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VRMMОで異世界転移してしまった件  作者: 天辻 睡蓮
三章・「眠りの道化師」
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お黙りするのだ


 梅雨って好きですけどじめじめするので嫌いです












 レギウルス曰く、事の顛末はこうだ。


 今俺たちを音速さえも容易く上回る速力で泳ぐリヴァイアサンには高度維持などの、飛行する上で必須となる機能が複数備わっているらしい。

 ちなみにそれの元ネタとなったのはあるルシファルス家の発明だったらしい。

 あの人活躍しつぎて悪用されてるし。


 流石に不憫に思った今日この頃。


 閑話休題。


「『千里眼』ね……そんな魔術、どうやって付与した?」


「魔術じゃなくて普通の魔法だぞ。 魔術なんてそもそも使えるヤツなんて、それこそ万に一つだからな」


「ああ」


 確かに、言われてみればそうだな。


 ライムちゃんを筆頭として、俺の周囲は自分を含め魔術を当然のように扱える人材が居るのだが、それは決して普遍的なモノではない。

 レギウルスの例えだって間違っているとは思えない。

 なにせ、魔術を会得するということはシステムから飛び降りるのと同義。


 とてもじゃないが『神威システム』の支配から逃れられるような奴がそうやすやすと存在するとは思えないわな。

 じゃあ、辿り着く解答は唯一無二。


「……付与魔法か」


「そういうことだ」


 余談なのだが、付与魔法と付与魔術は大きく勝手が違う。


 それこそたった一文字異なるだけなのだが、その一文字が与える影響は実に莫大であることは火を見るよりも明らか。

 

 付与魔術はある種創造魔術にも似ており、ありとあらゆる魔術を物質に付与することが可能である。

 しかしながらそれに対し、付与魔法が付与できる魔法は『鋭利化』や『灼熱』程度の稚拙なモノだ。


 しかも最大の難点は消費魔力。


 ヴィルスト曰く、付与魔術はほとんど魔術を浪費しないそうだが、しかしながら付与魔法は大きく異なる。

 付与魔法で切り捨てる魔力は、おそらく俺の『天衣無縫』にさえも匹敵するレベルなのではないだろうか。


 一度鍛冶を経験したからこそ、その難解さが否応なしに理解できてしまう。


「随分と腕のいい付与術師が居たものだな」


「まあ、それに関しては同感だな」


 流石にレギウルスも『千里眼』やその他諸々の魔法を魔法の範囲内で付与してしまうその手腕に舌を巻いている。


「推し量るに、その『千里眼』に龍の姿が補足できたんだってことだな?」


「そういうことだ、アキラ。 お前本当に理解が遅ぇな」


「頭が残念なのだ」


「幾ら俺でもお前らみたいに平然と人の心読めねえし、そもそもの話そんな便利な機能備わっていること自体初耳だわ」


「ハッ。 参謀(笑)ならその程度把握しろよ」


「別にいいでしょ実害はないんだし」


 ライムちゃんの手腕を借りないとそういう芸当は不可能だし、俺もそこまでして気になるモノはなかったからな。

 捜査したといえばブービートラップや盗聴くらいである。


 まあ常日頃万全を期すのが自称参謀としての責務であり、それに則ると確かにメイルたちの物言い通りに今度からは念には念を入れて確認でもしておこうかなと思案する。 どうでもいいな。
















「……で、龍はどこで目測されたの?」


「ニンゲン共の集落なのだ。 見捨てるのだ」


「私情と私怨に満ち足りた発言ありがとよ」


 どうやら背に腹は代えられないとはいえ、まだまだメイルも多少なりとも人族への偏見が根強く残っているらしい。

 もちろん、その声音は無視して思案する。


「さて……見捨てるべきかさっさと討伐するべきか」


「初めから同族が蹂躙される姿を見殺しにする選択肢がある時点でニンゲンの性根が如何に腐っているのか理解できるのだ」


「ニンゲンじゃなくてアキラな。 お前そろそろ名前覚えろよ」


「お前何女の子になんて下品な言葉を公衆の前で言わせる気か!?」


「お、女の子……っ」


 レギウルスがどれだけ俺のことを好ましく感じているのか否応なしに理解できる発言に涙が止まらない。

 余談であるが、その年で幼気な女の子扱いされたメイルは一人羞恥心故か頬を染めながら照れている。


 うん、ナイスバカップル。

 嫌がらせとしか思いようがないやりとりにソファーの取っ手取っ手が完膚無きままに砕け散ってしった。

 

 ハッ、いかんいかん。


 ついつい嫉妬に狂って何の非もないモノに八つ当たりしてしまった自分自身に反省し、俺は無言でレギウルスの顔面の予備動作のない無駄に洗練された無駄のない無駄な一撃を披露し、そのまま何食わぬ顔でソファーに寝転ぶ。


「安心しろ。 俺は物に八つ当たりなんてしない聖人だから」


「はて、どうやら俺とお前とで認識に若干の差異があるようだな。 うん、しょうがないよな。 皆違って皆良いんだから。 だから多少の文化の違いも受け入れられるよな?」


「許容する暇もなく死ぬぞ、それ」


 爆鎖鎌を乱雑に振り回す暴漢魔。


 キャー、変態よ!


 と、野次を飛ばす俺の頭部に鈍痛が。


「ぐへっ」


「アキラ、話し合いはさっさと澄ませよ? この間にも犠牲になってる人だっているんだし、それを考えると浮かばれないよ」


「そ、そうっすね」


 氷点下が如き眼差しで俺を見据える沙織へ、俺は頭髪を中心に広がる激痛に半ば土下座するように頭を下げる。

 ふと、頭髪の隙間から俺と同じように鉄拳を喰らうレギウルスの姿が。


「レギ、お黙り、なのだ」


「う、うっす」


「よろしい」


 なんだか岩盤がクレーター状に歪んでいる気がするが、きっと気のせいや幻覚の類だと自分を納得させる。


「……お前ら、見事に尻に敷かれているな」


「ケッ。 理想の彼女をもってるオッサンは良いよなあ!」


 呆れたようなガバルドの眼差しが酷く癪であった。


「それで、結局のところどうするんだ? このままじゃ集落が滅んでいくのも時間の問題だと思うぞ?」


「あー、そうだな。 ――無論、助けてやろうじゃないか?」


 話題を修正するガバルドに物怖じることなく、堂々と発する。

 俺の発言に、目を見開きながら、ガバルドは「そのこころは」と心底怪訝な表情で問いかけていく。


「なんか唐突に正義の心が芽生えた」


「おいスズシロ妹、治癒魔術を」


「了解なのよ」


 ピカーンッ。


 優しき仄かな陽光が俺を包む。


「……そこまで不思議か?」


「頭がおかしくなりそうだったな」


「そこまで言う!? そこまで言っちゃう!?」


 何故更生したというのにこのように辛辣極まりない態度で接さられるのか分からず首を傾げながら、俺は滔々と理由を語る。


「どうしてって、単純にデータ徴収だ。 そもそも俺って龍とかこの世界の魔獣についてあまり知らないからな。 龍の生態系を知る上でこれはかつてない機会だろ?」


「ああ、よかった。 真面な理由だ」


「なんでこんな打算にまみれた由縁で安堵するんだよ」


 もう酷いとかそんなレベルじゃないぞと盛大に嘆いたのは言うまでもない。




 なんだかアンダーバーさんの歌枠の「パーパーパパパ♪」を聞いていると頭がおかしくなってしまいました。

 というかあの人意外とイケボでビビりましたよ。 というかサムネはもうちょっと頑張ろうよ。

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