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東方交鏡録  作者: シン
10/10

鏡よ鏡、映るものはなぁに?~異変は唐突に~


~大妖精 Side~


「ねぇねぇミルラ~。今日こそ能力見せてよ~!」

「だからダメなんだって。紫さんに使うなって言われてるんだから」

「いいじゃんか~!ケチ~!」

「ち、チルノちゃん。わがまま言っちゃだめだよ……」

「でもさ、他の人たちは皆使ってるんでしょ?」

「実は本当は能力なんて持ってなかったりして」

「そうなのかー?」

「ちゃんと持ってるよ。こっちに来る前は何回も使ってたし」

「じゃあ見せてくれても良いじゃん!」

「だから紫さんが……はぁ、このやり取り何回目だ?」

「ごめんなさい……」

「いや、大ちゃんは悪くないよ」


 今はいつもの皆と、最近外から幻想郷に来られたというミルラさんと、リグルちゃんの家の横で遊んでます。ただ、弾幕ゴッコにも飽きたのか、最近はずっとミルラさんの能力を見せてとせがんでばかりです。ミルラさんが言うには、紫さんから能力を使わないように言われてるみたいなんですけど、どうしてなんでしょう?チルノちゃんをはじめ、リグルちゃんやミスティアさん、ルーミアちゃんも、あの手この手で使わせようとしてます。実は、私も少しだけ気になってたり……。


「俺だって気に入ってた能力だったのに、急に使っちゃダメって言われて悲しいんだよ。あの人の能力だと、ばれずに~なんて出来ないしな」

「ん~!」

「一瞬だけ~とかも出来ないの?」

「紫さんがなんで使うなって言ってるのかも分かんないしな」

「そうなのかー」

「『鏡の中に入る程度の能力』だもんね。何かあるのかな?」

「イタズラされたら困るから……とか?」

「大ちゃん、俺のことチルノや皆と同じくらいに思ってない?」

「そ、そんなこと無いです!!」

「む~!見たい見たい見た~~い!」

「なんとか出来ないかな……」


 ミルラさんの能力は、さっきリグルちゃんが言ってた通り、『鏡の中に入る程度の能力』。言葉通りの意味ですけど、具体的にはミルラさん本人が鏡の中に入れて、鏡の中は現実の世界の本当に反対になるみたいです。動いてる人も現実の世界に合わせて動くけど、ミルラさんが鏡の中で何かをしたら、現実の世界にも影響が出るんだそうです。例えば、お花を抜いたら現実の同じ花が抜けたり、誰かの突いたら、その人が何もないのに突かれたように感じたりするって。それで、出る時はまたどこかの鏡に入れば、現実の世界に出られるんだそうです。

 ただ、使うのにもいくつか覚えておかないといけないことがあるみたいで、要点だけ教えてもらいました。①ガラスとかの『鏡みたいに姿が映るもの』じゃなくて『鏡』じゃないと行き来できない。②鏡の中でも人や物に触れるから、事故とかに巻き込まれると大変。③鏡の大きさは自分の身体が通れるくらいじゃないとダメ。この3つが大事らしいです。人が通れる大きさの鏡だと、姿見くらいじゃないと難しいかな……。


「紫さんにかけあってみるか?」

「多分無理じゃないかな?あの人一度言ったら聞かないだろうし」

「そうなのかー」

「そうだ!ばれなかったらいいんでしょ?」

「何か思いついたのか?」

「ふっふ~ん。ここにいるルーミアの能力を使えば、ばれないんじゃない?」

「そっか!周りを真っ暗にしちゃえば使ったのかどうかなんて見えないもんね!」

「で、でも、この話も聞かれちゃってたら意味無いんじゃ……」

「だーいじょうぶ!ミルラが『結局やりませんでしたー』って言えばいいんだから!」

「まぁ見えないんならやったかどうかは分からないしな……」

「大丈夫なんですか……?」

「なんでダメなのか分かんないし、教えなかった方が悪いんだよ」

「そうなのかー?」

「そうと決まれば、リグル、鏡貸してもらっていい?」

「うん。いいよ。持って来るねー」

「まぁ……少しくらい、いいよな?」


 リグルちゃんが鏡を持ってきて、いよいよミルラさんが能力を使うみたいです。ルーミアちゃんが能力で周りを暗くして、全員がミルラさんと鏡の周りに集まります。でも、なんでだろう……すごく嫌な予感……胸騒ぎがする……。


