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VRMMОで異世界転移してしまった件  作者: 天辻 睡蓮
一章・「赫炎の魔女」
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会議開始


 更新できなかったお詫びの一話です









 そして、あの豪雪から一週間後。


「――くれぐれも、粗相のないようにね」


 何時ものように優しい声色で――だが、その瞳には微かに緊張が漂っている――で言い聞かせるようにそう警告するおっさん。

 俺はそれに胸を張って答える。


「安心してください。 俺がこの非常識な姫さんをリードしますんで」


「ちょっと! 常識は息をしていないのはアキラさんだって同じじゃないですか!」


「仲睦まじい様子で何よりだよ」


「……………そうですね」


 どうでもよさそうにレイドが呟いた。


 この屋敷は、一体どんなアーティファクトや魔術を付与したかは知らないが、登録した場所なら扉を開けるだけで瞬間移動できる。

 リアルどこ●もドアである。

 魔法ってのは本当に便利だとつくづく実感している。


 今日は何を隠そう「四血会議」の当日。


 「四血会議」はかつて人族の安泰に大きく貢献した四つの血筋の者が一堂に会する滅多にない機会なのである。

 

 ルシファルス家からの出席者は四人。

 まずは言うまでもなくルシファルス家の当主であるおっさん。

 そしてその護衛であるらしいレイドである。

 

 そして最近主徒関係を結んだ俺ことスズシロ・アキラとルシファルスの長女であるシルファー・ルシファルスである。

 ちなみに、この面子の多さの理由は重要な参考人であるシルファーの存在である。

 

 余談だが俺が秘密裏に内通者を調べていることは伝えていない。

 当然だよね。

 内通者を無駄に警戒させる程俺は愚かではないし。

 ガバルドも黙秘を貫いているようだ。


 というか、今更だけど最近月彦と安吾にあってないな。

 なんでもあいつらはあいつらで戦場に駆り出されてるらしい。

 ちょっと哀れに思わなくもない。

 

 もちろん、残念に思うだけである。

 

「姫さん、書類とか大丈夫?」


「私を誰だと思ってるんですか? あの日はともかく、ちゃんとルシファルス家の長女としての責務は果たしたつもりです」


「へぇ……」


「何ですかその微妙な反応は」


 このお嬢様のことだ。

 うっかり忘れていた、なんてことがあるのかもしれない。

 というか先日あった。

 本当に残念極まりないお嬢様である。

 

 見てくれは極上、しかし中身は精神年齢五歳児。

 某名探偵コ●ン君もびっくりする二面性だろう。


「――準備はできたかい?」


「……もちろんです、お父様」


「――――」


 シルファーがおっさんの懸念を杞憂を切り捨てる。


 その表情にはつい先ほどまであった緊張感が抜けきっていた。

 俺だって何の考えなしに姫さんを挑発しているわけではない。

 リラックス効果があったらラッキー程度に考えていたが、どうやらそれが功を奏したらしい。


 俺としては嬉しい限りである。

 

「――んじゃ、精々痴態をやらかさないようにな、姫さん」


「アキラさんの方こそ」


 そして俺たちは会議場――正確には王城――へと繋がる扉を開いた。
















「うわぁ……まさに豪華絢爛」


 扉から出ると、そこには黄金の空間が広がっていた。


 俺たちが出たのはどうやら王城の廊下だったらしく、奥へと素人の俺でもそれが凄まじい価値を誇っていると分かる金属によって構成された通路が広がっていた。

 カーベットには埃一つなく、それこそここで寝ても十分熟睡できると思わせる程である。


 流石は王城と言ったところか。

 俺の家もそれなりに金持ちだという自負があるが、そんな薄っぺらい自尊心が粉々に砕け散りそうな光景である。

 この国中国波に貧富の差激しいね。


「当然です。 王様のお家なんですよ? まぁ、本当はあくまでこの城はブラフで、王様は全く違う住居に住んでいますよ」


「そんな機密情報俺なんかに言っていいのかよ」


 口封じに暗殺でもされたらたまったもんじゃない。

 そう非難するように問うが、返ってきたのは謎のドヤ顔であった。

 

「安心してください。 この王城に入ることができるのは特に信用の厚い者ばかりです。 当然、誰もがそのことを知っていますよ」


「じゃあ俺は信用できるのかよ」


「もちろん……信用できますよ?」


「何故疑問形だし」


 どれだけ姫さんが俺を信頼しているか一目で分かる微笑ましい光景である。

 瞳から流れるのは決して涙なんかじゃない。

 

「――見学はもう済んだかい?」


「えぇ。 本当は生王城をじっくりと目に焼き付けたいのですが、それは帰りの時に果たそうと思います」


 ゆっくりと見学できる暇があったのならばの話だけどね。

 あれ。

 これ、フラグなのでは……

 考えないようにしよう。


「――おや、ルシファルス家の皆さまご揃いで」

 

 と、不意に会議室へ向かう俺達へ声が掛かる。

 女性特有の澄んだ声でるが、妙に色気が醸し出されており、なんというかその……ムラムラします、はい。

 

「……アレストイヤ・ヴァン公爵っ」


「息災のようで何よりですわ」


 現れたのは燃えるような長い赤髪が似合う少女だ。

 だがその身に纏う色香は年分不相応に艶っぽく、とてもじゃないが健康的な乙女とは思えないのである。

 エロい。


 ドレスから彼女の肥大化した胸部が露出しており、その色気を底上げする。

 何より凄まじいのは彼女の常人離れしたその造形の良さだ。

 人形と言われてしまえばなんの疑念もなく信じ込んでしまうほどその容姿は整っている。


「無茶苦茶エロいっすねぶはっ」


「心の声ただ漏れです」


 何故か殴られた。

 解せぬ。

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