表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
VRMMОで異世界転移してしまった件  作者: 天辻 睡蓮
一章・「赫炎の魔女」
25/584

眠り姫の目覚め


 黒閃のエフェクト最高過ぎます。

 鬼滅の19話なみの神回でしたね。 特に五条バージョンかめかめ波










「……ここは?」


「あぁ、起きたか」


 今この瞬間も揺れ動く馬車の中、可憐かつどこまでも澄んだ声が響いた。

 

 美少女って、顔だけじゃなくて声までもビューティフルなんだな。

 まぁ、俺は全然欲情しないけど。

 だが、沙織の寝込み姿は……前屈みにならざるを得ないな。 

 だって、男の子なんだもの。


「さてはて、自分への言い訳も済ませたところだし。 ――久しぶり、と言った方がいいか?」


「――――」


「だんまりか。 悲しんじゃうぞ?」


 少女は黙って俺を見つめている。

 というか、


「手、離してくれません?」


「あっ! は、はいっ!」


 耳まで赤面した少女は大慌てで繋いでいた手を引き離す。

 だが、俺にはどうも名残惜しそうに見えたんだけどな。

 うん、女の子の心中は分からん。

 

 さて、気を取り直して取り調べ――情報収取を始めますか。

 

「一応聞くけど――名前は?」


「わ、私はシルファー・ルシファルスと申します。 以後お見知りおきを」


「あ、そういう礼儀作法は要らないから。 だって面倒臭いじゃん? 無礼講精神で根掘り葉掘り話そうぜ?」


「――――」


 俺の身勝手な意見に思わず瞠目する少女。

 まぁ、確かに洗脳と言っても大差ない教育を受けているお嬢様だ。

 赤子の頃から礼儀作法を叩き込まれたのだろう。

 が、知らん。


 別に礼節が無駄だとは言わない。


 だが、ただ単純に俺が面倒臭がっているだけだ。

 だって礼儀とか疲れるじゃん。

 一応、俺だって完璧じゃないが貴族のパーティーに出ても悪目立ちしない程度の礼儀作法は身につけている。


 けどなー、普段から適当に接しているせいか、どうも慣れない敬語なんて使うと、頭が疲れるのだ。

 もうちょっと人を敬おう。

 多分平気で蹴とばすけど。


「ま、そんなわけで俺の無礼は目を瞑ってくんない? そうしてもらおうと助かるなぁー」


「分かりました……」


 あ、納得するんだ。

 高貴な姫さんなら「無礼よ! 死刑にしてやるわ!」とか良いそうだったんだけど、どうやら俺が邪推しすぎたらしい。


「なんか、御免な」


「……何のことですか」


「いーや、姫さんには関係のないことサ」


 俺はそう言いくるめながら女の子座りをする姫さんを一瞥する。


 お嬢様なら金髪、と思っていたのだが鮮やかな桃色だ。

 まるで猫のように丸いその瞳は二次元イラスト顔負けの美しさを誇っていた。  

 ルックスも当然の如く整っており、可愛らしいその顔はどうも庇護欲を刺激される。

 思わず守ってあげたくなるような女の子だ。


 今は長くの監禁生活により顔は生気を失っており、体もやせ細ってしまってるが、健康な体を取り戻したら立派な淑女へ変貌を遂げるだろう。

 年齢は……中学2~3年程度?

 ロリっ子である。


「……今、失礼なこと考えていませんでした?」


「アハハハ、キノセイダヨ」


 緩急のない声色で淡々とそう告げる。

 

 そんな俺はジッと呆れたようなジト目で見つめる姫さん。

 居心地悪いことこの上ない。

 だが、少し興奮しちゃう俺はおかしいのだろうか。


「さて――本題に戻そう。 姫さん、あんたは自分の身に何が起きたのか、理解しているのか」


「は、はい。 ある日、私たちの屋敷は、魔人族の男に襲撃され――――死んだッ! 皆殺されたッッ! ()()()()()()ッ‼」


「――――」


 ハッハッハ、淑女でも何でもないじゃないか。

 だが、姫さんの言葉から断片的に何が起きたのか理解できた。

 でも、疑問も生じてしまう。

 一体、誰がルシファルス家なんていう名家へ襲撃した?


 かつて二度も魔人族たちを滅ぼしかけた伝説の一族――それこそが、ルシファルス家なのだ。

 当然、護衛もある程度の実力を持ってるはず。

 だというのに、単身での襲撃。

 どう考えても違和感しか感じないな。


 そんなに自殺でもしたいのか――余程自分の実力に自身でもあったのか。

 前者だと楽で良いんだけどなー。

 だが、結果からしてほぼ確実に後者。

 はぁ……本当に懸念しか浮かばないな。


 まぁ、未来のことを悩むのは今は、止めよう。

 俺が向き合うべきなのは、「先」よりも「今」なのだから。


「――落ち着け、姫さん」


「……ハッ」


「ったく……びっくりしたぞ? なんせいきなり発狂? するからな。 気をつけろよ? 常人だったらドン引きしてたから。 まぁ、俺も「うわぁ」って思ったけどね!」


「……取り乱してしまい、申し訳ございません」


 今にも消え入りそうなか細い声でそう謝罪する姫さん。


 分かるよ、俺にはその気持ちよーく分かる。

 例えるなら厨二時代の口癖を永遠とビデオで再生された時のような苦痛だろう。

 俺は慈愛の眼差しを姫さんを向ける。


「覚えているのはそこだけか?」


「いえ……朧げではありますが、『傲慢』という単語を何度か耳にしました」


「またかよ……ッ!」


 『傲慢』、あんたどんだけこのストーリに関わってるの!

 もはやその勢い、主人公並である。

 もうちょっと自重して欲しいと思う。

 よし、『傲慢』は一度徹底的にシバいた方が良さそうだな。


「その先の事は?」


「……済みません、ほとんど夢でも見ているような感覚でしたので、それ以上はちょっと……」


「そうか。 ――なら、俺が話すのはその後の話だ」


 そして、俺は淡々とこれに至るまでの道のりを語り始めた。

 

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