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お誘い
次の日。
俺は瀬尾にちょっと頼み事をしようかと思っている。まぁ頼み事というかお願いというか、約束的なやつだ。
「瀬尾」
1年生の教室の前の廊下。瀬尾を探して歩いていたら前から瀬尾が歩いてきた。見つけたので声をかける。
「なんですか先輩?」
「今日の放課後って空いてる?」
「え、空いてますけど……」
「一緒に帰んない?」
流石にいきなり過ぎたかなと思ったけどどこかの本で読んだ事がある。『じわじわ距離を詰めても仲良くなった時には手遅れな時もある。ならもっと積極的に行けばいいだろう』とそれを思い出したのでこのまま積極的に行くことにする。相手は人気者だ。何処から手が伸びているかわかったもんじゃない。
「……いいですよ」
「じゃあ放課後よろしくね」
俺はそう言ってそこを立ち去った。まさかすんなりとOKされるとは思ってなかったので嬉しく思いながら自分の教室に戻った。