表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

7/37

第二章 第四節

なんとか今日中に投稿出来ました……!

 

 ある日、その欲望が抑えきれなくなった。

 

 理由は、欲望を抑え込める許容量を超えてしまったから。

 なんとなく感じてはいた。毎日、少しずつ欲望が溜まっていくことを。

 確信していた。この欲望は、人を刺す以外では解放することはできないことを。

 

 今の私は、何をしでかすか分からない。

 急に狂って、人前でナイフを振り回すかもしれない。

 私と友達になってくれた優しい女の子を、刺してしまうかもしれない。


 そんなの……絶対に嫌だ。


 私は、無駄だと分かっていたけれど、自分の左手をナイフで刺した。

 激しい痛みが私を襲った。

「やっぱり……駄目か」

 人を刺したいという欲望は、減ることはなかった。快感も、感じなかった。

 

 そう。自分自身を刺しても、傷は治るが、欲望は解消されない。

 あくまでも、他人を刺さなければいけないのだ。


 ……刺したい。


 刺したい。刺したい。刺したい。刺したい。刺したい。刺したい。刺したい。刺したい。刺したい。刺したい。刺したい。刺したい。刺したい。刺したい。刺したい。刺したい。刺したい。刺したい。刺した い。刺したい。刺したい。刺したい。刺したい。刺したい。刺したい。刺したい。刺したい。刺したい。刺したい。刺したい。刺したい。刺したい。刺したい。刺したい。刺したい。刺したい。刺したい。刺したい。刺したい。刺したい。刺したい。刺したい。刺したい。刺したい。刺したい。刺したい。刺したい。刺したい。刺したい。刺したい。刺したい。刺したい。刺したい。刺したい。刺したい。刺したい。刺したい。刺したい。刺したい。刺したい。刺したい。刺したい。刺したい。刺したい。刺したい。刺したい。刺したい。刺したい。刺したい。刺したい。刺したい。刺したい。刺したい。刺したい。刺したい。刺したい。刺したい。刺したい。刺したい。刺したい。刺したい。刺したい。刺したい。刺したい。刺したい。刺したい。刺したい。刺したい。本当は刺したくない。刺したい。刺したい。刺したい。刺したい。刺したい。刺したい。刺したい。刺したい。刺したい。刺したい。刺したい。刺したい。刺したい。刺したい。刺したい。刺したい。刺したい。刺したい。刺したい。刺したい。刺したい。刺したい。刺したい。刺したい。刺したい。刺したい。刺したい。刺したい。刺したい。刺したい。刺したい。刺したい。刺したい。刺したい。刺したい。刺したい。刺したい。刺したい。刺したい。刺したい。刺したい。刺したい。刺したい。刺したい。刺したい。刺したい。刺したい。刺したい。刺したい。刺したい。刺したい。刺したい。刺したい。刺したい。刺したい。刺したい。


 人を、めった刺しにしたい。


 欲望がとめどなく溢れ、抑えられない。これ以上は……無理だ。

 生まれて初めて、人を刺すことを決心する。


 私は大雨の日を待った。

 大雨が降っていれば、道端で人を刺したとしても、その血は雨が洗い流してくれると思ったからだ。

 今思い返しても、随分と浅はかな考えだったと思う。

 人を刺す決心をしてから数日後の夜、運が良いのか悪いのか、激しい雨が降った。私はこの日を決行日にした。


 そして私は、ニュースなどで語られる通り魔と同じように、夜中に1人で道を歩いている見知らぬ人を、後ろから刺した。

 

 今までに感じたことのない強い快感を得たのと同時、その人はナイフから逃れて振り向き、反撃の体勢をとろうとした。が、私はすかさず、今度は正面からその人を刺す。

 その時ようやく、その人が私と近い年齢の男性だと分かった。


 さすがに2度も刺されたせいか、その人は少しふらついた後、俯向けに地面に倒れた。私は追い打ちをかける。

 溜まりにたまった5年間の欲望をぶつけるように、めった刺しにした。

 

 一刺しするたびに、大きな快感が身体中を駆け巡った。

 ああっ、気持ちいいっ……!

 世の中に、こんなに気持ちいいことがあったんだ。そう強く思うほどの快感だった。

 最高に気持ちよくて、止めたくない。もっとこの快感を味わいたい。

 そう思い、何度も、何度も、何度も刺した。そして……。


 目の前に、血の海が広がった。


 それでようやく、私は正気に戻った。自分がやったことの恐ろしさを理解した。

「私は、なんてことを……」

 死なないと言っても、刺された人は痛みを感じる。

 私は数えきれないほど刺した。

 その回数分、刺された人は痛みを感じる。

 本当なら死んでしまうような激しい痛みを、何度も。

「ごめんなさい……」

 涙があふれてくる。

 加害者が泣くなんてとんでもない、泣きたいのは刺された被害者のはずだ。

「ごめんなさい……」

 そう思うのだけど、涙が止まらない。

「ごめんなさい……」

 私はとんでもない悪党だ。


 私に生きる価値なんて、ない。


 そう、ずっと思ってはいた。私のような、人を刺したいなんて気持ちを持つ、欠陥を持った人間が生きていていいはずがない。

 人を殺さないだけで、やっていることは快楽殺人者と変わりがないのだから。


「私なんて……死んじゃえばいいんだ……!」


 そうだ。私なんて死ねばいい。

 死のう。

 ナイフだと死ねないから、どこかのビルの屋上から飛び降りよう。それなら死ねるはずだ。

 そう、決めた時だった。





「泣か、ないで」






 急に、声が聞こえた。

「……何故だか、よく、分からないけど、僕は生き、てるみたい、だから……。そんなに、泣かないで」

 私が刺した人が、そう言った。


 死ぬほどの痛みに襲われているはずなのに、とても苦しそうなのに、無理矢理微笑んで、そう言ってくれた。そんな人を、私は……。


「ごめんなさい、ごめんなさい……、ああ……、うぁあああああああ…………!」



評価をするにはログインしてください。
この作品をシェア
Twitter LINEで送る
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