「ね、ねぇミルラさん、やっぱり……」

「ねぇねぇ!早く使ってよ~!」

「鏡の中に入ったら、皆の肩を一回ずつ叩くんだよね」

「どんな感じになるのかな~」

「楽しみなのだー」

「大ちゃん、心配してくれてありがとう。でも、何回もやってるんだし、死ぬわけじゃないから大丈夫だよ」

「は、はい……」


 ミルラさんは、そう言って微笑んで、鏡に手を当てると、その手はそのまま鏡の中に吸い込まれて、ドンドンと鏡の中に入っていきます。そして、あっという間に鏡の中に全身が入ってしまいました。鏡の中のミルラさんはこっちに向かって手を振ってから、鏡の中にいる私の肩をトンと叩きます。


「ヒャッ!」

「だ、大ちゃん!?」

「ほ、本当に触った感触あったの?」

「は、はい。ビックリしちゃいました」

「すごいのだー!」

「ねぇねぇミルラ!次あたいー!」

「その次ボクね!」

「あ、ずるい!」


 皆が私も私もと言って、ミルラさんも順番に肩を叩いていきます。その度に皆で大騒ぎして、すっごく楽しくって。でも良かった……何もなくて……あれ?鏡の中の私達の後ろに誰か……。


「誰……?え?」

「ん?どうしたの?大ちゃん」

「鏡の中にいる私達の後ろに誰かいたんだけど、後ろに誰もいなくって……」

「え?どこ?」

「あれ……?いない……」

「ミルラに聞いてみればわかるんじゃない?」

「そうだね。あれ?ミルラは?」

「え?」

「どこなのだー?」

「おーい!ミルラー!」


 さっき鏡の中で見た人も、ミルラさんの姿も、どこにも見当たりません。どこか違う鏡から出たのかとも思いましたけど、そんなイタズラする人じゃないですし……。それに、さっき映ってた人……顔は凄く笑顔だったのに、なんだろう……ものすごく……怖かった。あんなに冷たい笑顔、見たこと無い……。


~Side Out~



~紫 Side~ ※10分前


「はぁ~、暇ねぇ~」

「紫様、だらしないですよ。最近そうやってだらけてばっかりじゃないですか」

「良いじゃないの~。どうせやることだって無いんだから~」

「そんなこと無いですよ。ほら、また外の世界の能力持ちの人間の資料、届いてますよ」

「もう?ほ~んと、彼ってば仕事が早いのね~」

「紫様も少しは見習ってください」

「いいのよ私は、このくらいがちょうどいいんだから」

「いい加減にしないと、橙にも笑われちゃいますよ?」

「あの子はそんな子じゃありませ~ん」

「ほんとに……あぁ言えばこう言うんですから……」


 もう。藍ってばうるさいんだから。私の式ならそれらしく敬いなさいよね。それにしても、彼の仕事っぷりにも惚れ惚れするというか、頭が下がるというか。いつ休んでるのかしら?ちなみに、彼のことは藍には話してある。流石にずっと一緒にいるのに説明しないわけにもいかないものね。知ってるのは今の所私と藍、萃香と、映姫の4人。あいつは自分が他の閻魔に連絡を入れた記録を残してて、そこから浄玻璃の鏡を使って確認したみたいね。しっかり私にまで聞きにきたし。ほんと、閻魔様だけあってなんでもハッキリさせなきゃ気がすまないんだから。


「それに、私はこっちの世界に来た子達を管理するっていう仕事だってあるんだから」

「それならその仕事くらいちゃんとやってくださいよ」

「後5分したらね~」

「そう言いながらカップ麺作ろうとしないでください。まーた外の世界から持って来たんですね?」

「いいじゃない。一個くらいばれないわよ」

「ばれるばれないじゃないですから」

「もう、ケチ~」

「いい年して膨れっ面とかしないでくださいよ」

「ら~ん~?」

「あ、いや。今のは言葉のあやというか……って、そんなんじゃ誤魔化されませんからね!」

「ちぇっ、ばれたか」


 いつからこの子はこんな生真面目な性格になっちゃったのかしら……最初の頃は、紫様~って犬みたいに懐いてたのに……。まぁいいわ、そろそろどこか見ておこうと思ってた所だし。えっと手始めにプールのところでも……え?


「っ!?」

「ゆ、紫様?」

「藍!急いでここを出るわよ!」

「な、何を……」

「残念ながら、もう遅いな」

「がっ……!」

「藍!」

「手荒な真似はしたくなかったが、何分まだ余裕が無くてね。まずは、二番目に厄介なお前から止めに来たってわけだ」

「その姿、声……ミルラったら能力を使ったのね!」

「お陰で俺はこうしていられる。感謝しているよ」

「何をするつもりか知らないけど、私がそう安々と好きにさせると思うかしら?それに、彼だっているんだもの」

「勿論、1番厄介なあいつは、真っ先に対策を打ったさ。そして、お前にもな」


 これは……かなりヤバイわね。この事態が起きないように使わないように言っておいたのに。せめてここで、刺し違えてでも止めないと……幻想郷は、今度こそ崩壊する。


「いいわ。たまには全力で戦うのも、悪くないわね」

「お相手しようとしてくれるのは嬉しいが、残念ながら先約があってね、お前の相手は、こちらのレディがしてくれるようだ。衣装が少し被ってしまったが、ちょうどいいお相手だろう?」

「まぁ、そう来るわよね。待ってなさい。こいつを倒したら、すぐにでも貴方を止めてさしあげるわ」

「あぁ、是非とも頑張ってくれ。俺を楽しませるために、な」


 消えた……。多分、どちらかに向かったんだと思うけど、性格を考えれば多分妖怪側……。時間をかけてる余裕は無いわね。邪魔はしないでもらおうかしら?鏡の中の『私』!


