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VRMMОで異世界転移してしまった件  作者: 天辻 睡蓮
五章・「モノペウス・ザ・ネーロ」
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番外編! ある日沙織が幼稚園児になったら①


 どうも、天辻です!


 今回は深夜テンションでこんなお話をかいてみました!


 ちなみに、これの起点はネットサーフィンを実行していた最中、幼稚園服を着た幼女を見つけてしまい……後は推して知るべしです!


 では、番外編、どうぞ!












――俺の名はスズシロ・アキラ。


 月並みにありふれた、ちょっと『賢者』を洗脳してヤンデレにしたてたり、令嬢の寝首を掻いたりもしていたが、きっと模範的に日本人である。


 きっと、多分……。


 閑話休題。


 そんな俺であるが、今現在かつてない程の危機を迎えている。


 具体的に、何が起こったのかを説明すると、こうなる。



「あきら、だっこ。だっこ」



 舌足らずな甘く蕩けるような舌先。

 既に完成された可憐な美貌だとは思っていたのだが、今や沙織の容姿は更に神秘性と可愛らしが同居した状態となっている。


 否、それだけに注目するのは早計だろう。


 なにせ――当初、俺の胸程度の身長しかなかった華奢な沙織であったが、いまやその背丈は俺の腰以下。

 それこそ、容易に高い高~いができてしまう程である。


 つまること。


「沙織が幼児化したぁ!?」


「ちょっと何いってるのか分からないのだ」


 俺もだよ、俺も!


 おそらく、当事者である沙織自身も人一倍混乱も多いだろうが……多分、それは俺のこの焦燥感に勝るとも劣らない筈。

 ま、まあ、それはともかく。


「あきら? どうしたの、そんなにあわててぇ」


「誰だって慌てるだろ!」


「??? あっ、あきら、つかれてる?」


「どうしてそんな回答に!?」


 と、断固として抗議する俺の頭髪を、沙織ミニバージョンは背伸びをしながら精一杯手を伸ばし、よしよしと撫でる。

 

 撫でられた俺の気分というと、まるで広大な砂漠に遭難して、彷徨い続けた先にようやくオアシスを見出したような……!


「よしよーし」


「ああ……」


「うわあ」


 何故かメイルさんが「ないわー。マジないっすわー」という視線を送っている気がするが、きっと気のせいだろう。

 とりあえず、


「ほーら、高い高~い」


「おぉ?」


 俺も相応に子供に対しては好意的な方なようで、まるで幼子をあやすかなように羽毛の如き質量の沙織を抱き上げる。

 ああ……幼児となった沙織も、これはこれで……、


「って、それじゃあアカンやろうが! エッチできないじゃんか!」


「普通、そこを着目するのだ?」


「国際常識だ」


「嫌な真理なのだ」


 ちなみに、沙織はれっきとした処女である。


 俺の場合とある理由で沙織と肉体関係を結びたくないので、結果彼女はいまもなお清い体のままである。

 ああ……尊い。


 おっと、また話は移り変わってしまった。


 周囲を見渡してみるが、しかしながら龍艇船のエントランスに在宅するのは、俺とメイルと、ついでに幼児一人。

 というか、さっきまで着ていた服が幼児化した弊害がぶかぶか、というか今にも脱げ落ちそうで……非常にきわどい。


 具体的には、沙織の艶姿を俺以外の人間が垣間見てしまったその事実に耐えられるのか、心底不安である。


「メイル。死ぬ覚悟はしておけ」


「唐突な殺害宣言!?」


 じりじりと後ずさるメイルをしり目に、俺はいかにも周囲へ拡散するような声量で声を張り上げる。


「あー、こんな時に優秀な魔術師がいたらなー。メイルみたいな脳筋以外に、もっと聡明なやつがいたらなあ!」


「そんなやついるわけ……今ディスらなかったのだ?」


「気のせいだ」


 む。気配。


「お兄ちゃん、どうしたの」


「ん、ライムちゃん。今回は遅かったな」


「ご、ごめんなさい。ちょっとお兄ちゃんの私服を漁るのに忙しくて……」


「そっか。それじゃあ、早速患者を診てもらおうか」


「誰もニンゲンの下着を漁っていたことにはツッコまないのだな……」


 常識である。














 数分後。

 

 事の顛末を聞き終えたライムちゃんは、一言。


「――お兄ちゃんを誘惑しやがる卑しいメス豚は、破滅すべきだと思うわ」


「想像を絶する程に辛辣なのだ」


「おっ。ライムちゃん、今回のコメントはちょっと優しさが混じっていたな」


「えへへへ……」


「どこが!? 優しさ、どこなのだ!?」


 ほら~高い高~い。


 キャハハハ(満面の笑み)。


 にへっ……。


「もうダメだ……。この人会話が成立しない」


「お兄ちゃんは、いつもこうよ」


「うん、知ってるのだ」

 

 外野、今ちょっと幼児とアレコレするのに忙しい方から丸二日息を止めてくれないかな?


 無論、そんな物騒なことを、大いに平和を愛する模範的な日本人であるこのれが吐露するはずもなく、にこやかに豆を弾く程度に留めておく。

 悶絶する両者をスルーし、俺は幼児バージョンな沙織を精一杯甘やかす。


「お兄ちゃんから虐待された……うぅ」


「ちょ、ニンゲン、貴様どんな膂力をしてるのだ……!?」


 面倒ごとの排除はお手のもである。


 まあ、そろそろおふざけも終いにするか。


「――ライム先生。娘は助かるんでしょうか!?」


「死んでます。今すぐ大空から投げ捨てた方が得策でしょう」


「情緒不安定!? というか、ニンゲンの妹、お前言葉の端々が本当に物騒なのだ! せめて殺意をしまうのだ!」


「殺せば、自然おさまるわよ」


「短刀を研がない!」


 なんだろう、メイルが苦労性のオカンに――殺気!


「――次は、ないのだ」


「イエス、マム」


 ハイライトのない眼差しで、こちらを振り返すメイルさん。


 うん、不用意な言葉を言い放った瞬間絶対殺害される残虐な未来が見え透くな!

 そんな雑感はともかく。


「……で、ライム。真面目に、沙織のみに何が起こったんだ?」


「はあ……面倒だけど、答えてあげてもいいわよ」


「わあ、妹最高! 結婚したい!」


「それなら婚姻届けを――」


「世辞だよ、世辞」


「そっか……」


 おっと、ライムちゃんが過呼吸をおこしながら静脈をカッターナイフで切り裂いてしまおうと……


「サイコ! サイコなのだ!」


「ちょっと何言ってるのか分からないわ」


「それはメイルのセリフなのだ!」


 メイルさん、渾身のツッコミ。


「……それじゃあ、もう面倒くさいしさっさと告げるわ。このメスが――この子がこんな風になった起因、それは――」


 ライムちゃんは「心底呆れました!」と表情で言外に示しながら、溜息を吐き、その衝撃的な真相を突きつける……!


「――ただの、食中毒だわ」


 なん、だと……?



                           《②へ続く!》


 ちなみに、②は二十話くらい後になりそうです。


 不定期更新になるのはご愛嬌です。

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