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第三章 第四節


「こ、告白!?」


「うん、告白。正義君に付き合って下さいってお願いするの。似内ちゃんにハーレムを断られちゃったし、前に青柳ちゃんにも断られちゃったから、もう1人で告白するしかないなぁ、と思って」


「そ、それは……」

 似内さんの顔が青ざめていく。

 たぶん、静音さんに告白されたら、自分が負けると思っているのだろう。

 この場合の負けるとは、静音さんと正義がカップルになり、自分は告白するチャンスすら無くなることを意味する。


 喫茶店で静音さんの名前を出した時の反応を見る限り、似内さんは、自分と静音さんと比べて、魅力で劣っていると考えている。

 確かに、静音さんは美人すぎるほど美人だ。

 静音さんの容姿に対抗できる同年代の女の子は、日本中を探してもほぼいないだろう。


 評価基準が容姿だけであれば、すぐにでもモデルなり、女優なり、アイドルなりになれるはずだ。

 そして俺の予想では、静音さんが正義に告白した場合、正義はそれを受けると思う。


 でもそれは、静音さんだから、という訳じゃない。

 似内さんが告白しても、青柳さんが告白しても、正義は告白を受けると思う。

 

 理由は単純。正義は日頃から、彼女が欲しいと言っているからだ。


 正義には今までに彼女が出来たことがない。

 イケメンで性格も良いのに、彼女が出来ないのが俺には不思議でしょうがないのだが、いないらしい。

「告白されたことはないのか?」

 と、ある日正義に尋ねたことがある。それに対し正義は、

「ないよ。僕はモテないから」

 と、寂しげに言っていた。


 実に不思議だ。

 どうして今まで誰も正義に告白した人がいないのだろう? 正義自身が気付いているかは知らないが、少なくとも学校内では、正義の人気は高い。

 似内さん、静音さん、青柳さん以外にも、正義に思いを寄せている女の子はいるはずだ。


 それなのに、今までに告白されたことがないとは、不思議としか言いようがない。


 考えられる理由としては、正義と青柳さんの仲がすごくいいので、皆告白を敬遠してしまっているのだろうか?


 でも、本人達は付き合っていないと公言しているから、正義に告白する女の子が出てきてもおかしくないはずなのに。訳が分からない……


 ……けどまあ、ぶっちゃけて言うと、だ。

 ここまでの話を聞いて、彼女が欲しいのなら自分から(正義のほうから)女の子に告白すれば良いのでは?

 と、正直思う人もいるだろうし、俺もそう思った。


 しかし、正義はかなりの草食系で、この手の恋愛事にはすこぶる弱いのだ。自分から告白する可能性は著しく低い。


 俺も含めた、少なくない数の男子高校生と同じように、自分には恋愛は無理ゲーだと決めつけてしまっている。


 そんな事ないし、正義なら大丈夫だと伝えたが、あまり真に受けては貰えなかった。


 なので今度は、

「じゃあもし、正義に告白する女の子が現れたら、どうする?」

 と、聞いてみた。それに対し正義は、「んー」と、少しだけ考えたあと、

「たぶん、喜んで告白を受けるだろうね」

 そう言って微笑んでいた。


 そう言う訳で、正義への告白を成功させるには、どの女の子よりも早く、正義に告白をすればいいのだ。


 ちなみにこの情報は、既に静音さんには伝えてある。

 にも関わらず、今日まで正義に告白していなかったのは、俺に配慮してくれたから。

 1週間前に俺と交わした約束を、守ってくれているのだ。





 そして実を言えば、その約束を交わした日は、俺が静音さんに初めて愛の告白をされた日でもある。





 その日静音さんは、俺と正義が好きで、両方と付き合いたいと告げてきた。

 俺は静音さんに恋愛感情を持たれているとは思っていなかったので、心底驚いた。しかし、それ以上に、2人と付き合いたいという発言に驚いた。


 とにかく驚いていたからか、なぜ俺が好きなのかとか、なぜ正義ではなく先に俺の方から告白したのかとか聞くのではなく、なぜ両方と付き合いたいのかと聞いた。


 すると静音さんは、前述の通り、『せっかく好きになれたのに、1人だけを選ぶのはもったいないから』と言った。また、『2人と付き合えるのなら、どんな事でもする』とも言った。


 俺はそれを聞いた時、目から鱗が落ちたようだった。


 そういう恋愛もアリだな! と、心の底から叫びたい気分だった。

 男1人に対して、女1人だけが付き合うという、俺の中の固定概念が破壊された瞬間だったのだ。


 俺は、なぜ今まで、正義の恋愛に対して、何もしてこなかったんだろうと考えた。

 考えた結果、正義は青柳さんとくっ付くだろうから、と思っていたことに気付いた。


 正義と青柳さんは、幼なじみのせいか、もの凄く仲がいい。正直、本人達が否定しなければ、付き合ってるんじゃないかと思うくらいだ。


 正義から彼女が欲しいと聞いた時も、(告白されたことがないのを不思議に思ったものの、)青柳さんという彼女がそのうち出来るさ、と心の中で思っていた。


 青柳さんは美人だし、色んな意味で強い。そしてなにより、正義と一緒にいた時間が一番長い女の子だ。


 正義の事は、俺よりも遥かに詳しいだろう。事実、仲のいい幼なじみとして、青柳さんは正義と過ごしてきた。今の正義があるのは、青柳さんのおかげでもあると言える。

 だから、正義と付き合うのは青柳さんだと思っていたし、それで問題はないと思った。今のその考えに変わりはない。


 だけど、静音さんの告白を受けて、俺は新たに思ったのだ。


 正義は、女の子1人に収まる器ではないし、収めていい訳がない、と。


 だってそうだろう?

 もし、正義が1人の女の子だけを選んでしまったら、他の女の子は別の男を探さなければならない。


 でも、その別の男は、正義よりも格が下に違いない。正義と同等以上の男なんて、限りなく少ないだろうから。


 正義の事を好きな女の子は皆、正義と付き合い、家庭を築くべきだ。それが正しい。それが真理。一夫一妻の法律なんて、その事に比べればゴミに等しい。

 静音さんの告白で、俺はようやく、その真理に辿りつくことが出来た。


 ……と、思ったのだが、流石に皆が皆、正義と付き合おうとすれば、いくら正義といえど、肉体的にも金銭的にも、限界を迎える。


 なので俺は、正義ハーレムのメンバーを、正義への愛がとても強い、3人の女の子に絞った。


 そして、その女の子達と正義のために、ハーレムを作ろうと決心したのだ。


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