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魔女と廃船1

「まったくどうなっているのよ!」

ウォルタが叫んだ。彼女の身は今、小さな小舟の上にあった。そして、その小舟は今、吹き荒れる嵐の中にあった。


時は数時間前にさかのぼる。ミラストーンを探し求めるウォルタ一行はレーダーが指し示した新たな島に向かうため船着き場にやって来ていた。

「船が壊れてるだってぇ!?」

フレイが言った。

「ええ、海上で魔物の襲撃にあったらしくて、修理が終わるまでは船は出せないようです」

フウが言った。

「マジかよ、こっちは準備万端だっていうのによ。どうするよウォルタ?」

グランが言った。

「んー困ったわね、決して急ぎの仕事ではないとはいえ、いつ終わるかも分からない船の修理を待ち続けなくちゃならないなんて」

ウォルタが頭を抱えながら言った。

「なんか他に島に行く方法はないのか? 例えば空を飛んで行くとかさ」

フレイが言った。

「あほか、そんな便利な方法がありゃとっくに使ってるよ」

グランが言った。

「別の方法……ないことはないんですがね」

フウが言った。

「え! あるの、別の方法が!」

ウォルタが言った。

「え、ええ、別の船を使えばいいんですよ」

フウが言った。

「別の船だと? そんなもんあるのかよ?」

グランが尋ねた。

「え、ええまあ」

フウが冷や汗を浮かべながら答えた。

「ん? どうしたのよフウ?」

ウォルタが言った。

「い、いえ何でもありませんよ! さあ、皆さんついてきて下さい! その船の場所に案内します!」

フウはそう言うと早足で歩き出した。

「あっ、おい待ってくれよフウ!」

後を追うフレイが言った。

「……なんか気になるわね」

ウォルタが言った。

「だな、まあ取り敢えずついてってみようぜ」

グランが言った。二人も後を追って歩き出した。


「……フウ、これは一体?」

ウォルタが尋ねた。

「……えーと、これが別の船です、はい」

フウが答えた。船着き場から移動した四人の目の前には、海にたよりなさげに浮かぶ小さな小舟があった。

「こ、これ船なのか?」

フレイが冷や汗を浮かべながら言った。

「……こいつに乗って次の島まで渡れと? 中々面白い冗談だな」

グランが笑顔で握り拳を掲げながら言った。

「な、何ですか皆さんその反応は! 船ですよ船! 無いよりかはましでしょうが!」

やけくそになったフウが言った。

「そ、それはそうだけど。まさかこんな小舟だとは……」

ウォルタが冷や汗を浮かべながら言った。

「大丈夫かよこれ、沈むんじゃねぇのか?」

フレイが小舟を見ながら言った。

「……少しでも期待したアタシが馬鹿だったぜ」

グランが呟いた。

「むむむむ……あーそうですかそうですか、どうせわたくしはまともな船ひとつ用意できないダメ魔女ですよーだ」

小舟の前で屈んだフウが言った。

「わ、悪かったって、ごめんよフウ!」

フレイが苦笑いで言った。

「そ、そうよちょっと小さいけど船であることに代わりはないわ! どこでこれを手に入れたのかしら?」

ウォルタが苦笑いで尋ねた。

「……おや、聞きたいですか?」

顔を上げたフウが言った。

「え、ええ」

ウォルタが言った。

「では、お教えしましょう!」

勢いよく立ち上がったフウが言った。

(めんどくせー奴)

グランは呆れた。

「この小舟はわたくしが趣味の釣りで使っているものです。この島には、近海では活きのいい魚がたくさんとれるのでよく訪れているんですよ。だから専用の小舟を船着き場で預かっていてもらっているんです」

フウが意気揚々と説明した。

「専用の舟か、そりゃすげぇや! ってことはもちろん操縦も?」

フレイが尋ねた。

「ええ、お任せ下さい!」

フウがドンと胸を叩いた。

「そう聞くとちょっと頼もしく感じて来たわね……よし、決めた、次の島まではこの小舟で行きましょう!」

ウォルタが言った。

「お、おいマジかよ!」

グランが言った。

「ええ、ここで立ち往生ってのもなんだし、進めるなら先に進みましょう。フウ、操縦は頼んだわよ!」

ウォルタが言った。

「ええ、それこそ大船に乗ったつもりでいてください!」

フウが言った。


「……とか行ってたくせに、なんでこうなるんだよ!」

時は戻って現在、嵐の中で揺れる小舟の上でグランが叫んだ!

「ま、まさかこんな嵐に遭遇するはめになるなんて……」

船の壁にしがみついたフレイが言った。

「ふ、不可抗力ですよ! こんな大嵐の予報なんてどこにも出ていなかったのに!」

操舵室で舵を握りしめたフウが言った。

「こ、このままじゃ船がもたない! どうすれば!」

ウォルタがそう言った次の瞬間、四人を乗せた小舟は吹き荒れる嵐の中で何かにぶつかった。

「っ!? いったい何!」

そう言って顔を上げたウォルタの目に飛び込んで来たものは、巨大なボロボロの船だった。そしてその船は大嵐の中にも関わらず、微動だにしていなかった。

(船!? 全然気がつかなかった、いったいいつからこんな近くにこんなものが……とにかく!)

「こいつはラッキーよ! 皆、一端この船に避難しましょう!」

ウォルタが叫んだ。四人は乗って来た小舟をそのボロ船にくくりつけると、その船に乗り移った。

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