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見習い死神はじめました。  作者: 駐車場のネコ
第一章
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第一話

もうじき地区大会が始まることもあり、部活内はかつてないほどピリピリとしたムードに包まれていた。


「よう、智也。張り切ってるなぁ。」


「おう、圭吾か。もうじき最後に大会だしな。


やれる事は全てやっておきたいんだ。」


「お前のその姿勢には頭が下がるよ。


お前のおかげで俺も含め部員みんなが頑張らないとって気持ちになれる。」


「ははっ、そう言ってもらえるとうれしいな。」


「あっ、トモさん、お疲れ様です。今日のメニューなんですけど・・・・・」


今日も頼りにされる智也であった。



練習が終わり、帰っている途中に携帯のメッセージ

に着信が入った。


父「ー 優希が病院で涙を流したそうだ。今までには起きなかった変化だ。もしかしたらもうすぐ意識が戻るかもしれないな。 ー」


「やったぞ、こんな事初めてだ!優希が起きるまでもっともっと部活を頑張らなきゃな。」


智也は家へとフワフワした気分の中帰っていった。




















???「智也、すまない。こうするしかなかったんだ。」




???「おいおい、邪魔すんなよなぁ。黙って俺にやらせときゃみんなハッピーなんだからよぉ。


早く消えておねんねでもしてたらどうだ。」


???「そうはさせない。俺だって幸せを作ろうとしているんだ。お前がしようとしていることは全くもって幸せなんかにはならない。」


???「ふん、まあいいさ。このままずっと機会を窺ってればいつかお前もボロが出るだろうからな。」


そう喋るとそれらは消えてしまった。










大会が3日後に迫ったある日、今日も練習に行くために智也は全力で自転車を漕いでいた。


ピロン。


携帯の通知が鳴り、確認するために自転車を止める。


キキーーーーーーーーー。


ドンッッッ。


小さなトラックが信号を無視して壁に衝突した。


「うわぁ、事故だ!早く警察を呼ばないと。」


智也が警察と救急車を呼ぶと、すぐに駆けつけてくれ、事故の対応に当たってくれた。


「いやぁ、助かったよ。おかげで状況がよく分かった。君の協力に感謝する。」


そういうと警察はパトカーに乗り、警察署まで戻っていった。


びっくりしたなぁ。。。。!


通知で自転車を止めていなければ非常に危なかったことに気づく。


母「ー 弁当忘れてるわよ。バカね。


お父さんの出勤ついでに学校へ届けてもらうことにしたから取りに行くのよ。 ー」


今日は帰ったらお母さんに感謝しないとな。


1日の練習が滞りなく終わった後、智也は病院へと向かった。


「えーっと、202号室は、ここか。」


ドアを開けると先生がいた。


「やぁ智也くん、元気そうだね。


お父さんから連絡があったかもしれないが妹さんが涙を流しているとお世話していたナースさんから連絡があってね。


今までこんな事なかったから体の調子を私が見ていたんだ。


安心するといい。非常に体調は良くて悪いところもなさそうだ。」


「そうですか、良かったです。


いつもありがとうございます。」


「いえいえ、医者として当然の務めさ。


礼を言われるような事じゃないよ。」


そういうと先生は部屋から出ていった。


真っ白な病室の中、そばにあった椅子に腰掛けた智也は寝ている優希に向かって話し始めた。


「なぁ優希。いよいよ俺は3日後最後の大会だ。最近はすごい調子も良くてなんとなく今まで以上の結果が出せる気がしてるんだ。


俺、頑張るからさ、頑張るからさ、ここで見ていてくれよ。


絶対優勝するって約束するよ。」


言いたい事を言い終え、先生に挨拶をして智也は家へと帰っていった。








殺風景な202号室で小さな声が発せられた。


「うぅ、い   た   い。」


一年以上意識になかった優希が久しぶりに発した声は小さな病室の中で人知れず呟かれた。










今日の夕ご飯では、優希の話で持ちきりだった。


しばらく状態に変化がなかった優希に涙が流れ、そのことについてみんなが嬉しそうに話していた。


「やっぱり俺が優勝するのを見るために起きてくれようとしているんじゃないかな。」


「何を言うか。お父さんに会えないのが寂しいからだろう?」


「何言ってるのよ。ママに会いたいから泣いてくれたのよ。」


優希に起こった、小さな、しかし大きな出来事に久しぶりに家族に明るさが戻ったような気がした。


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