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VRMMОで異世界転移してしまった件  作者: 天辻 睡蓮
一章・「赫炎の魔女」
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――ハ―セルフ・メイカ











「――久しい名を聞きましたわ。 まさか、二度その言葉を耳にするとは、世も末ですわね」


 目を細めながらそう呟く賢者――メィリ。

 

「感慨に浸っているところ悪いんだが、さっさと答えてくれん?」


「えぇ、分かりましたとも」


 俺とガイアスはせめてもとこの一週間、『英雄』の死をひたすら探していた。

 だが、結果は当然の如く収穫ナシ。

 ちょっとショックだったわー。

 もうちょっと優しくてもいいと思うの。


 だが、これで確信した。

 この一瞬間で探せるところ――それこそ、俺のような部外者ではとてもじゃないが入れない部屋にまで侵入して――は探し尽くした。

 が、結果はこれだ。

 

 つまること、もう記録自体が無いんだよね。

 当然ルーツから考えるとそれはあり得ないわけで。

 やっぱり隠蔽かー。

 何か不味いことでもしたのか。


 だからこそ、今歴史の生き証人へ問いかけていているのだ。


 まだ確証はないが、こいつが生きた年は数千年にも及ぶ。

 『英雄』が滅んだのは数百年前だ。

 当然、それを覚えていないわけないよな。

 

「――その前に、約束しろ。 この茶会においてお前は嘘偽りで塗り固めた虚言を吐き出さないと、そう誓え」


「いいとも。 僕は君に対して一切の虚言も妄言も言わず、これから話すことは全て真実でありますわ」


「それは僥倖」


 だが、当然虚言を言われると面倒なんだよね。

 俺は嘘探知機みたいに便利な魔術はアーティファクトは生憎持ち合わせていない。

 だからこそ、この世界のルールを悪用するのだ。

 我ながら悪役極まりないね。


「まずは彼――ハ―セルフ・メイカの情報を開示した方が良さそうですわ」


「――――」


「知っての通り彼はかつて何度も私たち人族の安泰を脅かした魔人族たちにとっての『英雄』。 その力は凄まじく、「四血族」の半分が絶滅寸前に追いやられてしまうほどです。 それをたった一人の魔人族が達成したという事実自体も凄いですがね」


「そうか――」


 どうやら、冒頭はほとんどあの本と同じ内容だったらしい。

 一般的に知られたあの一冊。

 あれはどうやら一応は見当はずれな虚言だけが書き綴られているわけではないらしい。

 だが、それもあくまで一部分。


 全部が全部正確無比なら誰も隠蔽しないよね。

 本題はこれからだ。


「ご察しの通り、これはあくまでも前提知識。 今からお話するのは、王国らが必死に隠蔽した情報です」


「俺としては有難いんだけど、あんたはいいのか? 最悪、情報漏洩でぶっ殺されるんじゃないのか?」


「ご心配、有難いわ。 でも、それは杞憂ですわ。 その程度で罰刑に処されるのなら、とっくのむかしに私は数十回は死んでいます」


「アッハッハ、冗談のセンスないなアンタ」


「それは失礼。 参考にしますわ」


「『賢者』の冗談とかそれ自体がレアなんだけどな。 まぁそもそも存在そのものがトップシークレットであるあんたと正面向き合って対談することが超絶レアなんだけど。 まさに生きる国宝だなー」


「有難いことですわ」


 まぁ、これで最後の懸念が無くなったわけだ。

 俺は目を細めながら、〈賢者〉の答えを待つ。


「――かつて幾度と人族を恐怖に陥れ、この私ですらも苦戦……いえ、それではやや語弊があります。 私すらも圧倒してしまうような強大な能力を持つ『英雄』ハ―セルフメイカ。 彼はまだ――死んでいないのかもしれません」


「――――」


 それは、触れることさえも憚れる禁忌だった。
















「――かつて、私は三度彼と戦い、そのうち二回は彼に圧勝されました。 なんとか命からがら逃げだしていなければ、今頃この国も私も滅んでいたでしょう」


「……それが、どうしてそんな突拍子もない話に?」


「最後まで聞いてくださいませ」


(おいおい……冗談キツいぞ?)


 英雄が、生きているだと?

 冗談にしては本当に悪質な類だな。

 だが、それはあり得ない筈。

 月彦の報告によると襲撃者が操る魔獣は全て生の気配がなく、傀儡だと。


 つまり、死霊系統の魔術か魔法。 


 そして襲撃者は明らかに『英雄』を操作していた。

 なんせ、一介の幹部如きのヤツが『英雄』なんかと手を組むはずがないんだからな。

 まぁ、もしくは何らかの脅迫でも課しているのかもしれないな。

 つまり、『英雄』はある可能性を除いて確実に死亡している。


 が――、


(虚言ではない……少なくとも、メィリ本人はそう信じて疑っていねぇ)


 メィリを凝視するも、何の変化もない。

 やはり、誓約を破ることにより発動する「罰」はないな。

 

「さてはて、どうなっていやがる?」


「――訂正しますわ。 私には、彼が死んだという確証がありません」


「……どういう意味だ?」


「単純なこと。 彼はどのような魔術でも軽く剣を振るうだけで斬り伏せ、空間障壁ですらも意味をなさない。 そんな人物でした」


「そいつは規格外だな。 当時のアンタに同情するぜ」


「だからこそ私は考えだしました。 ――彼を宇宙空間から突き落とせば、流石に滅ぼすことができるのでは、と。 理論上、魔術でも使わない限り宇宙空間に入った時点で内部の重力が狂い、自滅しますからね」


「うわぁ……アメリカンでも自粛したグロ実験を実戦で使っていやがる。 さては前世は地獄の閻魔か」


 なにこの鬼畜怖い。



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