二人の魔女4
「もう何本目! キリがないわね!」
木の根相手に二人は苦戦を強いられていた。
その根は何本倒しても、次から次へと大地を割いて現れるのだった。
「これじゃこっちの体力が持たないよ!」
魔導具は魔女の魔力を効率よく、より強力なものに変換するもの。
魔導具を持たないフレイはウォルタに比べて魔力の残量も少なく、魔法の威力も弱くなっていた。
「こうなったら本体を直接叩くしかないわ。木の根をたどれば本体につくはず。フレイ走るわよ!」
「それしかなさそうだ!」
二人は木の根の襲撃をかわしながら、その木の根の現れる方向に向かって走った。
それからしばらくして、二人は木の根の本体、ポカツリーの下にたどり着いた。
「で、でけぇ、その辺の樹木とは比べものにならないよ!」
フレイの言葉通り、ポカツリーは通常の樹木の何倍もある、巨大な木の形をした魔物である。
「資料で姿は知ってたけど、さすがに本物は迫力があるわね」
そう言って巨大な樹木を見上げる二人をよそに、ポカツリーは自身から生えた巨大な多数の枝を、二人目掛けて高速で伸ばした。
二人はなんとかそれをかわした。
そして、枝たちは辺りの地面を切り裂いた。
「……行くわよ!」
ウォルタは構えた魔法銃の標準をポカツリー本体に定め、その引き金を引きいた。
その銃口から、青色の銃弾が放たれた。
「これでど……嘘!?」
ウォルタは驚愕した。
彼女の放った銃弾はポカツリーに確かに命中した。
しかし、その命中箇所には傷ひとつついていなかったのだ。
(いくら相性が悪いっていっても、ここまで効かないなんて……)
「ウォルタ! ならウチが!」
フレイは右手のひらから生み出した火の玉を、ポカツリーに放った。
その火の玉はポカツリーの体に僅かだが傷をつけた。
「よし、これを当て続ければ!」
フレイは希望が見えたと言わんばかりに笑みを浮かべた。
しかし、その希望は一瞬で砕かれた。
ポカツリーはフレイを行動を模倣する様に、自らの枝を手に見立て、火の玉を、それもフレイの放ったものより大きなものを、彼女目掛けて放ってきたのだ。
「ちょ、何で!?」
「フレイ!」
フレイに向かって来た火の玉は青い閃光に、ウォルタの放った銃弾によってかき消された。