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VRMMОで異世界転移してしまった件  作者: 天辻 睡蓮
一章・「赫炎の魔女」
40/584

復活

済みません、ちょっとパソコン変えていると無駄に時間がたってしましました。

 スンマセン











「――で、成功したのか?」


「何とかハルセルとセーサス……「四血族」の精鋭の力を借りまして、自分を保護しつつメイカを宇宙空間へ突き落とすことに成功しました」


「あぁ、何となくお前が自身無い理由見えてきたわ」


「えぇ、ご察しの通り、誰も分からないんですよ。 本当に彼は死んだのか。 本当はまだ生きているんじゃないのか。 それだけ彼が規格外でみあるんですけどね」


 合点が付いた。

 ついでに、王国の意図も、な。

 まぁ大筋はある程度予想していたんだけどね。」


「――それが王国の民に知られると、確実に不安を招く。 基本的に人は小さな綻びが致命的になるからな。 『英雄』が生きている。 たったそれだけのことで起こり得るトラブル、事件は計り知れない」


「そういう訳ですわ」


 それはまぁ随分と。

 そして、この新情報によってハ―セルフとやらの生存の可能性も見えてきた。

 もし、万が一彼が宇宙空間から放たれても尚無事でいたのなら。

 魔族の寿命は凄まじい。


 それこそ最長では先年も生きた程だ。

 そして、『英雄』が滅んだとされるのは数百年前。

 なら、十分生きているな。


「――だが、ハ―セルフは操られてっ」


「君は、その現場を見たのかしら」


「――――?」


「あくまで、彼を見たのは魔術が何かも分かっていない者だ。 必然的に、魔術の流れを読み取ることに慣れていないですわ」


「……何が言いたい?」


「確証がないんですよ。 本当に彼は傀儡として操られているのですか? 実は唯単に魔力を偽装していたのでは?」


「――――」


 残念ながら、その意見には信憑性がある。


 確かに、月彦はその手の情報を見慣れていない。

 時間が余る程あった数日前ならまだしも、『英雄』と遭遇したのはまだ俺もこの世界に来てから日が浅いタイミングだ。

 更に、魔力が本当に偽装されていたのならば。

 

「ハ―セルフ・メイカは生きている……?」


「そういうことですわ。 理解できて?」


「あぁ。 嫌になる程理解したさ」


 俺は額を覆いながら、目を細める。

 だが、疑問も残る。


「なら、何故彼らは協力していたのか……?」


「強制的な契約、その他可能性は諸々ですわ」


「お前ですら分からないってことか。 流石は『英雄』だな」


「……えぇ、そうですわね」


 なんというか、初めて俺とメィリが分かり合えたような気がする。


「――問題は山積みだな」


「ご苦労察しますわ」


「この胃痛がお前みたいな初対面の奴と分かってたまるか。 撤回しろ撤回しろー」


 俺はそうヤケクソ気味に嘆いたのである。
















「――クソがっ。 策の整理を勤しまないとなー。 ちぇっ、どうして俺が某ぺテ公みたく勤勉にならんといけないのやら」


「――それが、『強よ……いや、この表現はまだ相応しくないですわ」


「? 今何を言いかけたのか?」


「いいえ、今はまだ知るべきではないでしょう」


「チッ。 意味深なことばかり吐き散らかしやがって。 もうちょっと具体的なことを言えよ、オイ」


――『英雄』生存の可能性。


 それがどれだけ効力を齎すか、そしてこの事実が知れ渡った場合の、王国の民の混乱に陥るのやら。

 本当に、厄介極まりないな。

 もうちょっと俺に優しくしろよ。


 これを一体どうやって対応し、利用するか。

 問題が本当に山積みである。

 俺はそう頭を抱える。

 

「――『英雄』ハ―セルフ・メイカの情報はそれで終わりか?」


「――一つ、ある情報が存在しますわ。 ですがそれは貴方がメイカ氏の生死を確認しましたら開示しますわ」


「ケッ。 沙織以外の焦らしプレイには興味ねぇんだよ。 百回転生してその魂清めてから出直してこい」


「辛辣ですわね」


 さて、不安になる言葉はあったとはいえ、ある程度は理解できた。

 なら、問題は次だ。


「――シルファー・ルシファルス。 この名に聞き覚えは?」


「……あると、言ったら?」


「なら答えてもらおう。 ――あいつは、一体全体どうして魔術を扱えない? 俺のような魔術初心者にも分かりやすく説明しろよ」


「それが助言を乞う者の態度ですかね? ……まぁ、答えましょう」


――シルファー・ルシファルス。

 

 言うまでもなく、俺の護衛対象であり、万が一の場合の抑止力的な存在でもある。

 だというのにまさか魔術を扱えないとはな……

 なるべく迅速にこの課題をクリアしないとな。

 だからこそ、世界のありとあらゆる事項に精通する〈黄昏の賢者〉へ尋ねる。


 答えは――、


「単純な話、彼女は知らないんですよ。 基本ルシファルス家は――「四血族」たちはほとんど全員が魔力の操作を自発的に覚えますわ。 そのせいで訓練などの技術が磨かれず、あのような結果になったと思われます」


「成程……」


 多分、その原因はあのおっさんも関係していると思う。

 あのおっさんの過保護ぶりはもう痛いほど理解できている。

 もし、魔術を習得できた場合、ほぼ確実に戦場へ刈りだされる。

 だからこそ、あのおっさんはそれを教えなかったのであろう。


 否……もしくは。

 あの魔力の流れ、少し違和感を感じる。


(似ているな……)


 もしや、万が一の自衛策としてアレを……?

 だが、それを問いだしても答えられる可能性は少ないだろう。


「――さて、その疑問はある程度理解できた。 なら、最後に一つ。 聞いていいか」


「私が答えられる範囲なら――」


 一拍。

 そして俺はそれを口にした。



「――〈黄昏の賢者〉メィリ・ブランド。 あんたは一体何者なんだ?」



 少し、メィリが笑みを浮かべた気がした。



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