不眠症
最近、広告にまふまふさんに似た女の子がチョコを渡す姿が見られるようになりました。
可愛い。
でもねぇ……ロリっ子じゃないんですよね……髪色もスタイルも最高なのに。
余談ですが、シャオさんの髪色にはちゃんとした理由がありますよ。 あれはちょっとした伏線です。
それから、しばらく時間が経った。
余談だが、俺達奪還班には俺と月彦、そして野生人しか〈プレイヤー〉は居ない。
多分、理由は予算の問題だろう。
おそらくこれはいわばガバルドの我儘のようなモノ。
そういう要素が加わっているせいか、隊はガバルド直属の部下が多いのだ。
でも、それでもやはり姫さんの救出は王国の得になると考えた結果、月彦という支援に長けた人材やゴリラが派遣されたんだろう。
「……眠むっ」
「お疲れさん後輩。 ちょっとジュース買ってきてくれないか?」
「あんたは鬼か」
月彦の任務は索敵。
当然、夜中に俺たちの安眠のためにも働かなければならないのだ。
頑張れ月彦!
俺たちの安眠のために!
余談だが、月彦は基本昼間は寝ている。
それはもうグッスリと。
「……そろそろ、魔族領に着いたようですよ」
「お、意外と早いな。 もうちょっと時間掛かると思ってたんだが」
「これでも遅いですよ。 本当なら三日で到着です」
やつれた調子で呟く月彦。
「ハッ! 哨戒班班長(班員一人)殿は貧弱だなァ、オイィ」
「あんたは不眠不休で働けます? もう起きているのか寝ているのかも分からないですよ……寝たい」
「ガッハッハ! そいつは結構!」
「殺すぞ」
俺ですら鳥肌が立つような凄まじい殺意を感じた。
うん、ストレスは良くないね!
やっぱり適度に発散しないと、俺の後輩みたいになっちゃうから。
「そういえば安吾、聞き忘れてたんだけどお前リアル何してんの? あの腕前、とてもじゃねぇが一般人を超越してるぞ」
「オマエに教える義理がどこにあるゥ?」
「お前……義理なんて難しい言葉を知ってるんだな。 なんだか嬉しくて涙が出てきたよ」
「よし、あの時の続きだ。 ぶっ殺してやる」
「キャーー! 暴力変態!」
「少なくも変態はあんたでしょ」
おっと、心に刺さるね。
ふと、不意に初めてこの世界に降り立った時に見たあの大山を思い出す。
そういえばあれは一体なんだったんだろうか。
「なぁ後輩。 この世界において富士山的な大山知らない? 俺とお前がこの世界で出会った時の場所の近くに」
「……〈古の墓場〉ですか?」
「名前は知らん。 というか、山なのに墓なの? 矛盾してね?」
「だから山じゃなくて墓場なんです。 なんでも、あそこにかつてこの世界を破滅にまで追い込んだ、龍が眠っているらしいです。 なんでも人類が総力を上げて封印したとか」
「……へぇ」
俺は目を細めながらその言葉を聞く。
成程、そういうことか。
これは……利用できそうだな。
「何笑ってんスカ。 嫌な予感しかしないんですけど」
「安心しろ。 きっと皆泣き叫ぶから」
「頼むから止めてください」
「安心しろ。 半分冗談だ」
「……そのもう半分は一体何なんですか?」
「ご想像にお任せします」
俺はそうやんわりと誤魔化す。
「……なァ、オマエこそリアルで何やってんだ? 多分、俺とそう変わってねェンじゃェのォ?」
「アッハッハ、「教えてくださいご主人様」、だろ?」
「ハッッ! 愚問だなァ!」
笑いながら全力で顔面を殴らないで欲しい。
なんというか、あの決闘以来どういう訳か安吾からは慕われている模様である。
ちなみに、理由は知らん。
もしかしたらあの決闘が安吾の琴線に触れたのかもしれない。
でもなぁ……これって慕われてるのかな?
絡むと散々俺を罵倒し、そのまま何事もなく去っていくというまるで嵐のような性格である。
ツンデレ……か?
そうだといいなぁー。
「……なんというか、先輩もほんのちょっとは大変なんですね。 初めて知りましたよ」
「分かってくれるか……」
「ハッ! 戯言をぶべらっ」
「殴っていいか?」
「もう殴ってますよ」
しょうがないもん、だって人間なんだから。
「……先輩、沙織ちゃんは元気にしていますア――ー!?」
「お前に沙織を名前呼びする資格はない」
悶え苦しむ月彦とへ俺は無情に目潰しを実行する。
「もしそうだとしても目潰しするまでの罪じゃないですよね!? これ、結構肉が抉られて痛んですよ!?」
「落ち着け。 逆に考えよう。 お前が苦痛を快楽に感じられるようになれば……」
「僕は先輩みたいな変態に金輪際なりたくないですよ!」
「酷いな。 でもちょっと嬉しい」
君も仲間にならないか?
シャオさんとアキラさんはあるバンド(?)をイメージしてつくりました。 いや、アキラさんは全然似ていないけど。
でも……シャオさんの本当の由来は、ちょっと言えません。 ネタバレ的な意味ではなく、ただただいたまれません。
分かる人は、分かる