表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
VRMMОで異世界転移してしまった件  作者: 天辻 睡蓮
一章・「赫炎の魔女」
12/584

作戦の解禁

 

 書きたいシーンが書けない時って大抵懊悩する











 そして、深夜零時の鐘がなる。

 

 重苦しい重低音は凄まじい勢いで周囲へ拡散され、空気を振動させていく。

 そんな大抵の住民が惰眠を謳歌している時刻にて。


「……先輩、なんですか、そのタイツ」


「えっ? 何って……隠密装甲に決まっているだろう」


 俺を含む計九名の兵士たちが時計塔へと集まっていた。

 そして何故か「こいつ何やってやがる……」的な呆れの視線を俺は後輩から注がれた。

 これで何回目だっけ。


 ちなみに、現在俺はその身の漆黒の装束を纏っており、闇夜に紛れている。

 だというのに「異議あり!」と某弁護士みたいなに俺をみないでくれ。

 なんせ、国の運命を左右するミッションだ。

 それ相応の格好で来ただけなのに、なんだこの反応は。

 

 完全に予想外である。

 

「なぁ、普通に〈隠形〉使えばよくね?」


「あっ」


 確かに。

 むしろスキルなんていう確かなモノの方が信用できる気が……

 しかぁし!


「いや、俺今スキル使えないんだよな」


「――――」


 非常に遺憾なことながら、現在俺は『神威』との関係の一切合切を切断されている。 

 当然、〈隠形〉も使えないのだ。

 そもそも俺〈隠形〉スキルそこまでレベル高くないし。

 

「先輩だってそこそこの古参でしょう? 気配を消すアイテム持って居ますよね? それよりも断然効率が良い」


「…………」


 確かに、石ころサイズの気配遮断効果が付与されたアイテムを持って居た。

 そして、例外的にアイテムはまだ当初の能力を持って居る。

 ……あれ?

 タイツ、意味なくね?


「うおおおお!」


「ちょ、幾らむさ苦しい男しかいないからってこんなところで全裸にならないでくださいよ!? この変態!」


「デケェな……」


「安吾は安吾で感心しないで止めてくださいよ」


 何がデカイのかは、黙秘する。


「……あー、全員集まったか?」


 水を差すようなそんな声に俺たちが奏でていた喧噪が鎮まり返す。

 やっぱり、こういうリーダーシップがあるからこそ隊長なんて大役を任されるんだと少しばかり感心した。


「――では、作戦を説明する」
















「まず、これを見ろ」


「……?」


 ガバルドは俺たちへと割と綺麗な地図を投げ渡す。

 洋室、会議室、応接室……エトセトラエトセトラ。

 どこまでも正確無比な地図をジッと観察し、首を傾げる野生人。

 これだから野生人は……


「なァ、これはなんの地図なんだァ?」


「……誰かさん以外、ほぼ全員が分かっていると思うがこれは今日侵入する館――つまり、姫君が幽閉されている場所だ」


「おい、その誰かさんについてじっくり話そうかァ」


 成程、だからこんなに綺麗なわけだ。

 だが、一つ疑問が生じる。


「一ついいか? あんたらはどうやってこんな精密な地図を作ったんだ? それこそ、内通者でも居ないとこんな正確な地図作れないぞ」


 全員の視線がガバルドへと集まる。

 だが、答えたのはまったく別の人物であった。


「あぁ、それは僕がやりました。 目玉召喚獣を使って、あらかじめあの館に侵入したんですよ。 いやぁ、怖かったなぁー」


「ふーん」


「何でそんなに興味ないんですか」


 まったく、かまってちゃんだなぁ。

 俺はがしがしと乱暴に月彦の髪を撫でる。

 まぁ、確かに月彦の召喚獣は様々な点で都合がいいわな。

 だからこそここまで時間が空いたわけか。


「オッケー。 続きをどうぞッス」


「理解できたならばなによりだ。 ……続けるぞ。 見たらわかると思うが、当然姫は最も警備が厳しく、更に館の奥深くの地下牢に解禁されている」


「……一本道だな」


 確かに、地図を見てみると姫さんの居場所は地下深くの牢屋だ。

 だが、ここで問題が発生してしまう。

 その地下牢へと至る道のりが一方通行なのだ。

 

 地下への階段を下りると、後は真正面に続く長い道を渡るしか侵入の方法がない。

 これは中々厄介だぞ。

 自明の理だが、護衛なのかは知らないがある程度警備員が常時居座っている。

 しかもこれが一人ではなく数十人だ。


 姫……地下牢……数多のおっさん……エロ同人か! 

 後で月彦に聞いてみよう。 

 これは決して欲望故の行為ではない。

 あくまで、任務を遂行する上で必要な情報を得ているだけなのだ。


 俺は密かにおっさんを応援した。


「……地下ごと壊す、っていう作戦は?」


「却下だ。 姫を巻き込む可能性が高い」


「ま、そうだよな……」


 確かに、安吾がやったら絶対破片で死ぬ未来しか見えん。

 なら、一体どうするのやら。

 俺はニヤニヤと笑いながらガバルドの言葉を待つ。


「相手は最新鋭の警戒石をを併用しているだろう。 だからこそ、それをすら上回る〈プレイヤー〉の遮断石使えば十分だ。 そこの小僧なら、実力的にも十分それが可能だろう。 後は潜入したアキラが姫を連れて帰れ」


「……そもそも、どうやって? 一度警戒されたら、詰むぞ?」


 相手は姫という決定打を持つカードを持って居る。

 それが文字通り斬られたら一巻の終わりだ。


「だからこその、我々なのだ」


 そしてガバルドは作戦を吐露した。


「……本当に大丈夫なのか?」


「安心しろ。 貴様こそ、ちゃんと姫を連れて帰れ」


「了解。 じゃ、いっちょやりますか」


 

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