴」
学「あくまでも覚えることに特化した授業なんですね」
倫「そういうこと。ところで倫理とは、善悪の基準やモラル、道徳といったことよね」
哲「一般的にはそうだな」
倫「でも、そもそも善悪の判断はどうすればいいのかってことが問題になるわよね」
学「倫理という科目は、その判断をいろんな思想家がしているんですよね」
倫「判断するために、まずは世界や人間がどういうものかというところから考えたのが哲学者よ」
哲「ざっくりした説明だな」
倫「世界はどんなものか。まず、古代ギリシアの思想家が世界は何でできているか考えたわ」
哲「何でできているかを考えただけで、どうすべきかまでは言及していませんよね」
倫「さっそくだけど、誰が万物の根源が何かと考えたのか覚えていくわよ」
哲「万物の根源ってのはアルケーってやつだな」
倫「覚えるべきはタレス、ヘラクレイトス、ピタゴラス、デモクリトスの四人ね」
学「それぞれがアルケーを水、火、数、アトムであると考えたんですよね」
倫「これを図形の辺の上を移動する4つの点、T、P、H、Dの会話として覚えるのよ」
哲「初回にしていきなりぶっ飛んだ設定を持ち出してくるんじゃねーよ」
倫「アルケーだけに、歩け歩け大会に参加しているのよ」
哲「その設定に頭が追い付かないんだが」
倫「4つの点が歩け歩け大会に参加して愚痴をこぼすだけで覚えられるわ」
学「つまり、僕たちは愚痴を聞かされるだけで覚えられるわけですね」
歩け歩け大会
P「歩け歩け大会に参加しろとは、だるいでゴワス」
D「ドリンク持参ってことダスが、何持ってきたダスか?」
T「水筒の中身は焼き肉のタレっす」
H「タレ?」
T「そっす」
T「歩け歩けというけど、山道を通る嫌なコースっす」
D「リタイアしてスタートした人数とゴールした人数が違ってるかもしれないダス」
H「途中リタイアじゃなく神隠しだったりしてな」
P「そんなわけあるか。数はぴったりでゴワス」
D「虫が飛んでる。街灯に集まってきているダス」
P「飛んで火に入る夏の虫でゴワス」
T「あれってヘラクレスオオカブトじゃないっすか?」
H「飛んで火に入るヘラクレスってね」
P「ヘラクレスオオカブトって外来種でゴワス」
H「万物は流転するから、外来種くらいいるさ」
D「歩け歩け大会なんて無駄な行事だ。やめるように抗議のデモを行うダス」
H「体を動かす行事なんて体育祭だけで十分だよな。後は無駄だ」
D「デモ繰り出すダス。あと無駄ダス」
こうしてアルケーアルケー大会は幕を閉じた。
倫「こんな感じで覚えていけばいいわ」
哲「哲学者が謎のキャラ付けをされている件」
学「タレスは水分の多いレタスでも連想できると思います」
倫「覚えられればどっちでもいいわよ。要するに「タレス」と「水」が結びつけばいいんだからね」
哲「それにしても、設定が謎過ぎるぞ」
倫「ちょっとくらいインパクトがある方が覚えるものなのよ。覚え方だって一例を示しただけよ」
学「覚え方はひとつではないということですか」
倫「たとえば、アトムというキャラが思い浮かべばアトムがデモを繰り出すでもいいのよ」
哲「高校生にアトムが通用するか疑問だったんだな」
倫「まあ、今回は例を示すだけだからこのくらいにしておくわね」