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魔女と草原の島1

「ふぅ、久しぶりの地上だわ」


船から降りたウォルタが言った。ミラストーンを探し求める彼女とその仲間はとある島へと上陸した。


「ああ、ここ数日、海の上だったからな。それでこの島にミラストーンがあるんだよな?」


フレイが尋ねた。


「ええ、ウォルタさんの持つレーダーによればここにあるはずですが……」


フウが答えた。


「その前に腹ごしらえだ。ずっと船の携帯食料しか食ってなかったからな。何かうまいもんでも食いに行こうぜ」


グランが言った。


「そうね、美味しいものでも食べて、気合いを入れましょう」


ウォルタが言った。そして四人は船着き場を後にした。


「うはぁ! 見たこともない美味しそうな料理がいっぱいだ!」


メニューを眺めながらよだれを垂らしたフレイが言った。彼女達はとある料理店にやって来ていた。


「ちょっと、食べ過ぎて動けなくなったりしないでよ」


ウォルタが言った。


「分かってるよそれくらい!」


フレイが言った。


「というか、そのよだれを拭けよ、恥ずかしい。ただでさえ他所者だってのにそんなんじゃ余計に舐められるぞ!」


グランが周囲の客を睨みつけながら言った。


「一番恥ずかしいのはそうやってそわそわしているあなたですよ、グラン」


フウが言った。


「んだとぉ! やるってのか?」


「いいですよ、上陸記念に一戦といきましょうか。表に出てください」


席から立ち上がったグランとフウが言った。


「あーもう、めんどくさいわねあんた達。いいからとっとと注文をしましょう」


ウォルタのひと声で二人は席に着き直した。





「ところでさあ、フウとグランは大陸の外って来たことあんのか?」


ドリアをほおばるフレイが尋ねた。


「アタシはあるにはあるが、滅多にないな。この島も初めて来たし」


パスタを口に運ぶグランが答えた。


「わたくしはボチボチありますよ。もちろん、この島のことも知っています」


スープに口を付けたフウが答えた。


「あら、そうなのフウ?」


フォークでグラタンをすくう手を止めたウォルタが尋ねた。


「ええ、ここ、グラス島は広大な草原が名所の島です。視界いっぱいに広がる草の海を堪能しつつ、その上を流れるそよ風を浴びるのはこの島でしか味わえないものですよ」


フウが言った。


「へぇ、流石フウ、物知りだな」


フレイが言った。


「……と、このパンフレットに書いてありました」


フウが懐から取り出したパンフレットをひらひらさせながら言った。


「……いつの間にそんなものを、相変わらず抜け目ないわね」


ウォルタが冷や汗を浮かべながら言った。


「ハハハ、情報収集は旅の基本ですよ」


フウが笑顔で言った。


「それで、その情報収集とやらで、ミラストーン探しの手掛かりになりそうな情報は手に入ったのかよ?」


グランが尋ねた。


「それが、これといってないんですよ。島のほとんどが草原で形成されているせいなのか、ミラストーンがありそうな怪しい場所も見当たりませんし」


フウが残念そうに答えた。


「そうなの、ま、まだこの島に着いたばかりだし気長に行くとしましょ……」


ウォルタがそう言いかけた次の瞬間、四人のテーブルの近くのテーブルから話し声が聞こえて来た。


「ねぇ、聞いた? あの古城のこと」


一人の女性が尋ねた。


「聞いた、聞いた、ドラゴンのことでしょ。ホント、迷惑な話よね」


向かいの席のもう一人の女性が答えた。


「迷惑なんてものじゃないわよ、街の近くにドラゴンが住み着いているのよ、いつ街に下りてくるかも分からないし、恐怖で夜も眠れないわ」


女性はそう言いながら手に持ったコーヒーカップを口に運んだ。


「……だとよ、聞いたかウォルタ?」


その会話を聞いたフレイが尋ねた。


「ええ、どうやら気長に行く必要はなくなったわね。早速、その古城とやらに向かってみましょう!」


グラタンを平らげたウォルタが言った。


「だな、何かミラストーンに繋がるヒントが得られるかもしれねぇ」


パスタを平らげたグランが言った。


「そうですね、そのドラゴンというのも見てみたいですし」


スープを飲み干したフウが言った。


「おっと、その前に忘れちゃならない大事な事があるよ!」


ドリアを平らげたフレイが言った。


「ん、何よ?」


ウォルタが尋ねた。


「デザートだよ、デザート! このグラ草団子って奴、皆で頼もうよ!」


メニューを指差したフレイ答えた。


「はぁ、そんなことだと思ったわ。まったくしょうがないわね」


ウォルタはため息混じりにそう言った。そして、四人はグラ草団子に舌つづみを打つと、そのドラゴンがいると言われる古城に向かった。

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