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VRMMОで異世界転移してしまった件  作者: 天辻 睡蓮
二章・「アソラルセの剣聖」
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縛り


 イブさんのアルバムやっと来ました!

 思わず全裸視聴してしもうた。

 













――獣宿


 その現象を正確に例えることは到底不可能である。

 だが、あえて言うのならば、獣宿は原子爆弾と似たようなモノともいえるのかもしれない。


 獣宿は己の魔力をお互い衝突させあい、それによって生じた熱エネルギーによって爆発的な威力を叩き出す荒業である。 

 その点、原子爆弾とは割と似ているのかもしれない。

 当然、細かい過程は色々と違うが。


「――――」


 アキラはちらっと己の掌を確認する。


 この戦いで放った獣宿はたった二度。

 それだけでアキラの右腕はほとんど機能しなくなっていた。

 獣宿はその性質上、術者にはそれ相応のリスクが常に付きまとう。

 最悪、失敗すればアキラごと爆発してしまう可能性も存在する。


(あと、もって三回か)


 魔力により身体をある程度強化しているので、生身よりはマシだ。

 だが、それでも内部を魔力で覆うことは困難だ。

 まだ魔術に目覚めたのが数か月前なら、猶更。

 

(やっぱ、あの武器に何らかのカラクリがあるな)

 

 ジッとレギウルスが命より大切そうに握る双剣を凝視する。


 あの双剣、魔力の流れからしてアーティファクトか。

 獣宿しを直撃させてもまだ健在なのはおそらくあの双剣のせい。

 ならば必然、次の行動は明白。


「――武器破壊」


「……やっぱ、気が付いたか」


 苦虫を嚙み潰したような表情でそう吐き捨てられた。


 ブラフという可能性もあるが、やはりあのアーティファクトになんらかのカラクリがあり、それを破壊すればアキラの勝利は確定する。

 獣宿はあと三回。

 相手も同時に自分の狙いを理解しただろうし、そう簡単に壊せそうもないと判断する。


「――――」


「――――」


 沈黙が、戦場を支配した。


 両者互いに構え、どのような奇天烈な策が練られたとしても必ず対応できるように意識を研ぎ澄ます。

 不意に、木の葉がちらちらと舞う。

 そして――、


「――蒼海乱式・〈裂破〉」


「唸れ――〈煌爆鎖〉」


 大蛇のように宙を自由自在に飛び舞い、赤熱化し今この瞬間も爆炎を生み出す鎖鎌。

 同時に魔力を纏った水滴が猛烈な勢いで分裂し、散弾と化して唸りをあげる鎖鎌へと迎撃を開始した。

 刹那、爆炎と弾丸が激突する。


















「――――!」


 戦闘スタイルは互いに近・中・遠距離対応型のオールラウンダータイプ。

 しかし遠距離の腕前は明らかにアキラの方が劣っている。

 近接戦に持ち込まなければ勝機はないだろう。

 

(やっぱ、散弾程度じゃ弾かれるよなぁ)


 鎖鎌を迎撃するついでに挨拶がてらに散弾の一部をレギウルス――正確には紅血刀へと狙いを定めるが、その悉くが容易く弾かれてしまう。

 やはり、アーティファクトなだけあって素材も特別か。

 予想通り、双剣を打ち破るには獣宿が必須だろう。


 残り三度。


 果たして、この縛りで『傲慢の英雄』を打倒できるかどうか。

 別に、こんな荒業に頼る必要性は本来ならば左程存在しない。 

 アキラ本人の魔術ならば、鎖鎌の弾幕ごと、レギウルスを絶命させることも実に容易に可能だろう。


 だが、それでも使わないのには理由がある。

 

 この戦い、まず間違いなく『亡霊鬼』が関わっている。

 というかぶっちゃけこの戦争はあくまで誘導。

 しかしながら当然監視の一人や二人は容易するわけで。

 ちらっと上空を何と無しに一瞥する。


(ガイアスが始末したのなら問題はないが、それでもやはりまだ不安は残る。 俺の魔術は最後まで温存するのが得策か)


 さて、どうするか。

 

 まずは、眼前の課題から一掃するとしよう。


 アキラは懐から大きな瓢箪を取り出し、躊躇することなく鎖鎌が作り出す爆炎と鋭刃の殺戮圏内へ放り投げる。


「――蒼海乱式・〈蒼龍〉」


「――――」


 そして次の瞬間、瓢箪は硬質な破砕音と共に砕け散る。

 

 すると驚くことに砕け散った瓢箪からは大量の水が噴き出て、空中を悠々と散歩しながらその形を形成する。

 やがて瓢箪から溢れ出した水塊は巨大な龍と化し、心なしか強烈な威圧感を迸らせながら鎖鎌を一蹴する。


 ちなみに、何故瓢箪かというとそれはひとえにアキラの未熟さ故なのである。


 本来なら、虚空より大量の水塊を生成できるはずだが、神獣の魔術故かそこまで使いこなすことができなかった。

 アキラが操れるのは己の魔力を数十分浸した水のみ。

 そしてその水のストックも既に底を見せてきた。


 先刻の瓢箪で水のストックはほとんど消え去ってしまった。


 だが、それで十分。

 何故ならば、レギウルスへと続く道を強引にではあるが確かに開くことができたのだから、万々歳である。

 そして、閃光が煌いた。


「獣宿し――【天狗】」


「――――」


 足の骨がひび割れる嫌な音を聞きながら、アキラは猪突猛進にレギウルスへと音速すらも上回る速度で肉薄する。

 そして、互いの息すらも把握できる距離にまで接近し――放つ。

 煌めく閃光を纏い、アキラは全身全霊の魔力を込めた一撃をレギウルス――厳密には、紅血刀――へ放った。

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