ありふれた戦争
バレンタインの短編書きたかったけどそもそもストックが上回ってて書けませんでした
でも安心してください、リア充はもう既に爆死しているので! こんがり焼けましたよ!
ここ数十年、平和でフレンドリーな日本では一度たりとも抗争すら起こっていない。
必然、戦争なんて物騒な単語には聞き慣れていないわけだ。
逆に、ファンタジーな世界で生まれ育ったガイアスは然程驚いていない様子である。
あ、そういえばそうだったね!
確か前来た時も戦争真っ最中だったけ。
まぁ、どこぞのルインのせいでほとんど過ごしてなかったんだけど。
そういば、沙織の分身どうなったんだろう。
今も元気に過ごしてるかな?
「先輩、なに現実逃避してるんですか」
「いや、だって面倒事は嫌だもんっ!」
考えてみよう。
このゲームには、基本ストーリなんてものはない。
ただクエストをこなしたり、内職を楽しんだりする類だ。
当然、これといったトラブルは無い。
だというのに沙織と絡んでからはだいたいいつも面倒な事件に巻き込まれてしまっている。
もしかして、沙織はバトル漫画の主人公ではないのだろうか、なんて突拍子もない疑惑が生まれてしまうほどである。
今回だってそうだ。
俺はただ沙織とのイチャイチャラブ生活を手に入れたいだけなのに、あまつさえ一緒に旅をすることさえできないクソ仕様。
更には世界すら離れてしまうなんて、もう神を殺したくなってきた。
そういえば、この世界には正式に神とやらが存在するらしいじゃないか。
よし、殺す。
「うわぁっ、先輩目が怖いっすよ? 完全に殺人鬼のそれっす」
「こいつは元からこんなヤツだ」
「おい、一度俺の印象について徹底的に話し合う必要があるようだな」
「「ハッ!」」
鼻で笑われた。
当然、生意気な後輩にはアキラさんパンチを喰らわしてやったさ。
ざまぁ!
クソ目玉ざまぁ!
「……話を戻すぞ。 で、目玉。 その戦争とやらを詳しく聞かせろ。 当然、今のお前の立場もな」
「僕も最近来たばかりなんで詳しくは知りませんよ。 ですがまぁ、一応一般常識程度の情報を把握しています」
「前置き長ぇな」
「…………端的に言います。 人族と魔人族がそれぞれの理由で争っているらしいですよ。 以上、説明終了」
「ほう」
「成程」
「えっ。 今ので理解したんですか?」
「当然だ。 俺を誰だと心得る?」
随分と異世界チックな話だ。
余談だが、元の世界でも亜人とかいう人種はいるにはいる。
だが、それでもファンタジーにおいて必須な魔族という存在が居なかった。
これにもなんか理由でもあるのか?
もしかしたらないのかもしれない。
「はいはい、どうせ、魔族の方は土地が荒れ果てて食料不足になったからとかそういうありきたりな理由だろ?」
「……正解です」
「え、マジ?」
苦々しい顔で目玉月彦が頷いた。
いや、頷いたというよりかは転がったという表現が適切か。
しかし、ほんの冗談で言ったつもりだがまさか正解だとは……
ちょっと安直すぎやしないか?
「人族は侵略者である魔人族への反撃という名目で剣を手に取ったみたいですよ。 抗争は次第に激化し、やがて国規模の戦争になったみたいです」
「ふーん」
「……何ですかその顔」
「いや、なーんか違和感感じるんだよな……」
数秒考え、その違和感を正体を悟る。
なんとも陳腐な設定だ。
それこそそこらのポンコツ作家であろうとも鼻クソをほじりながらでも容易く考案できそうなベタな設定である。
余りにもありふれていて――だからこそ、違和感を感じる。
あの男は一体何のためにこんな特徴のない世界を創造した?
もしかして、俺に見えていないだけでまだ何か、元居た世界と異なる点が、存在するかもしれない。
それこそがあの男の狙いなのでは?
だが、現状これといった確証や証拠は見当たらない。
ガイアスの言うとおり、致命的なまでに情報が少なすぎるな。
「……それで、結局お前の立場はなんなんだ?」
「あ、そういえばそうだな」
ガイアスの指摘に俺は軽く目を見開く。
「僕は国に拾われる形で人族の軍勢に入っています。 やっぱりNPCだからか人族も魔族も結構弱かったですよ? 例えるならオーガレベル」
「で、レベルカンストなお前は人族にとって大変貴重な戦力っていうことだな」
「毎度の如く理解が早くて助かります。 そんな訳で僕は国から衣食住を提供してもらおう代わりにこうして索敵したり、たまには戦っているわけですよ」
「……これはちと厳しいな」
王国にとって俺たち〈プレイヤー〉は素性の知れない余所者だ。
最悪、魔人族とやらのスパイかもしれないしな。
そんな余所者を邪険にするどころか歓迎し迎える王国。
つまり、それほどにまで戦局が厳しいってことだ。
「俺の予想だと、お前みたいな〈ゲート〉被害者が王国、もしくは魔人族陣営に加勢しているってことになるけど、オッケー?」
「……勝手に色々読まないでくださいよ。 僕の出番がなくなるじゃないですか。 えぇ、そうですよ。 先輩の推察通り、僕以外にも数人の〈プレイヤー〉が王国側に居ました。 見たことはないですが、もしかしたら魔人族の軍勢にも居るかもしれませんね」
「そうか」
やはり、〈ゲート〉は世界各地で発生しているようだ。
さて、ある程度状況把握は済んだ。
おそらく、この後輩の言葉に嘘偽りはないだろう。
そんなことしてもこいつにこれといったリミットはないからな。
ならば次に行うのが今後の方針の模索。
戦況は月彦の言動からしてやや人族側が不利。
んで、俺と同じ〈プレイヤー〉も複数人そこに所属しているって訳だ。
ならば――、
「――なら、俺は人族に加勢させてもらおう。 なんせ、リミットは明らかにそっちの方が大きいからな」
「……そうですか」
どうして君はそんな不満そうな顔をするんだい?
ふヴおおおおおおおおおおおおおおおおおおお!!!??
ままま、まぬんちゃんの、ソロ曲、だと!?
更新忙しくて気づいてなかったああああああああああああああああああ!
せめてツイッターで連絡して欲しかったよおおおおおおおおおおお!
永久保存永久保存!