“あなた”の読者がなかなか増えない理由
挑戦的なタイトルで申し訳ありません。
しかもこれから書くことは自分を棚に上げた発言が多々あります。
ただ、あることをきっかけにちょっと気になったことがあったので、人生初のエッセイを書いてみようと思いました。
――2019年10月、私は初めてTwitterで「#RTした人の小説を読みに行く」タグを使ってみました。
先述の“あること”とはこのことです。
単純に「他者からの推薦であればいつもと違ったお話が読めるのではないか」という理由だったのですが、私のわがままに付き合わせる形で作品を紹介していただくのですから、自分に対して以下のルールを設けています。
1.反応をくださった方の小説は必ず読む。
2.読了後、必ず感想かレビュー(またはその両方)を書く。
この自分ルールの他、固定ツイートかリプライでオススメ小説のURLを教えてほしいことなどを記載しました。
さて、その結果はどうだったかと言うと、初日で100RT超えの(私的には)大反響。
最終的には143RTしていただき、全ての小説を読み・感想を書き終えるのに3ヶ月程かかってしまい、最後の方に反応をくださった方には大変お待たせしてしまうという申し訳ないことをしてしまいました……
さて、これを前提にタイトルの「“あなた”の読者がなかなか増えない理由」について2つの項目に分けて少しお話したいと思います。
※念のために記しますが、この話はタグに反応してくださった方を非難しているわけではなく、その時のことをきっかけに“小説家になろう”の書き手全体に見られる傾向として感じたことをまとめたものです。
1つ目の項目についてはこちら。
― “あなた”の性質 ―
①作業的にタグをRTしている方がまあまあいる
②察してほしい、と無意識に思っている方は一定数いる
③感想はほしいけど感想返しはしない方がまあまあいる
ひとつずつ順を追って考えてみます。
まず【①作業的にタグをRTしている方がまあまあいる】について。
感想がほしいあまり作業的に「読んでもらえたら御の字」とばかりにタグをつけたツイートをRTしている人はまあまあいます。
今回の経験からなぜそのような考えに至ったかと言いますと、タグ企画を始める前の調査として検索した結果、またツイートに「リプライ、または固定ツイートで読んでほしい小説のURLを知らせてほしい」と記載してるにも関わらず、何名かの方はその両方がなかったということからです。
また、リプライはないが固定ツイートはある、という方でも、固定ツイートのURL先が削除されていることも……
ツイートを理解して固定したツイートであれば、リンク切れがあったとわかった時点で差し替えていますものね。
この「作業的にRTする」に関して、個人的にはあまり良い印象を受けませんでした。
私の心が狭いからと言われてしまえばそれまでなのですが、人間心理として“手当り次第RTしているんだな”と感じてしまった方の小説を、自分の自由時間を削って積極的に読みにいきたいと思うでしょうか?
少なくとも私は楽しんで読むことはできませんでした。
続いて【②察してほしい、と無意識に思っている方は一定数いる】について。
これは日常生活でもよくいますよね。
私自身も無意識のうちにそんな反応をすることがあり、なかなか難しい部分ではあります。
これが小説書きにどのように影響するかといえば、自分の書きたいことだけを書くから読み手に伝わらないという現象が起きるのです。
今回の件で印象に残ったことをお話しします。
既に該当ツイートは削除されていたので時効だろうと思って書くのですが、とある方の小説に感想を書いたところ「この小説を読んだんですか? できれば別のにしてください」と言われました。
その方からは特に読んでほしい小説の指定がなかった(固定ツイートに複数のリンクがあった)ため、私がこれにしようと思った作品を自由に選んでも問題ないと思っていたのですが、作者側には読んでほしい小説というのがあったようです。
このようなエラーはよく起こります。
特に珍しいことでもありませんが、対面の会話ですら伝わらないことがあるため、文字情報だけのときには特に注意が必要ですね。
続いて【③感想はほしいけど感想返しはしない方がまあまあいる】について。
驚いたことに、感想を欲している方の中で、感想返しをする方は思っていたよりも少ないのです。
というのも、今回感想を書くにあたり当然感想のページを開くのですが、書かれた感想に返答をしていない方が結構いらっしゃいました。
人によっては初めてついた感想から全く返信をしていない場合もあります。
いわゆる“エタった”から気づいていないのかと思えば、直近1週間以内に更新があるにも関わらず感想返しをしていない方もいらっしゃいました。
これは“あなた”の貴重な読者をないがしろにしている非常に良くない状態だと思います。
