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VRMMОで異世界転移してしまった件  作者: 天辻 睡蓮
一章・「赫炎の魔女」
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賢者との茶会


 このすば完結巻を読んだとき、ちょっと寂しくなっちゃいました。

 続編待望っす











 転移した先には、高原が広がっていた。


 どこまでも続いていると錯覚してしまうほど広大である。

 一体どんな場所に飛んだんだが。


(いや……もしかして、これも空間系魔術? それならば異質な魔力の質も納得できる。 だが、そんなこと果たして可能なのだろうか)


 本来、人が習得することが可能な魔術は一つだ。

 それはかの神獣であっても例外ではない。

 何気なく二種の魔術を保有する初代当主が頭おかしいのだ。

 だが、世の中には例外はつきもの。


 基本、術式改変はあくまで魂魄の『色』を超常現象に付与しているだけ。

 つまり、『色』という一点を除けばほとんどシステムアシストで放っていた「魔法」と大差ないのだ。


 『色』を染めることを諦めればそれなりに多様な魔術を扱えることはできる。

 だが、それでもかなり限られてくるだろう。

 そもそも人間という種族は脆く、そして才能が無い。

 それはどんな天才でも例外はないだろう。


 なんせ、無能のDNAが染みついているからな。


 どんなに努力しても変えられない限界は存在する。

 だからこそ、皆より適正のある『色』を使った魔術を使用するのである。

 ちなみに、神獣の器は例外中の例外だ。


 なんせ一つの器に二つの魂が共存するなんて、その時点で以上だからな。

 最悪、どちらかが乗っ取られる。

 その点、俺や沙織は杞憂だったようだな。

 

 閑話休題。


 まぁ、そんなわけでやろうと思えばシステム内の魔術を操ることはできる。

 でもやっぱりそれを使いこなすことは困難を極めてしまう。 

 あのレベルに到達するには、膨大な月日が必要だろうな。

 それこそ、数百年単位で。


(一体どんなカラクリなのやら)


 俺はそう心中で呟きながら、気配を探る。


 そして――、


「――やぁ、今日は。 不法侵入とは、とんだご挨拶ですわね」


 不意に、声が耳元から聞こえた。


「ハッ! ならお前は無駄に俺の心臓を鼓動させた罰だな」


「それは失礼。 非礼を詫びますわ」


「言っとくが言葉じゃなく態度もしくは行動で示せよ。 表面上だけの謝罪なんてこれぽっちも金にならねぇからな」


「おや、まさか君は私の幼気な体を存分に貪る気ですの?」


「アッハッハ、うけるー」


 俺が沙織以外に体を明け渡すと思うか?

 それは俺への冒涜と解釈していいんだよな? アァ?

 俺は魔力マックスで囁く少女へと威圧をぶつける。


「拒絶? その反応はちょっと傷つくわよ」


「おいおい。 ――戯言も、大概にしろよ」


「――――」


「次は無い」


「……成程。 それが君の根本、かしら」


 ケッ。

 お嬢様キャラはもう出てるんだよ。

 それを理解したら直ぐに御暇して欲しい。

 ルイン並に癪に障る奴だな、〈黄昏の賢者〉ってのは。


「――んじゃ、まず挨拶だな。 俺はスズシロ・アキラ。 仮にとはいえ、ルシファルス家の長女、シルファーの護衛だ」


「当然、知っていますわ。 では、遅れ乍ら私はメィリ。ブランド。 〈黄昏の賢者〉と謳われ、『英雄』に引導を渡した賢者ですわ」


 そして、茶会が始まる。
















「――こうして見ると、お前の第一印象最悪だな、オイ。 まぁ、今もそこまで変わっていないんだけどな」


「おや、辛辣ですわね」


「当たり前だろ……ん?」


 俺、どうしてこんなにこの賢者のこと嫌悪しているんだろう。

 正直、これはちょっとした異常だ。

 俺のスタンスは基本無関心か興味深々の二択。

 このようなパターンはかなり珍しいと思うぞ。


 と、自分自身の感情に戸惑っていると、いつのまにか高原には真っ白なテーブルが展開され、上品な香りが漂う紅茶まである。

 確かに、これは茶会だな。


「一人思考に耽るのもまた一種の美徳ですが、時と場を弁えましたら?」


「おっと、こいつは失礼。 ついいつもの癖でな」


「あら、態度と行動で反省を示さないのですね」


「別に俺は他人に自分の価値観を強制したりもするけど自分を自分で制限するようなマゾ的思考を持ち合わせていないんでな。 そこんとこ、ちゃんと理解しよっ?」


「あら、随分と強欲な人ですわね」


 これ、褒められてる?

 うん、確実に貶されているよね。

 というかさ。


「やっぱり前から思ってたんだけど、紅茶って不味くない? カ●ピスの方が絶対良いよね? 少なくともオレンジジュースでないと俺は許容できない」


「あくまでも私はもてなす側。 貴方はもてなされる側ですわ。 そこら辺、誤解しないように」


「安心しろ。 全て理解しているからこその罵倒だ」


「そうですか」


 おっと、呆れたような眼差しを向けられていますね!

 だが安心しろ。

 図太さなら誰の追随を許さない俺が、その程度で挫けるものか!

 まぁ、そんな戯言はともかく。


「――んじゃ、話をしよう。 なるべく、楽しくなるといいな」


「――聞きましょう」


 俺は豪快に紅茶を飲みながら、口を開く。



「――『英雄』ハ―セルフ・メイカの死。 その真相を、教えてくれ」



 

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