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VRMMОで異世界転移してしまった件  作者: 天辻 睡蓮
一章・「赫炎の魔女」
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狂人の囁き


 もちろん、彼女のベースは某ペテ公デスっ!












 一方、その頃。


「――久しいな、ガバルド」


「……貧乏くじを引いた」


「おっと、それは私にとって、誉め言葉だぜ?」


「ケッ。 これだから戦闘狂は。 もうちょっと頭ひやしたらどうだ」


「必要ないね」


 心底呆れた、と言った表情で自分を凝視する妙齢の美女を一瞥するガバルド。

 ――心の声聞き、そして吐き気がさしてきた。


(あぁ、これだから自分の異能を厄介だな)


 だが、一概にも憎悪を向けられないのがこの力の厄介な点だ。

 ガバルドの異能はありとあらゆる魂の声を聞き取る。

 最近はある程度調節できるようになったが、幼少期なんてそこら中からじたすら「声」がし、悪夢すら霞むような有様だった。

 

 当時と比べれば、マシか。


「嬉しいぜ。 もう一度貴方と戦えるなんてな」


「……口調も相変わらずだな、ジューズ」


「だったら女々しい口調が好みかい?」


「ハッ。 見ろよ。 想像しただけで鳥肌立ったぞ」


「嬉しいこと」


「はぁ。 魔人族とかほとんど理解できないけど、お前はその中でもダントツ。 本当にお前の本心が理解できん」


 そう告げ、ガバルドは重苦しい溜息を吐いた。

 

 この女は基本的に嘘偽りを絶対に吐かないタイプだ。

 その点に限って言えば、ガバルドはどちらかというとジューズを割と好ましく思っている。

 だが、問題はその本心だ。


『愛してる愛してる愛してる愛してる愛してる愛してる愛してる愛してる愛してる愛してる愛してる愛してる愛してる愛してる愛してる愛してる愛している愛してる愛してる愛してる愛してる愛してる愛してる』


 それは、愛の囁きだった。


 ただ、愛していると。

 何一つ取り繕ことなどなく、ただただ魂がそう叫んでいる。

 これが狂気ではないというのならば一体何なのだろうか。

 少なくガバルドがここまで嫌悪感を抱くのは彼女一人である。


「ったく、愛の安売りなんて、いらねぇんだよ」


「そうかい。 なら――一つになりましょ?」


「ハッ! 死ね」


「さぁ――私の愛を受け止めて」


 心中で「絶対に断る」と吐き捨てながら、ガバルドは猛然とジューズへ突進する。

 ジューズは即座に抜刀し、愛すべき人へ躊躇なく刃を振るう。

 それが、彼女にとっての愛。

 壊れていやがる。

 

 ガバルドは本能的な拒絶反応を溢れ返しながら、迎撃の一撃を凄まじい勢いで振るわれた斬撃により相殺した。
















 剣どうしが奏でる金属音が戦場に木霊する。


「――いい加減くたばれ!」


「ハッ!」


 鍔迫り合いは一瞬。

 ガバルドは力任せに、無遠慮な一撃を繰り出し、強引にジューズの剣を弾き返し、そのまま肉薄する。

 しかし――、


「無駄ッ!」


「――――」


 刹那、万雷が侵入者を歓迎する。

 

 いつの間にやら空は雷雲が覆いつくしており、金色のスパークと共にガバルドへと襲い掛かってくる。 

 その状況を理解したガバルドは刹那で判断。


「――――ッ!」


「あら、熱烈っ!」


 互いの吐息さえも把握できる距離で、ガバルドは凄まじい衝撃波と共に蹴りを放った。

 当然、その威力に彼女が逆らえずはずがない。

 ジューズは慣性に身を委ね、遠くへと吹き飛んでいく。

 そしてそのまま、極めて自然な動作でガバルドは剣で落ちる雷を切り裂く。


 洗練された一撃により両断された雷を素手で払いながら、ガバルドはジューズが吹き飛んだ方向を睥睨する。


「もっと、もっと私を愛して、ダーリン!」


「生憎、俺の趣味は人助けでな。 人を殺した奴は愛せない性質なんだよ」

 

 そう辛辣に吐露しながらガバルドはジューズへ接近する。


 その一歩一歩が巨人を踏み殺す程の威力であり、跳躍、加速を何度も何度も繰り返してガバルドは疾走する。

 そんな愛しの夫も見て、舌なめずりをする狂人。


「さぁ――愛を!」


「ほざけっ」


 猛烈な勢いで迫りくるガバルドを、万雷のスパークが歓迎する。


 ジューズの雷魔術への適正は化け物レベル。

 それこそ直撃でもしたら幾らガバルドでも燃え尽きるだろう。

 

「面倒なっ」


「本望っ!」


 今まさに愛を囁き続ける彼女に悪意など何の痛痒にもならない。


 ガバルドはため息を吐きながら勢いを落とさず荒れ果てた大地を駆け抜ける。

 頬を、スパークが一瞬掠った。

 額から流れる血筋を噛み締めながら、どこまでも淡々とガバルドはジューズへと疾走し、その刃を振るう。


「おいおい、芸がないな」


「安心しろ、私の愛はこの程度ではない――!」


「もうちょっと自重して愛を囁けよ……」


 苦言を吐露しながら、ガバルドは警戒心をあらわにする。

 

 この女は幸か不幸か非常に単純だ。

 直ぐに妄言を真に受けるし、自分の発言に嘘偽りを含ませない。 

 それだけ見れば、まだ救いようがあるように思えるが、あまりに直球だからこそその愛は響かない。


 ならば――強引に愛に溺れさせる。


「――〈雷天龍〉」


「――――」


 刹那、空をフラッシュバックする龍が覆った。

 その巨体は、それこそ東京ドームにすら届きそうだ。

 そして込められた圧倒的な魔力。

 ガバルドが先刻の攻防があくまで前哨戦に過ぎなかったことを知る。


「チッ。 ――さっさと終わらせるぞ」


「さぁ! 愛に溺れろ!」


 そして、雷光と剣閃が激突していった。





 というか、ペテ公の声優さんって、伊之助やイキリトと同じなんだ。

 まぁ、確かに似てるよね。

 あれ?

 そういえば、ガーフィールも声伊之助じゃない?

 グーグル大先生で調べてみよっと

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