ましてや「Twitterからきました!」とばかり書かれている感想欄。きっと“あなた”が読みに来てよとお招きした人たちですよね。
自由時間を削って読みにきてくださった方、それも感想まで書いてくださった方に、一言お礼を言うくらいはしたほうがいいのではないでしょうか。
さて、ここからわかることは、共通して「他人のことを考えていない」あるいは「考えてはいるが、見当違いか細かいところまでは考えが及んでいない」ということです。
それを踏まえて2つ目の項目として「“あなた”の読者がなかなか増えない理由」について考えてみました。
― “あなた”の読者がなかなか増えない理由 ―
①あらすじが面白くない
②話が長すぎ、物語の構成が悪い
③更新にバラつきがある
④文法・規則性・地の文がごちゃごちゃ
⑤プロローグが機能していない
⑥お話がつまらない
また、ひとつずつ順を追って考えてみます。
改めて言いますが、以下全て特大ブーメランと思っていただければ……自分もできているわけではないですが“客観的に見てこう”というまとめです。
まず【①あらすじが面白くない】について。
タグのことに限らず若い頃から“小説家になろう”でたくさんの小説を読ませていただいて感じたことは「あらすじが面白くない」ということでした。
あらすじを書くのはプロでも難しいと言われますが、大体の方が書かれているあらすじは、物語の中身を知るのになんの役にも立っていない場合があります。
あらすじは面白くないけど読んでみよう――で物凄く好みのお話を見つけることもあれば、印象通りだったこともあります。
これは読み手のことを考えていない、あるいは見当違い、そこまで考えが及んでいないために発生しています。
どう書けば読みやすいのか、どう書けば伝わるのか。読み手側のことを意識しなければ、相手に伝わる文章というのは書けません。
そのために、あらすじだけ読んで中身は見ないという現象が発生するのです。
→ではどうしたらいいのか?
丸投げしますが、この方がとても上手くまとめているので、ぜひ参考にしてみてください。
https://storymaker.click/小説/4346/
※個人的に、あらすじの分量はTwitterと同じ140字くらいがおすすめです。
あれは人が飽きずに読める最大文字数だと聞いたことがありますが、実際それは100%ではないにしろ正しいと思います。
続いて【②話が長すぎ、物語の構成が悪い】について。
あまりにも長過ぎる小説が多いです。多い方だと100話を余裕で超えています。
残念なことに、好きな作家さんが書かれる小説ですら「長編に手をつけるのは苦手」という方がいらっしゃいます。
あまりにも長すぎる小説を書いている方は、自分の書きたいことを優先したために、読み手がどのくらいの文章なら読めるかを考えていないのです。
私としては、実際の小説と"だいたい"同じ長さにしてみることをお勧めします。
だいたい、というのがミソです。多少話数が変動しても最初の1ページで読者を引きこむことができれば、お話が長くても読んでもらえますから。
→ではどうしたらいいのか?
1ページあたりの長さは約3,000~3,500文字、全体の話数は24~30話くらいが「この長さながらまあ読んでみるか」と思いやすい印象です。
(よく読まれている小説はこの辺りが多い気がします。ビッグタイトルともなると固定ファンが多いのでこの限りではないのですが……)
とは言え「でも書きたいことが山ほどあるんだよね。ここを抜かしては物語がわからなくなるんだよ」と思われる方もいらっしゃると思います。
が、そんな事はありません。それはあなたの作品に対する愛が重すぎるがゆえの幻想です。
恐らくそういった方は短編小説を書くのを苦手と思われているのではないかと思いますが、ようはまとめる力がどのくらいあるかということです。
→ではどうしたらいいのか?
起承転結について意識してみましょう。
これもプロでできている人は少ないように思います。そのために編集者がいて、何度も書き直しをしたりするのです。
それがその先生の“味”だとか“小説の表現方法”になっている場合もあり、一概にそうしろというわけではないですが、もし読者が少ないことに悩んでいるのだとしたら、基礎を意識して損はありません。
またもや丸投げですが、起承転結に関してはこちらの方が上手く説明してくださっていますので、ご参考までに。
https://storymaker.click/小説/4084/
続いて【③更新にバラつきがある】について。
せっかく読み手が「これは面白い話かもしれない」と思って読み始めても、更新にバラつきがあると間が開いた時点で読みにきてくれなくなります。
つまり、ブクマをしていたとしても存在を忘れたり他の作品に目を惹かれたりして、どうでもよくなるという意味です。
→ではどうしたらいいのか?
