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魔女と双子2

それから数時間後、ウォルタ、フレイの二人とウラ、サラの二人は都市内の自然公園で偶然はちあった。


「どうやら、お互いまだ、子猫は捕まえられていないようね」


ウォルタがウラに言った。


「そのようね、最も私達は一度は見かけたのだけど」


サラがウォルタに言った。


「あら、あなた達も? 私達も見かけたのよ。まあ、逃がしまったのだけど」


ウォルタがフレイに視線をやると、フレイは面目ないと頭をかいた。


「しかし、あの子猫の態度ふざけているわ。まるで私達を煽って、鬼ごっこでも楽しんでるような感じだったし」


ウラが口を尖らせて言った。


「……確かに、あの子猫、フレイの持っていた餌に、目もくれていなかったわね」


ウォルタはふとさっきのことを思い出した。


「どうやら、その子猫ちょっと変わっているようね…………ん?」


そう言ったウォルタが、ふと公園の噴水に目をやると、その影に、先ほどの子猫の姿があった。


「いた! 見つけたわ!」


ウォルタがそう叫ぶと、他の三人も子猫の姿を確認した。そして子猫はあくびをひとつすると、ウォルタ達に背を向けて駆け出した。


「逃がさないわ!」


ウォルタが子猫に向かって走り出した。


「あ、ちょっと! 捕まえるのは私達の方よ!」


「今度こそ捕まえてやる!」


「皆さん、待ってくださぁい」


そう言って四人は子猫を追った。それからしばらく追いかけたものの、捕まえることはできず、とうとう子猫は郊外へと出て、近くの森の中へと入って行った。四人も後を追うように、その森へと踏み込んだ。


(何か妙だわ。この子猫の動き、まるで私達をどこかに連れて行こうとしているような……)


走りながらウォルタがそう思った次の瞬間、目の前の子猫が突如、足を止め、ウォルタ達の方に体を向けた。


「ん? 何、観念したって訳?」


ウラが息を切らしながら言った。


「なら、とっとと捕まえよう!」


フレイが猫に飛び掛かろうとしたとき、その背中にサラの声が響いた。


「待ってください! 周りを見て!」


サラのその言葉に三人は周囲を見回した。すると、猫の大群が子猫を中心に四人を取り囲むように展開していたのだった。


「何よこれ、どういうこと?」


ウラが周囲の猫の大群を見てたじろいだ。


「……どうやら、餌につられたのは私達の方のようね」


ウォルタのその言葉と共に、目の前の子猫は体を震わせると、巨大な猫の姿をした魔物へと姿を変えた。そして、それに呼応するように、周囲の猫たちも、小型の猫の姿をした魔物に変化した。


「なんだぁ⁉ 猫が魔物になったぞ!」


フレイが目を丸くして驚いた。


「子猫に姿を変えて、街の中に潜り込んでいたのね。どうりで餌に目もくれないはずだわ」


ウォルタ周囲に目を配りながら言った。


「……なるほど、私達は彼らの狩場に招き入れられたというわけですか」


サラが眉をひそめた。


「まったく、ちょっとどころか、だいぶ変わり者だったてことね」


ウラは顔に冷や汗を浮かべた。


「しかし、この数、まともに相手にするのは骨が折れるわね。どうしたものかしら……」


ウォルタは眉間にしわを寄せて唸った。


「どうやら、私達の出番のようね。サラ!」


「ええ、お姉様!」


そう言うとウラとサラの二人はウォルタ達の前に歩み出た。


「ちょっと、何する気?」


ウォルタが二人に尋ねた。


「私たちがあの巨大な奴の相手をするわ。あなた達は周りの小型共をお願い」


ウラが振り返って答えた。


「あのでかいのを、二人で倒せるのかよ?」


フレイが二人に尋ねた。


「いいえ、倒しません。しばらく、足止めさせるだけです」


サラがそう答えた後、ウラとサラの二人は、巨大な猫の魔物を挟むように移動した。


「行くわよ、サラ!」


「はい!」


二人は魔物に向けて両手を広げたかと思うと、それぞれの手につけた手袋の甲の部分に刻まれた魔法陣が光った。


「捕獲魔法発動!」


ウラの言葉と共に、二人の両手から光のベールのようなものが広げられ、魔物の頭上で、それぞれの放ったベールが結合し、そのベールは魔物を取り囲む半球状の結界に姿を変えた。


「捕獲魔法ですって?」


結界を見上げたウォルタが言った。


「そう、私達の得意とするのはこの捕獲魔法。手袋型の魔導具に魔力を込めることで、光の結界を形成することができるのよ。最も、結界の形成には二人分の魔力が必要だけど」


ウラが口元に笑みを浮かべて言った。


「さあ、私達がこの親玉の動きを封じている間に、お二人は他の魔物の殲滅をお願いします!」


サラがウォルタ達に言った。


「そういうことなら……」


「任せろ!」


ウォルタとフレイは魔導具を構えると、ウラとサラを守りながら、周囲の魔物を次々に蹴散らした。


「後は親玉だけよ! 二人共、準備を!」


ウラがウォルタ達に言った。


『ラピッド』


ウォルタが魔法銃にスキャンした魔導石から音声が鳴り、銃がガトリング型に変化した。


『ウェイブ』


フレイが魔法剣にスキャンした魔導石から音声が鳴り、剣が斬撃発射可能になった。そして二人は巨大な猫の魔物に向けて魔導具を構えた。


「行くわよ! 結界解除!」


ウラの掛け声と共に、ウラとサラの二人は魔物の周囲に張った結界を解除した。それと同時に、ウォルタ握る魔法銃から無数の銃弾が、フレイの振った魔法剣から炎の斬撃がそれぞれ放たれた。それらは魔物に命中し、魔物は光の粒子となって消えた。


「……一撃とは、あなた達、やるじゃない」


ウラがウォルタ達言った。


「へへん、そうだろ! でも、ウラ達の魔法もすごかったよ」


フレイがウラ達に笑顔で言った。


「ふふ、私達四人のコンビネーションの勝利ですね!」


サラの言葉に四人は笑顔を浮かべた。


「……とはいえ、子猫探しは振り出しに戻ったわね」


ウォルタの言葉に四人は大きなため息をついた。





結局、この日、四人は子猫を見つけられずに終わった。しかし、翌日、四人のもとに、目的の子猫は既に飼い主のもとに戻っていたことが伝えられ、ウォルタは二度と子猫探しの依頼を受けないと、心に決めたのだった。

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