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魔女と海の精霊1

「う・み・だぁあー!」


「うるさい! 静かにしなさい!」


この日ウォルタとフレイの二人は、依頼を受けて、サラ川の遥か南に位置する、サラ海岸にやって来ていた。


「悪い、悪い。海に来るのなんて久しぶりだからさ、テンション上がっちゃって」


「まったく、今日は遊びじゃなくて仕事で来ているんだから、気を引き締めてよね」


「分かってるって。それで、依頼主との待ち合わせ場所どこなんだっけ?」


フレイが尋ねた。


「ええと、依頼書によると、三角の岩場の近く……だそうよ」


ウォルタが依頼書を眺めながら言った。


「岩場? ……なんか変わってるな。待ち合わせ場所なら、すぐそこの海の家とかでいいのに」


フレイが首を傾げた。


「ホントよね。まあ、何か事情があるんでしょう。フレイ、近くに三角の岩場はありそう?」


ウォルタが尋ねた。


「うーんと……あっ! あれじゃないか?!」


フレイが遠くに見える三角型の岩場を指差して言った。


「……間違いなくあれね。行ってみましょ」


「おう!」


二人は三角型の岩場を目指して歩き出した。





「……おかしいな、誰もいない」


岩場に着いたフレイが辺りを見回しながら言った。


「ここじゃなかったのかしら」


同じく岩場の周囲を見回すウォルタが言った。


「でもこの海岸、他に三角の岩場なんか見当たらないけど……」


フレイがそう言った次の瞬間、突如、岩陰から何者かの声が響いた。


「あのー、もしかして依頼を受けて来てくれた魔女の方々ですか?」


突然聞こえた声に、ウォルタとフレイは驚いた。


「え、ええそうよ、私はウォルタ、こっちはフレイ……取り敢えず姿を見せてもらえないかしら?」


「ああ! すみません!」


ウォルタの言葉に答えて、岩陰から先ほどの声の主である一人の女性が身を出した。女性は青のロングヘアーに、浮世離れした服装をしていた。


「初めまして! 私、この海岸近辺の海の精霊をやらせていただいている、ディーネと申します!」


ディーネは笑顔でそう言った。


「海の?」


「精霊?」


ウォルタとフレイの目は点になった。


「はい! 海の精霊です!」


ディーネは再び笑顔で答えた。


「……あの、申し訳ないけど、あなたどこからどう見ても人間にしか見えないのだけど」


ウォルタが頭を抑えながら言った。


「違います! 人間じゃありません! れっきとした精霊です!」


ディーネはウォルタに詰め寄ってそう言った。


「あ、ああ、そう言うあの……設定なのね、悪かったわ」


ウォルタはディーネから視線をそらして謝罪した。


「あー! 信じてないでしょう! 私の事をキャラの濃い観光大使か何かだと思ってますね、もう!」


ディーネは口を尖らせた。


「ウチは信じるよ」


フレイが言った。


「本当ですか⁉」


ディーネは目を輝かせた。


「ああ。精霊って幽霊みたいなもんだろ? ウチ、幽霊になら会ったことあるもん」


フレイの言葉にディーネは顔に冷や汗を浮かべた。


「幽霊とはまた違った存在なのですが……とゆうか幽霊に会ったことあるんですか⁉ そっちの方が信じられないですよ!」


ディーネはフレイに詰め寄った。


「あーもう、精霊でも幽霊でも何でもいいわ。依頼の話をしましょう!」


ウォルタが二人の間に割って入って言った。


「早速、確認するけど、依頼内容は海に潜む魔物の退治でいいのよね?」


ウォルタが尋ねた。


「はい、退治してもらいたい魔物はトライシャーク、と私は呼んでいます。サメの様な凶暴な頭部を三つ持つ巨大な魔物で、三日程前からこの海岸近くの海域に出現するようになったんです。その為、普段はお客さんで賑わうこの場所も、今は立ち入り禁止となってしまい、すっかり寂しい雰囲気の海岸になってしまったんです」


ディーネは俯きながら事情を説明した。


「なるほど、その魔物を退治して、この海岸を再び海水浴客でいっぱいにしたいわけだ」


フレイが言った。


「そうなんです! よろしくお願いします!」


ディーネが二人に深々と頭を下げた。


「分かったわ、任せておいて……それと、ディーネ、依頼書に魔物退治の支援という形で、私達に渡したい物があると記載されていたのだけど」


ウォルタが尋ねた。


「はい! これです!」


ディーネは懐から何かを取り出した。


「私の一族に伝わる、神器の一つです!」


そう言ってディーネが差し出したのは、二人もよく見知った、手のひら大の円盤状の石だった。


「……これってもしかして、魔導石?」


フレイが神器と呼ばれた物を見て尋ねた。


「マドーセキ? うーん、それは分かりませんが、過去、この海に魔物が出現した際に、この神器の力をもって、魔物を打ち倒したと言われているんです!」


ディーネが答えた。


「……この形状に、刻まれた魔法陣、魔導石で間違いないわね。どんな能力を与えるのかは分からないけど」


ディーネから受け取った魔導石を眺めながらウォルタが言った。


「ってことは、前も魔女が海に出た魔物を倒したってことか」


フレイが言った。


「そのようね。ま、とにかく助かるわ、ディーネ。この神器とやらは大きな戦力になる」


ウォルタがディーネに笑顔を向けて言った。


「本当ですか! お力になれるなら嬉しいです!」


ディーネが笑顔でそう言った。


「取り敢えずこれは私が使ってみるわ。それじゃあ二人共、トライシャーク退治、心してかかるわよ!」


「おう!」


「はい!」


三人は魔物の出現するポイントへと移動を開始した。

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