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VRMMОで異世界転移してしまった件  作者: 天辻 睡蓮
二章・「アソラルセの剣聖」
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蒼の氷柱


 何か前の話の最後のシーンから物語が続いていない件について。

 ……執筆する日に一週間もの時間が空いたから仕方がないのだよ、ホントスミマセンでした!

 

 とりあえず、巨大な氷柱をぶっ放すまでこんなことがあったんだー、的なテンションで見てもらったら幸いです。













「――――」


 一瞬。

 コンマ一秒が生死を左右する極限状態の中で、俺はたった一瞬眼前の光景を脳裏から引き抜き、代わりに四次元上の思考に白熱する。

 魔術というモノは存外奥深く、難解なモノ。


 迎撃する対象が生半可なモノならば容易に一蹴できた。


 だがしかし、相手は稀代の『賢者』。

 必然、彼女が繰り出す魔術が生易しいモノの筈がなく、見栄えなどお構いなしにただただ研ぎ澄まされた殺意が隕石として体現する。

 故にその迎撃に使用する魔術も互角以上が求められるだろう。


 が、果たしてそれを構築するだけの暇を『賢者』は俺に与えるか。


 仮に与えられたとして十中八九それは悪質な罠。

 一瞬、手放していた視覚に陽光のように煌めく輝きを視認した気がした。

 隕石の閃光銃の二段構え。

 その外見に似合わぬ用意周到さだ。


 それともボス――ルインあたりからの入れ知恵か?

 どちらにせよ、面倒な状況というのには変わりはない。

 

 今まさに俺を押し潰そうとする隕石は追尾式。


 例え今ここで躱したとしてもそれは無意味か。

 それに対応するには迎撃し、隕石を粉砕する他ないな。

 時間が有限でなければそれも容易だっただろうが、悪趣味なことに俺へと迫りくる光線がそれすらも許しやしない。


 ならば――、


「――――」


「なっ」


 刹那、絶大な衝撃と共に高原から吹き飛ぶ。


 己自身に大威力の魔術を放ち、その威力でぶっ飛ぶという荒業を以て致命の光線から逃れた俺は、そのまま新たな魔術の構築に没頭する。


 俺は己へと容赦情けなく放った氷槍に込めた魔力を即座に解く。

 すると一瞬で氷槍は個体から液体状へと変化し、重力に従い地面へぶちまけられる寸前、再度魔力を加え浮遊させる。

 折角のストック、こんなところで失っては雲息が怪しくなってしまう。


 水のストックは有限。

 ならば合理的に使用しなければ直ぐに底をついてしまうだろう。

 リサイクルした水滴を俺は慣性に従い吹き飛びながらも限界まで圧縮、そのタイミングで温度を調節し、氷柱へと変貌させた。


 物体の圧縮は相当高度な技術だ。

 

 ガイアスやちびっこ『賢者』ならばともかく、俺のようなバリバリ初心者が手を出していいモノではない。

 だがしかし、それにも例外が存在する。

 物体を圧縮する際、より圧縮しやすいのは液体に決まっている。


 液体の圧縮ならば俺程度の術師でも割と容易で。

 そしてガイアスの術式対象は――『水』。


 この状況下では逆に失敗する方が難しいよなぁ!


「蒼海乱式――『蒼天』ッ」


「――――」


 













――それは、流星群のように隕石へ迫り、粉々にしていった。


 虚空に構築した巨大な氷柱は、俺の意思に順々に従い初速は音速をもゆうに超える速度で物理法則無視の軌道で迫りくる隕石へと激突していった。

 研ぎ澄まし、圧縮された氷槍の刺突の威力は絶大。

 故に結果は必然だった。


「――――」

 

「ちっ……」


 轟音。

 それと共に高原に大量の礫や石をぶちまけながら、常軌を逸する動作で俺へと肉薄する質量の塊は砕け散っていった。

 その事実に歯噛みするメィリだが――、


「――これで終わりじゃないぞ」


「――。 ッ」


 刹那、つい先程超巨大な隕石を穿った氷柱が何の前触れもなく砕け散る。


 込められた魔力が尽きたから?

 ――否、断じて否。

 そしてその不可解な現象の答えは、『黄昏の賢者』メィリの頬に流れた鮮血を以て証明されることとなった。


「なっ――」


「――数は暴力って言葉知ってる? それともはたまたこの世界にはそんな慣用句ないってか? っていうかこれ慣用句だっけ」


「――――」


「その顔。 どうやらこの世界にはないらしいな。 残念残念」


 メィリは信じられないようにまじまじと己の頬を流れる血流を凝視する。

 

 何故?

 流石に巨大な氷柱をそのままメィリへぶちまけるのは面白みがない。

 というか面白い面白くない以前に、その程度の脅威ありとあらゆる魔術を繰り出すメィリにとって何の脅威にもならないのだろう。


 ならばどうするか。


 その答えが虚空を踊るように舞う数えるのも馬鹿らしい数の小さな小さな氷の破片であった。


「そういうことですか……!」


「ん? 今更分かった?」


「――――」


 見下すことに慣れていないのか、屈辱を吐き捨てるように「ハッ」と俺の妄言を鼻でわらうメィリ。

 流石にこれだけ見せれば幼女の拙い思考回路でも理解できたのだろう。

 魔術は一度使えば基本的に再使用は不可、それが原則だ。


 だが、それも『ループ』を手にするまでの話。


 詳しい話は割愛するが、『ループ』という魔術の基本となる改変魔術の極地を手に入れたことによって俺の魔術師としての腕前は昨日までとは一線を画すモノとなっていた。

 だからこそ、このような芸当も容易、とはいかないものの、不可能という程ではないんだよねぇー。


 役目を終えた氷柱に込めた魔力を遮断することなく、巨大な氷柱を分散され大規模な弾幕へと変貌させる。


 一撃必殺は威力が足りない。

 しかし――果たしてこの弾幕を真面に喰らって華奢な少女がそれに耐えきれることが可能なのだろうか。


「――圧縮、集散」


「……この程度の脅威、脅威と言う言葉すら似合わないですわよ」


「虚勢を。 というかお前、まだその気色の悪いお嬢様口調続けるの? お前の本性を赤裸々にしたアキラさんにとってそれは嘔吐レベル、もっといえばGレベルの気味悪さなんですけど。 ――さっさとそのお粗末な仮面でも投げ捨てて、それから死ねよ、『賢者』」


「……なら、やってみるといいさスズシロ・アキラ」


「ハッ。 やっぱりお前はその舐め腐った中二みたいな態度がお似合いだな。 ――それじゃあ、存分に風穴開けてやんよ」


「――――」


 そして、宙を踊り舞う鋭利な破片は、次の瞬間弾丸を彷彿とさせる勢いで『黄昏の賢者』メィリ・ブランドへと放たれていった。





 改変魔術の詳しいことはまた後日、多分八章くらいに詳しく掘り下げると思います

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