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魔女と熱烈ファン3

翌日。

ウォルタ、フレイ、アンの三人は、ザワの森の南に位置する、サラ川近辺に来ていた。

「今日の仕事はこの川の周辺にあるサラ石の収集よ。この辺りには、魔物の目撃情報はないから、気を付けるとしたら、ちょっと川の流れが強いことぐらいかしら」

ウォルタが言った。

「大丈夫ですわ。万が一ウォルタ様がお怪我をなされても、これがありますから」

そう言ったアンは、肩から小さなカバンをかけていた。

「なんだ、それ?」

フレイが尋ねた。

「救急バッグですわ。これでわたしくしが、ウォルタ様のお手当をして差し上げますの。あくまでウォルタ様のためですからね!」

「はい、はい」

フレイはこのやり取りを、もう慣れたと言わんばかりに流した。すると、ウォルタはフレイに近寄り、耳打ちをした。

「あんな態度取っているけど、小さな女の子なんだから、いざというときはたのんだわよ」

「心配すんなって、分かってるよウォルタ様!」

フレイはニヤニヤした顔で答えた。

「……次、その呼び方したらはたくわよ」

三人は石探しに赴いた。


「あったわ。あれね」

ウォルタは川辺に堆積した数十個のサラ石を指さした。

「ウォルタ様、わたしくしがとってきてもよろしくて?」

アンが尋ねた。

「ええ、構わないわ。お願い」

ウォルタの了承を得るとアンは石のそばに近づいた。

「なんだよ、ウォルタの仕事を近くで見るんじゃなかったのか?」

「ふふ、地図の件といい、本当は私たちの力になりたいのかもね」

「ま、本人は「ウチら」じゃなくて、あくまでウォルタのためと言うんだろけどね」

石を袋に詰めたアンは二人のところに戻ろうとした。

しかし、その次の瞬間、三人の頭上を大きな影が覆った。

そして、その影の主は二人とアンを遮るように地上に降り立った。

「……魔物!? なんで、こんなとこに!」

ウォルタは目の前に降り立った大きな鳥のような生物を目にして言った。

「なんでもいい! それよりアン! そこ動くなよ!」

そう叫ぶと、フレイは魔物の横に周り込み、アンに駆け寄った。

すると、魔物は翼を大きく羽ばたかせた。

それによって発生した突風により、アンの体はは流れの急な川へ吹き飛ばされた。

「きゃあぁ!」

「アン!」

フレイは地面を蹴って跳躍し、川に投げられたアンを抱きかかえた。

しかし、そのまま二人は川へと落ち、彼女達の姿は見えなくなった。

「……嘘よ。そんな、なんで……」

一人、取り残されたウォルタは動揺を隠せなかった。

しかし、そんなウォルタをよそに、魔物は再び大空へと舞い上がり、川下の方へと飛び立った。

「まさか二人を追う気!? させないわ!!」

ウォルタは構えた銃を魔物に向けたが、魔物は驚異的なスピードでその銃の射程距離から飛び出した。

「……なんてこと、私がアンに同行を許したばっかりに…………いや、今は二人を追わなきゃ!」

ウォルタは川下に向けて走り出した。

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