~Side Out~



~魔理沙 Side~


「ん~~~……っと。ようやくひと段落なんだぜ」


 机の上に散乱してるいろんな道具はひとまず置いといて、部屋の端にあるベッドに思いっきり飛び込む。やっぱり自分のベッドは最高なんだぜ。あの宴から一週間経ったけど、やっぱり最近はなんにもなくて暇な毎日だし、プールはプールで鍛えるとかなんとか言って、森の中をランニングしたり、門番のとこ行って稽古つけてもらったりしてるし。……なんか思い出したらイライラしてきた。


「よし、なんかあいつに嫌がらせする用の道具でも作るか」


 思い立ったが吉日ってな。早速棚やら机の上から必要なものを出して……


「ってうぉっ!?」

「何してるんですか、魔理沙さん」

「ぷ、プール!いつの間に入って来たんだよ!っていうか、ノックくらいしろって」

「しましたって。魔理沙さんが気付いてなかっただけですよ」

「気付かなかったらノックした内に入らないんだぜ」

「ほんとにもう」


 あぁ~ビックリした。ほんといつの間に入ってたんだよ。扉が開いた音すらしなかったぞ?まぁいいや、プールも帰って来たことだし、そろそろ飯にするかな。どうせこいつの事だからもう飯が出来たって呼びに来たんだろうし。


「なぁプール、飯は……えっ?」

「……」

「な、何してんだ?プール。急に押し倒したりなんかして」

「魔理沙さん」

「な、なんだよ……じょ、冗談にしたって、げ、限度ってもんがあるぞ?」

「……」

「お、おい!」


「魔理沙さ~ん。ただいま帰りました~」


 プールの声が聞こえた。『下の階から』


「おう、プール。帰ってきたんだな。もう腹ペコなんだぜ」

「帰ってすぐそれですか?ほんとにもう」


 『私』とプールの会話が聞こえる。目の前にいるプールは口を開いてない。となるとこれは……。


「おー……っ!」


「ん?魔理沙さん、今何か上から声がしませんでした?」

「あぁ、音を記録して再生する道具をこーりんのとこから借りてきたんだぜ。あれが結構面白くてな」

「なるほど。僕も後で見ていいですか?」

「おう!」


「むぐ!むーー!」

「静かにしてくださいね?魔理沙さん?」


 口元を手で押さえられて、馬乗りになった『プールみたいなやつ』が笑う。さっきまでのにこやかな笑顔なのに、何故か分からないけど、一気に恐怖がこみ上げてくる。くそっ!こうなったらマスパで……。


「お、おい!プール!どこに……」

「勿論!本物の魔理沙さんの所ですよ!」

「ちっ、待て!」


 声と一緒にドタドタと階段を駆け上がる音が聞こえる。そしてほんの数秒後、今目の前にいる顔とソックリの、本物のプールが姿を見せた。


「魔理沙さん!」

「失敗か、あいつは何をやってやがった」

「魔理沙さんから……どけぇぇぇ!!」

「ぐっ!」


 突然口元を抑えていた手が離れ、そのまま乗っていた身体も私から離れていく。どうやらプールが能力で引き寄せたみたいなんだぜ。でもこれでようやく動ける。こうなったら反撃で……。


「魔理沙さん!まずは逃げますよ!」

「ちょっ!プール!こいつらのこと……」

「それは後です!ここで戦うのは不利ですから!」

「あっ!お、おい!」


 反撃に出ようとした矢先に、プールに手を引っ張られて窓から飛び出す。プールが箒を一緒に持ってきてたからなんとか飛び乗れたけど、無茶しすぎなんだぜ。それにしても……。


「あいつらは一体なんなんだぜ?」

「僕も詳しくは分かりません。ただ」

「ただ?」

「その秘密はきっと、ミルラさんが知ってます。ひとまず、博麗神社に行きましょう」

「ミルラって……まぁいいや。思いっきり飛ばすぞ!」

「はい!」


 そのまま猛スピードで森の上を突っ切る。後ろから追いかけてくる気配は無いけど、やっぱり気味が悪いんだぜ……。それにしても、ミルラってどいつだっけか?


~Side Out~


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