魔女と熱砂の島1
「よし、到着!」
船から降りたフレイが言った。ミラストーンを探し求める彼女とその仲間達はとある島へと上陸した。
「うぅ、なんだか暑いところね」
ウォルタが額の汗をぬぐいながら言った。
「それはそうですよ、ここサンド島は砂と熱の島と言われていて、海外でも随一、気温の高い場所なのですから」
フウが言った。
「こう暑くちゃたまらない、とっとと店かなんかで冷たい物でも腹にいれようぜ、ついでに飯もな」
グランが言った。
「お、早速食事とはグランってホント食いしん坊だな!」
フレイが言った。
「お、お前にだけは言われたくねぇよ!」
グランが言った。
「しかし、この暑さがこたえるのは事実ですね」
手元の魔法で生み出した風を自らの顔に当て、涼しげな顔をしたフウが言った。
「…とてもそうは見えないのだけど、まったく便利な魔法ね。ま、いいわ、取り敢えずどこかの店に入って作戦会議よ」
一行は船着き場を後にした。
「それでウォルタ、この島のミラストーンはどこにあるんだ?」
椅子に着席したフレイが尋ねた。一行はとある料理店にやって来ていた。
「そうね…レーダーはこの島の北側を指し示しているわ」
ウォルタが答えた。
「島の北側って確か、砂漠地帯だったよな。そんな砂だらけのところにあるって言うのか?」
グランが言った。
「それなんですが、先程、その砂漠地帯について面白い話を小耳に挟みましたよ」
フウが言った。
「面白い話? どんなのよ?」
ウォルタが尋ねた。
「その砂漠地帯にはどうやら隠し遺跡があるらしいんですよ」
フウが言った。
「隠し遺跡? なんだそりゃ?」
フレイが尋ねた。
「砂漠の砂の海の中に隠れている遺跡のことです。普段はその姿を見ることは出来ないのですが、何でもその遺跡の番人と呼ばれる存在を倒すことで、姿を表すことが出来るらしいですよ」
フウが言った。
「隠し遺跡か、いかにも怪しい場所だな。もしかしたらミラストーンもそこにあるのかもしれねぇ」
グランが言った。
「そうね、確証はないけど一面の砂の海の中を探すよりかは確実ね。情報ありがとう、フウ」
ウォルタが言った。
「いえいえ、礼には及びませんよ。わたくしも手っ取り早く仕事を終わらせて、この島の観光に時間をさきたいものですから」
フウが言った。
「…そっちが目的かよ」
グランが冷や汗を浮かべながら言った。
「なぁ、フウ、この島の観光名所ってどんなところがあるんだ?」
フレイが尋ねた。
「色々ありますよ、例えば…」
「失礼致します。ご注文のサボの実の盛り合わせです」
フウがそう言いかけた次の瞬間、料理の盛られた皿を手にした店員が声をかけて来た。
「お、来た来た…って、え?」
フレイは言葉を失った。それもそのはず、運ばれて来た皿に乗せられていたのは、何も手を加えられていない巨大な果物の実ひとつだったからである。
「おいおい店員さん、これはどういうことだ? この皿の上のもの、こいつがアタシらの頼んだサボの実の盛り合わせだって言うのかよ。とてもそうは見えねぇが」
グランがテーブルの上に置かれた巨大な果物の実を指さしながら言った。
「確かにそうは、見えないわね。失礼だけど、注文、取り違えたんじゃないかしら?」
ウォルタが尋ねた。
「ふふ、いいえ、こちらがそのご注文頂いたお料理でごさいますよ。今、開きますので、少々お待ちを…」
そう言うと店員はハンマーを手にとると、目の前の巨大な果物の実をそれで軽く叩いた。すると、割れた巨大な果物の実の中から、丁寧に切り揃えられた厚切りの果物の盛り合わせが現れた。
「うおっ! 果物の中から果物が出てきたぞ! すげぇ!」
フレイは皿の上の果物の盛り合わせ凝視しながら驚愕した。
「ほぉ、中々洒落たお料理ですね。切ったサボの実を元のサボの実の硬い皮の中に閉じ込めてあるとは、いやはやこれは驚かされました」
フウが言った。
「なんだよ、びっくりさせやがって。ま、でもうまそうだからいいけどな」
グランが言った。
「ええ、本当に美味しそう。それにサボの実と言ったら、果肉に含まれる栄養の豊富さで有名。早速頂いて、仕事前の景気付けと行きましょう」
ウォルタが言った。そして四人は運ばれてくる料理に舌つづみを打った。




