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VRMMОで異世界転移してしまった件  作者: 天辻 睡蓮
一章・「赫炎の魔女」
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これ以上説明イルカ?


 あのシーン十回くらい見た













「……一応、理由を聞かせてください」


 苦笑いでも浮かべたように月彦はそう問う。

 

「もちろん内緒だ。 ほら、やっぱ秘密は知ってるやつが多ければ多いい程漏れやすいだろ? お前のことは信頼しているが、それでも洗脳でもされたら俺が困るからな」


「ハッ! 妄想力逞しいことで!」


「失敬な。世の中には、俺をさえ上回る猛者が存在するんだぞ……! 二次元アイドルを嫁とのたまう彼らを舐めちゃいけない」


「どうしたんですからしくもない渋面で」


 俺の魔手からボールの如く転がり逃げる目玉。

 それ、どういう原理なの?


「はぁ……アキラがそうするなら、俺も必然的に同じ選択肢を選ばねばならんな。 ただ一つ、お前の企みだけが憂鬱だ」


「そういえばスルーしてたんですけど、この人誰ですか?」


「おっさん。――これ以上説明イルカ?」


「東●かっ。必要ですよ!」


「だが断る」

 

 だって面倒臭いもん。

 そもそもの話、このおっさんの素性なんて半年も付き合っているのにも関わらずほとんどが不明瞭である。


 それを、四苦八苦しながら言及する。

 それはあまりに非合理的ではないか?


「というか、お前索敵とやらは休んで大丈夫なのか? 召喚術師なんて結構なマイナー職業だから、代えはあんまりいるとは思えねぇぞ」


「あ、そういえば! 先輩、案内はそこの眼玉がやってくれます! ちょっ、殴らないでくださいよ安吾! それと――――」


 目玉の情けない悲鳴と共に通信は切断された。

 なんだかちょっと気まずい沈黙が高原を支配する。

 数秒後、一瞬魔力を浴びた目玉がコロコロと転がり始めた。

 これが、案内なのか……?


「……行くか」


「……あぁ」


 こうして俺とガイアスは、微妙な雰囲気のまま自律型目玉の案内に従って高原を駆けた。















「先輩、何か言残すことは?」


「目玉の性能もっと上げろよ。 あれクソ遅せぇんだよ」


「よし、死ね」


 月彦の本体が居る場所へ向かうと、そこには何故か顔に大量のたんこぶが生えた満身創痍の謎の生命体(多分月彦)が居た。


 だが、何故俺を殺人鬼が如き鋭い眼差しで見る。

 止めろよ……ゾクゾクしちゃうじゃないか。


「そもそも、あんたが僕が操ってた索敵獣を瞬殺するから目玉だけになったんじゃないですか! というか、あんたの話がやたらと長かったせいで安吾に六回も殴られたんですからね! 痛かったんですよ本当に!」


「悲しい、事件だった……」


「なら笑顔で言わないでくださいよ!」


 なんというか、後輩も後輩でそこそこ苦労しているようだ。


 というか、このゲームある程度痛覚削減されてるからそこまで痛くないはずだが?

 まして月彦はレベル100なんだぞ?

 単にこいつがオーバだという可能性も捨て切れんが、もしかしたらその安吾とかいうヤツはかなりの強者かもな。


 ――と、その時。


「――誰だ?」


「チッ。 見つかっちまったかァ」


「人の顔見て舌打ちは傷つくなー。 一回転生でもしてその無礼な魂清めよっか?」


「先輩は先輩でナチュラルに煽らないでくださいよ」


「言う程自然だったか?」


 現れたのは荒々しい金髪の青年だ。

 ほとんど服を着ておらず、もはや半裸の領域へ達していやがる。

 タグがある以上、こいつ〈プレイヤー〉だよな。

 なんでそんな奇天烈なファッションなんだよ。


 その野生人が俺を威嚇でもするかのように鋭い目つきで睨んでくる。

 何?

 俺また何かやっちゃいました?


 テヘッ。


「――ッ」

 

 刹那、一陣の風が吹いた。


 目を白黒させる俺の視界を、鍛え抜かれたその鉄拳が覆い尽くす。


「……いきなり殴りかかるのはマナー違反じゃないか。 あ、もしかしてそんな一般常識も知らない原始人なの? じゃぁしょうがないね! 安心して、君が悪いんじゃなくて、周りの環境が悪いんだよ!」


「……躱したか」

 

 俺は猛烈な勢いで放たれた野生人の拳を素手でいなし、ついでに股間へと一切躊躇なくスマッシュする。


 しかしそれは実に簡単に一蹴されてしまった。

 チッ。 

 今新たなオカマを作りだしてやろうと思ったのに。


「ちょっと安吾さん! この人は、敵のスパイじゃありませんよ! 今すぐ先輩に謝ってください!」


「んなこと関係ねェ。 今はなァ、ただお前の力を知りたい!」


「なんという迷惑」


 東〇かよ。


 そうか、この野生人こそが後輩の顔面をアレなカンジにした男か。

 納得納得。

 確かにこいつ言動からして暴力キャラだよな。

 逆にその外見で慈母のように優しい奴だったらドン引きだったわ。


 魔力の流れからして、システムにサポートされてるっぽいな。

 でも、それでも微量ながらもシステムが関連しない魔力――つまり、魔術が常時その逞しい肉体に宿っている。

 多分、無意識か。


 魔力を操作できると、こんなこともできるんだな。

 

「――ま、それはそうと叩きのめす」


「やってみろやァ!」


 牙を剥く野生児へ、俺は不敵な笑みを浮かべ、緊迫した雰囲気の中流麗な動作で拳を構える。


 空気はかつてない程に張り詰め、まさに一触即発……!


「先輩! そこは穏便に済ませてくださいよ! それでも生徒会長(笑)なんですか!?」


「(笑)ってなんだよ(笑)って」

 

 空気、台無し!

 


 まふまふさんの、否、まぬんちゃんの新曲を聞いた瞬間、私は新たなる性別「まふまふ」が爆誕したことを漠然と悟った

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