“あなた”が読み手の心理を少しでも考えるのならば、小説は完結させてから毎日1話ずつ公開しましょう。
完結させているのに毎日1話だけ公開する理由は、新着更新ユーザーの欄に載るためです。毎日自動で自分が宣伝されるのでとてもお得です。
また、いわゆる“なろう読み手ユーザー”は18時~0時が活発に読書をする時間帯のようです。
学校や職場からの帰宅中から寝る前までということですね。
この時間は競争も激しいですが、そのぶん目につきやすいです。
残念ながらあらすじを書けていない人が多いので、そこで差をつければ「面白そう」と思ってもらえて集客が見込めます。
続いて【④文法・規則性・地の文がごちゃごちゃ】について。
モノによっては「諸説ある」みたいなところもあるのですが……
あまりにも乱雑な文章は読んでいて幼い印象を受けます。
これは読み手のことを考えず、自分の思いつきや書き方の癖、予測変換に頼って文章を書き上げているために起こっていることです。
→ではどうしたらいいのか?
“!”や“?”のあとには全角空欄を1つ入れるとか、あとは三点リーダーは2つ使うとか、そういった書き方のルールを“自分なりに”統一しましょう。
なにせ諸説あるものもあるので、正解がこれとはっきりわかっているもの以外は自分でルール決めてしまえば良いのです。
半角と全角が混ざっていたりとか、3点リーダーとして使っている“。。。”と“・・・”が混ざっていたりとか、あるいは1人称視点と3人称視点がまぜこぜになっていたりとか……そういった部分をなんとかするだけでもだいぶ変わります。
続いて【⑤プロローグが機能していない】について。
読んでいて思うのは、多くの方のプロローグはまったく意味を成していない場合が多いです。
小説は最初の1ページ、早ければ冒頭数行で今後も読み続けるか否かが決まります。
つまり最も大事な“小説の顔”ということですが、それができていない人が多いのです。
これは読み手に理解してもらうではなく、自分の書きたいことを書いているからでしょう。
→ではどうしたらいいのか?
よく言われるのですが、意外に浸透していない方法です。
もっと沢山本を読み、あるいは映画を見て、他者の表現を学んで自分の表現方法を増やしてください。
プロローグを読むだけで「この物語はこういう話になっていくのだろう」というのがわからないと駄目なのではと思っているのですが、大体の小説のプロローグは“物語が始まるきっかけの頭の部分をさらに分解した何か”でしかありません。
きっかけの頭の部分をさらに分解したことしかわからないので、今後の物語の想像がつきづらいのです。
ぜひプロローグはミニ小説と考えてみてください。この1ページの中で起承転結をつけ、これから始まる物語への期待感を煽るのです。
登場人物はどんな人で、何が起こって、どうなるのか?
きっかけの頭の部分を分解したものだけでは得られる情報が少なすぎるので、出し惜しみせず、もう少し情報量を増やしてみてはいかかでしょうか。
最後に【⑥お話がつまらない】について。
自分の好みであるか否かは置いておいて、単純につまりません。
日記を読まされているような感覚におちいることが多々あります。
それは文章表現の拙さであったり、あるいは起承転結が崩壊しているからであったりしますが、共通して言えることは“個性がない”ということです。
→ではどうしたらいいのか?
これも解決方法は⑤と同じです。
もっと沢山本を読み、あるいは映画を見て、他者の表現を学んで自分の表現方法を増やしてください。
自分の中の表現方法に関する情報を常に更新し続けてください。そしてそれに「私だったらこうする」を増し加えてください。
“あなた”が自分の中の情報を常に更新しなければ、“あなた”の表現方法は日を追うごとに化石となるのです。
さて、これまで「読み手のことを考えて」とずっと言ってきましたが、何故そうしないといけないのでしょうか?
それはいずれ自分に何らかのモノになって返ってくるからです。
それは感想だったり、あるいはレビューやポイントだったりしますが、読み手のことを考えて描いた物語には自然と人が集まるのです。
他人からの評価、好きですよね?
他人からの評価、欲しいと思いませんか?
もし少しでも「他人からの評価が欲しい」と思ったのならば、読み手のことを考え、自分の書き方を変えてみると新しい世界が見えるかもしれません。
ここまでぐだぐだと書いてしまいましたが、言いたいことは大体言ったかなと思います。
何度でも言いますが特大ブーメランです。
私自身、いくつもできていないことがありますので、読んでいて「お前が言うな」と思われるかもしれません。
それについては大変申し訳ありません。小説の腕前に関しては今後も引き続き精進します。
ここまでお読みいただき、ありがとうございました。
エッセイじゃなくて小説を書けばいいのに、と思いつつ終わります。さらば。