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VRMMОで異世界転移してしまった件  作者: 天辻 睡蓮
二章・「アソラルセの剣聖」
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屍を晒せ


 イメージは呪術の十一巻の五条さん無双です。

 ちょこちょこ伏線も入っていますので、もしよかったら探してみてくださいな。











「油断大敵とはこのこと――」


「あんたがな」


「はっ――?」


 現状アキラは体中にルインたちの手によって数多の傷が刻み込まれ、直視することさえ憚れるような満身創痍な状態である。

 そしてルインの刺突は明らかにアキラの心臓を刺し貫いて――違和感。

 何かが間違っている、だがそれが何かが理解できない、そんな歯痒い感覚だ。


 実際その違和感は間違ってはいなかった。


「それじゃあ、お返しというこうか。 ――獣宿・【獅子】」


「――――」


 悲鳴すらない、剛腕がルインの整った顔面を強引に歪める。

 

 その醜悪な様に思わず笑みすら浮かびながら、そのまま一転して満身創痍となっていったルインへ追撃を――、


「させつかぁっ!」


「――――」


「どうでもいいけどあんたの眷属って無言が平常運転だよね。 もしかしてコミュ障の御方ですかぁ?」


 と、吹き飛ぶルインへ賭けようとするアキラを主の危機に駆け付けた『老竜』デファンスと金色龍が参戦する。

 だがしかし、その程度の障害停滞の言い訳にもならない。

 そのまま、前へ、前へ――!


「どうせ『老竜』は謎バリアで殴っても不毛なんだからさぁ――まずはお前が地獄を見ろよ、金色野郎」


「――――」


 凄絶な笑みを浮かべたアキラは、己へ鋭利な鉤爪を薙ぎ払い、同時にスパークとはどこか異質な極光を吐き出す龍へ肉薄する。


 その光景に嫌な予感がするが、警告すら手遅れ。

 アキラは迎撃するまでもなく絶好調の身体を行使し軽やかに跳躍し金色龍の薙ぎ払いを躱し、そのまま変則的な動きで謎物質も回避。

 そして――金色龍の懐へ、もぐりこんだ。


「――屍を晒せ、獣風情がっ」


「――――」


 メイドインルシファルス家印のブーツに付与された魔術を発動し、虚空に透明な障壁を展開し、簡易の足場として跳躍する。

 スパークする巨大な口元を晒し、今まさにアキラを喰らい尽くそうとする金色龍の思惑をあっさりと裏切る。


 アキラは巧な技巧で空中で鮮やかに戒杖刀を振り払い、その顎門が己を引き千切ろうとする顎へ一太刀浴びせた。

 鋭利な蒼刃が一瞬で金色龍の顎を撫でた直後、鮮やかな深紅の血飛沫が宙にぶちまかれ、アキラの頬を濡らす。


 金色龍は声にならない悲鳴をあげ、故に動作が中途で中断されてしまう。

 アキラは呻く金色龍の顔面を握り――、


「首元から顔面が引き千切られる感覚、味わったことはないか?」


「――――!」


 金色龍の瞳に宿ったのは紛れもない恐怖。

 そう、それは今この瞬間只人であるはずの『ニンゲン』を至高の極地である『龍』が恐怖したのだ。

 そして――大量の血飛沫が宙を舞った。


 何故?


 理由は単純明快、莫大な魔力によって無理矢理極限まで強化したアキラの膂力が金色龍の顔面を宣言通り首筋から引き抜いた故である。

 怨嗟に満ち満ちた絶叫が、静謐だったはずの高原に響き渡った。
















「あがっ」


「――?」


 不意に、金色龍の息の根を余りに強引な手段で断ったアキラの鼓膜を、大量の液体がぶちまけられた音が揺らす。

 怪訝な表情で振り返ってみると、驚いたことに金色龍とほとんど無関係な筈の『老竜』デファンスが血反吐を吐き出していた。


 理由は定かではない。

 『老竜』の切羽詰まった形相からブラフという可能性はほとんど断たれたといっても過言ではないだろう。

 つまり――好機!


「次はお前の番かぁっ?」


「ぐっ、がぁっ」


 未だ口元から大量の鮮血を吐血しているデファンスへと、アキラは容赦することなく生じた隙へ付け込んだ。

 疾風が如き速度で肉薄し、そして、限界を超えた膂力でデファンスの心臓めがけて刺突を繰り出す。


 背後で慌てた様子のルインやメィリが対応しようとするが、それでもこの距離だ。

 ルインの身体強化技術ならば三秒もあれば詰め寄ることが可能な短距離であるが、その三秒で万々歳。

 

「――ハァァアッ‼」


「――――」


 一瞬、先刻は手ごたえがなかったはずの障壁は奴の吐血がなんらかの起因となったのか抵抗感が生じる。

 そしてアキラはこの千載一遇の好機を逃さないようにと、柄がひび割れる程の腕力で再度戒杖刀を振るう――、


「無意味なことばかりに勤しむその姿――愚劣の極みッッ!」


「ッッ――」


 ――が、しかし、今のアキラの渾身の一撃でもその不可視の障壁を破ること叶わず。


 そして――時間が、追いやってくる。


「――――」


「タイムオーバーってやつだよ、スズシロ・アキラ」


「囀らないでよ、ゴミ屑。 ――〈樹天の激昂〉」


「愚劣、愚鈍、愚物――即ち愚者ァ!」


 背後からは嵐のような猛攻、上空より群れを成す莫大な物量の槍のように鋭利な蔓、眼前からはスパークする雷光。

 それらをすべて捌き切るのは不可能、しかしこの体力では一発でも喰らえば即死する可能性すらさる。


 ならば――鬼札を切る。


「なら、万象を否定してやんよ。 ――【天衣無縫】ッッ!」


 そう啖呵を切った直後、アキラの周囲を得体の知れない暗黒の『何か』が包み、内部に人一人すっぽり入り切る程度の空洞をあけ展開される。

 だが猛攻を繰り出すルインたちにはどうやら頓着するべきモノではないと判断したようで、そのまま激烈な猛攻を開始するが――、


「なっ――」


 無傷。


 暗黒の『何か』の干渉が終了し、再度スズシロ・アキラの姿が露出する。

 だがしかし、驚いたことにその体にはつい先ほどまで重なっていた数多の傷跡が綺麗さっぱりなくなっており、完全に無傷である。

 自明の理だ。


 そう、当たり前なのである。

 そもそもの話、アキラに攻撃など一度も当たっていないことと()()されたのだから。


「こういう器用なこともできるようになったんだぜ? さてさて、逆転劇、再開だ――!」


 と、薄く嘲笑を浮かべるスズシロ・アキラの脳天を――、



「――死んで、■■■■■に詫びろ」



 ――龍と魔人族両者の血を引き継ぐ鮮やかなパール色の半端者の右腕に握られたナイフが貫いていた。




 私大分県永住だから『スライム』のアニメ見れないの残念。

 動くライカちゃん(ロリ)が見たかったよ……

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