魔女と美食の島1
「ここが次のミラストーンがある島、ハベス島……なのよね」
ウォルタが言った。
「ええ、そうですよ」
フウが言った。
「で、ここはその港だよな? それにしちゃあ何だか……」
グランが言った。
「め、飯屋がいっぱいだぁ!」
フレイが吠えた。
ミラストーンを探し求める四人は、島の半分を料理店が占める変わった島、ハベス島にやってきていた。
「なぁなぁ、どの店に入る?」
フレイが言った。
「なんでいきなり食事? さっき船で朝食食べたばかりでしょうが 」
ウォルタが言った。
「そんなこと言ったって、これだけの飯屋をみせられちゃったら、お腹なんて一瞬ですいちゃうよ」
「どういう理屈よそれ。ねぇ、二人とも?」
「ああ、まったくだ……と、言いたいところだが」
「ええ、流石にこの風に乗って流れてくる美味しそうな匂いをかいでしまうと……」
次の瞬間、グランとフウの腹の虫が鳴いた。
「はぁ、あんたたちまで? まったく、もうしょうがないわね。いいわ、食事しながら作戦会議といきましょ」
ウォルタが言った。
「流石ウォルタ! 太っ腹ぁ!」
フレイが言った。
「太っ腹はあなたたちの方よ。まったく……っ!?」
次の瞬間、突如、何者かがウォルタの体にぶつかった。
「いった! ちょっと何?」
なんとか踏みとどまったウォルタが言った。
「あたた……す、すいません! 急いでたもので、つい」
そう言ったのは緑髪の少女だった。彼女は尻餅をついていて、辺りにには抱えていた書類が散乱していた。
「まあいいわ、ケガはない?」
「ええ、なんとか……って、ああ! 書類が!」
「まったく、騒がしい奴だな」
グランが言った。
「とかいって、紙拾ってんじゃん」
紙を拾うフレイがニヤけながら言った。
「う、うるせぇよ!」
「おや、これは?」
拾った紙を手にしたフウが言った。
「どうしたの?」
ウォルタがフウの手にした紙を覗き込んだ。
「何々……「第100回ハベス島・新人料理人決定戦! 優勝賞品はなんとミラストーン製のトロフィー!」……何ですってぇ!」
ウォルタが吠えた。
「おいおい、どいつもこいつもやかましいな。つか、勝手に他人の所有物読んでいいのかよ?」
グランが言った。
「そ、それもそうね。ごめんなさい、大声まで出しちゃって」
「わたくしもうっかりしていました。申し訳ございません」
ウォルタとフウが謝罪した。
「いえいえ、別にいいんですよ。それよりありがとうございます、書類を拾っていたただいて」
少女はお辞儀をした。
「ま、おあいこってとこだな」
フレイが笑顔で言った。
「そうね。ところで、その書類にあった決定戦?について聞かせて頂きたいのだけど、いいかしら? あ、私はウォルタ、旅の魔女よ」
ウォルタが尋ねた。
「お、いいんですか! ではこの大会新米実行委員である私、コロが腕によりをかけてご説明しましょう!」
「お、お手柔らかに頼むわ」
ウォルタが冷や汗を浮かべながら言った。
「はい! この大会は、ここハベス島で一年に一回、島外から新人の料理人の方を集めて、その腕を競い合う為に開催されているものです! 優勝者にはなんとこの島で一番の大通りに店を開く権利が与えられ、今年はさらに本大会100回を記念して作られたミラストーン製のトロフィーが送られちゃいます!」
コロが言った。
「ほぉ、店の権利はともかく、トロフィーはぜひともほしいな」
グランが言った。
「ですね。コロさん、その大会に出場するのになにか資格など必要なのですか?」
フウが尋ねた。
「いいえ、そんなものいりません! 我こそは美味しい料理を作れる! という熱い気持ちがあれば誰でも参加することができます!」
コロが答えた。
「なるほど、そりゃあ分かりやすい。そういことならさ」
フレイが言った。
「ええ、参加しない手はないわね」
ウォルタが言った。
「おっ、ということは皆さんも?」
コロが尋ねた。
「ああ、ウチらもその大会に参加させてもらうよ!」
フレイが言った。
「おお、ありがとうございます! それじゃあ手続きの方は私に任せて下さい! あと、ルールなどの詳細事項はこのチラシをご覧になって頂ければと」
「ええ、ありがとう……って、ちょっと!」
コロから紙を受け取ったウォルタが言った。
「どうしました?」
コロが尋ねた。
「……この紙に書いてあることが本当なら大会の開催日は」
「ええ、明日です! ご健闘をお祈り致します!」
ウォルタ達四人は開いた口が塞がらなかった。




