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VRMMОで異世界転移してしまった件  作者: 天辻 睡蓮
一章・「赫炎の魔女」
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魔人領へおいでませ


 最近、ようやくこの章のプロットが本格的に決定しました。 我ながら遅い。

 それと共に、七章の分量が当初の6倍になりました。 我ながら頭おかしい。

 まぁ、この七章はかなり長くなることだけは理解してください。 政府の腐敗を綺麗サッパリ落とすには時間が掛かりますからね。













「……先輩」


 細かい情報の確認は国に帰ってからするか。

 問題は、今後の立ち回りである。

 現状、俺が仮にとはいえしっかりと所属している国はまごうことなきクソ。

 

 当初はガバルドの戯言かな、なんて疑っていた時期が俺にもありました。

 だがしかぁし!

 ガバルド直属の部下に直接確認してみると、あら不思議。

 全部ガバルドの言う通りだった!


 ちくしょう!

 これがガバルドの妄言だったらどれほど救われたか。

 だが現実は非情。

 俺達〈プレイヤー〉とガバルド以外はほとんど脳が汚染されていやがる。


「先輩!」


 後でガイアスに聞いてみると、魂魄に直接干渉しているらしい。

 でも、システムにそんな魔法あったか?

 これが管理者が運営なら断定できるけど、システム使ったヤツルインなんだよなー。


 うん、あいつなら平気でやるわな!

 だが、それでも月彦にも聞いたがそんな魔法は実際存在しないらしい。

 つまり、この世界特有の魔法。

 もしくは、俺と同じように魔術を扱える奴が居るのか。


「先輩、起きてください!」


「ぐはっ」


 と、思案にふけていると唐突に殴られた。

 当然、俺は暴行魔――月彦へ猛然と抗議する。


「おい後輩! 急に先輩を殴るとは、お前もグレたモノだな! お嬢も失望しちゃうぞ!」


「あんな狂人、金輪際関わりたくないですよ!」


 狂人呼ばわりされるお嬢可哀想。

 そういやお嬢もこの世界に居るのか?

 過保護を通りこしてストーカーレベルにまで達したお嬢のことだ。

 唯一の安全地帯と思われたこの世界にも平然とボップしているのかもしれない。


 俺は沙織からあんな風に好かれたらな……

 ……いや、あれはあれで迷惑か。


「先輩、あんたどんだけ油断してるんですか? 住人たちが違和感を抱かないよう色々細工してあるとはいえ、いつそれが崩れて襲撃されるか分かったもんじゃないでしょ。 もうちょっと警戒してくださいよ」


「大丈夫、俺最強だから」


「あんたは五●さんみたいに強くないでしょ」


 失礼な。

 剣道男子舐めんな。


 俺たちは痴話喧嘩を繰り広げながら白昼堂々と魔人領の町を歩く。

 目立たないように少人数のグループを分けているが、それでもこれはあまりに大胆不敵すぎると思う。

 

 余談だが、やはり魔人族の姿形は俺たちとそう変わらなかった。

 髪の色彩は多少カラフルだが、異なる点といえばその程度。

 角も翼も生えておらず、ここが本当に魔人族の町か疑わしく思ってしまう。

 それに隠しきれない敵意を向ける人族が異常なのだ。


 というか、睨まないで騎士!

 あんたこの作戦の趣旨分かってる?

 とりあえず露骨に敵意を向ける兵士Aを殴り付け、そのまま気絶した兵士を適当に運ぶ。

 人権?

 ナニソレ美味しいの?


「それはそうと、なんで原始人がここにいるわけ? 猿の居場所は猿小屋でしょ?」


 俺は黙々と足を進める安吾へそう問う。


「ちょっと、あんたこそ趣旨が分かって……ちょ、何殴ろうとしてんですか安吾さん! ぶん殴りますよ!?」


「お前もうちょっと静かにしろよ。 目立つぞ」


 こいつは本当に作戦の趣旨を理解できているのだろうか。

 

「……賑やかだな。 懐かしい……」


「あんたは時と場を弁えろよ」


 かつての日常へ思いを馳せるのは結構だが、今ここは敵に陣地。

 もう少し警戒して欲しいと思う。

 

「オラァ! さっさとその首捥がせろやコラァ!」


「あんたは黙っててください! ちょっと先輩、なんとかして……あれ? 先輩?」


 なんだか面倒臭そうなので俺は離脱した。













「勝手に行動してよかったのか?」


「いいのいいの。 多分。 きっと」


「……あの月彦とかいう小僧も大変なのだな」


「では何故俺を蔑みの眼差しで見つめる」


「愚問だ」


 何が愚問なのかは精神衛生上聞かないことにする。

 にしても――、


「やっぱ、荒れてんな」


「……流石に、同意せざるを得ないだろう」


 周囲の環境が酷いのはもちろん、なによりも住人たちの表情がそれを物語っている。

 絶望、嫉妬、諦観、無。

 そんな悪感情が周囲に渦巻いているのが分かる。

 まるで、誰かの策謀のように、ね。


「……それで、お前は何故抜けた? 何か理由でもあるんだろ?」


「おや、やっぱり分かる?」


「当然だ。 これでも誠に遺憾ながらもお前の半身だからな」


「辛辣ー。 ……まぁ、ちょっと済ませたいことがあるのさ。 そういえばさ、魔力を使えば「念話」みたいなこともできるの?」


「……先日召喚師が目玉だけの状態で喋った時と同じ理屈を使えば可能だ。 ……だが、一体何をするつもりだ?」


「――企み事さ」


 そして、俺は魔力を操作し、〈念話〉を発動させた。




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