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VRMMОで異世界転移してしまった件  作者: 天辻 睡蓮
一章・「赫炎の魔女」
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ルシファルス家


 五条さんカッコイイいいいいいいいいいいい!

 「紫」の演出最高でした!

 やっぱり五条さんの目鮮やかでイイネ!










「――それで、友を見殺しにした気分はどうだ、アキラ」


「……言い方、言い方よ」


 もうちょっとオブラートに包もう? ね?

 まぁ、それができないからこんな事態になったんだけど。

 今この馬車に居座るのは俺とガイアスの二人のみ。

 まぁ、性格には姫さんを含まれているんだけどな。


 極度の疲労により失神した姫さんだが、それでも俺の手から腕を離してくれない。

 なんやねん、と最初は警戒していたがどうやら無意識にやっているようだ。

 殺意も、無い。


 変に騒いで面倒なことになるよりは、現状維持が最適と判断したまでだ。

 それでも安吾や月彦に白い目で見られたが。

 意味が分からん。


「――否定は、しないのか」


「もう、全部分かっているんだろ? ならわざわざ否定する気力は湧かんな」


「そうか」


「それで――責める?」


「……いや、それは無駄だろう」


「よく分かっているな。 大正解。 なんなら飴ちゃん居る?」


「要らん」


「残念っ」


 うん、ガイアスの見解は正し。

 どうあっても俺はこの考え方を止めないし、そもそも変えられない。

 それこそが俺が生まれ持った美徳であり罪なのだから。


「……器を間違えたか」


「俺みたいなちょっとばかり頭をトチ狂っている野郎じゃなけりゃ、器以前に魂魄が崩壊するんだろなら、少しぐらい感謝でもしたらどうだ?」


「恨むぞ。 お前を生み出した両親を」


「ハッ」


 随分と安い挑発だな。

 その安直さ、まさにうま●棒レベルである。

 その程度の挑発で揺揺らぐようじゃ陰謀なんてやっていられないよ。


「……それで、その娘はどうする?」


「利用価値はあったら是非とも運用するけど、能無しだった放置かな。 ぶっちゃけ姫とかそこまで興味ないし」


「……そういう話ではない。 その小娘の魂魄、余程のことがあったのか亀裂だらけだぞ。 いつ崩壊してもおかしくはない」


「――――」


 その話を聞き、困惑する。


「――どうして、そんな話を俺に? ガバルドら辺が適任じゃないのか?」


「……見通す獣が宣言しよう。 今のこの娘には『温度』――お前が必要だ」


「知らねぇよ。 腐るなり発狂するなり勝手にしろよ。 俺が苦しくなるわけでもないんだしな」


「――ルシファルス家の魔術、知っているか?」


「――――ッ」


 ルシファルス家。

 かつて、二度にわたり魔人族を破滅へと追い込んだ古の一族である。

 それが何の関係性があるかと言うと――、


「こいつが、そのルシファルス家なのか? それと、お前は「魔術」っていったよな? 魔法じゃなくて魔術。 言い間違えか? それとも――」


「全てお前の読み通りだ。 ルシファルス家が扱うのは紛れもない魔術。 それも、お前のようにわざわざ術式改変を習得しないでも発動できるぞ」


「……けっ。 これだからチートは」

 

 俺がどれだけ術式改変を習得するのに苦戦したか。

 それはもう、本当に面倒臭かったとしか言いようがない。

 だが、そこは今問題じゃないんだよなー。


「――で、肝心の魔術は? う○い棒を無限に生産できる、とかふざけた能力だった殴り飛ばすからな」


「安心しろ。 おそらく、お前の期待に添えられるだろう」


「……聞こうか」


「――――――」


 そしてガイアスは淡々とその事実を語りだした。

 それを聞き終えた俺は、眉間を指で挟んで揉み、なんとかその情報を処理しようとする。

 ……マジか。


「信憑性は?」


「ほぼ、確かなモノだと言っていい。 なんなら図書館にでも調べに言ったらどうだ?」


「……後で言ってくるわ」


 俺は諸々の事情で王国に足を踏み入れることすら叶えていない。

 それの確認は王国で澄ませるとしよう。

 だが――、


「もしそれが本当なら――利用価値は大いに存在するな」


 俺は本当に運が良い。

 こんなご都合主義の塊みたいなお嬢さんと出会うなんて。

 神様も意外と優しいんだな。


「……どうするつもりだ?」


「分かっているだろ? まず精神崩壊は防がないとな。 余程の術師ならまだしも、まだ姫さんの技量は未熟。 操り人形のような状態にしたとしても、その力を発揮できる可能性はかなり低いだろうな」


「そうか」


 精神をバラバラに崩し、その弱みにつけこんで思いのままにする、なんていう選択肢も存在するはする。

 だが、それではメリットよりもデメリットが上回ってしまうだろう。

 流石に、そういう展開は御免だな。


「んじゃ、俺は俺で。 お前はお前で行動させてもらうよ。 お前こそ何を企んでいるのか知らんが、なるべく敵対しないといいな」


「――――」


「沈黙は肯定のなによりの証明だぞ? まあ、こんなこと赤子でも分かるだろうがな。 ――そもそもがおかしいんだよ。 お前はまだこの世界の確かな情報源を確立していないはず。 王都にすらも入っていないしな。 ――なのに、そのハッキリとした口調。 余りにも知りすぎている」


「……何がいいたい」

 

「アッハッハ――暗躍するなら、幾らでもするがいい。 それは個人の自由だ。 だが、俺と敵対するなら――生きて帰ることを考えない方がいいぞ」


「――――俺は、もう出る」


「そうかい。 気を付けてな。 ま、心配要らないか」


 ガイアスはそう告げると、馬車から降り立って行った。


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