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魔女と魔物の島6

この日、夜明けのシャイン島は物々しい雰囲気に包まれていた。

それもそのはず、ヒカリ率いるギルド、バルバトスとその同士のギルド達が、島の東西に別れて部隊をつくり、決戦の準備にあたっていたからである。そして、もちろんウォルタ達一行も同様にその場に居合わせていた。

「いよいよね、ヒカリ」

ウォルタが魔法銃の手入れをしているヒカリに言った。彼女達の部隊は東側の担当である。

「はい。やれるだけのこと全てを、今日のこの戦いにつぎ込みます。必ずこの島を、姉さんを取り戻してみせる」

ヒカリが言った。

「ええ……ヒカリ、これを」

そう言うとウォルタはヒカリにひとつの魔導石を差し出した。

「……ウォルタさん?」

「それをあなたに預けるわ。だから、お互いこの決戦を戦い抜いて、勝利を納めたらそれを私に返しなさい、借りパクは許さないからね」

ウォルタが笑顔で言った。

「……はい、必ず返します。勝って必ず」

ヒカリも笑顔でそう返すと、その魔導石を受け取った。

「ヒカリさーん! ちょっとよろしいですかー?」

遠くでギルドのひとりがヒカリを呼んだ。

「はい! 今、行きます! ……ちょっと失礼しますね」

そう言うとヒカリは呼ばれた声の方向に駆けて行った。

「これだけの人数のギルドの長は大変ね……で、あなたはそこで何をたそがれているのかしら?」

ウォルタがすぐそばの小岩に腰かけたグランに尋ねた。

「べ、別にたそがれてねぇよ! ただちょっと……」

グランが言った。

「西側の部隊のフレイとフウが心配?」

「うっ……まあな」

「大丈夫よ。あの二人の強さなら、あなただって十分理解してるでしょ?」

「そりゃそうだけどよ。あいつらの部隊、西側の部隊は陽動なんだぜ」

今回、実施される巨木の破壊を目的とする作戦の内容はこうである。まず、フレイとフウが配属された西側の部隊が陽動として、島の西側から巨木のある神殿に向けて進撃し、巨木周辺の魔物の注意を引き付ける。そして、その隙にヒカリ、ウォルタ、グランの東側の部隊が島の東側から手薄になった神殿に乗り込み、巨木を破壊すると言うものだ。

「陽動部隊は必然的に多くの敵を相手にすることになる。こっち側に比べて遥かに危険度が上なんだぜ」

グランが言った。

「そうとは限らないわよ。敵の中枢に飛び込む私達の方が危険かもしれないわ。巨木に近づく以上、ヒカリのお姉さんとの衝突は避けられないでしょうからね」

ウォルタが言った。

「それも……そうだな。悪い、アタシとしたことが柄にもなく弱気になっちまってたみたいだ」

「別に無理もないわよ。はっきり言ってこの戦い、こちらの勝機はないに等しいわ」

「ウォルタ?」

「でも……それでも私達は勝たなくては行けないのよ。この島の為に、ヒカリの為に」

「……ああ、そうだな」

そう言うとグランは小岩から立ち上がった。


それから数分後、島の西側では、魔女達が各々の所定の位置で、進軍の合図を待っていた。

「うっし! 気合い入れていくよ!」

魔法剣を構えたフレイが言った。

「ええ! ……フレイさん、いつだったかザワの森で戦った二人組の鬼女のことを覚えていますか?」

槍を構えたフウが尋ねた。

「……ああ、覚えてるよ。あの強さ、忘れるわけない。そいつらがどうしたんだ?」

「わたくしの推測ですが、今回のこの島の占拠というおおがかかりな企てをヒカリさんの姉、アカリさんひとりで成し遂るつもりとは到底思えないのです」

「……あいつらもこの島に来てるってことか」

「おそらくですが。この戦い、想像以上に熾烈なものになると思われます」

「そうか……ま、それならそれで丁度いいかもね」

「フレイさん?」

「だってそれ、前回のリベンジができるってことだろ。あいつらに負けてから、ウチは強くなる為に特訓を重ねて来たんだ。その成果をみせつけてやるいい機会だよ!」

フレイが笑顔で言った。

「……やれやれフレイさん、あなたぐらいですよ。この決戦を前に笑顔でいるのは」

フウが笑顔で言った。

「へへ、何が来ようと関係ないね! 勝つのはウチらだ!」

「ええ、当然です!」

フレイとフウは頷き合った。そして、しばらくして部隊の進撃の合図が轟いた。


「そろそろですかね」

巨木がそびえ立つ、レイ神殿の中で謎の人物がつぶやいた。

「この戦いで勝利を納めれば、完全体のさらに上を行く鬼女の力を証明することができます。期待していますよ、アカリさん」

「……はい」

すぐそばのアカリが答えた。

「まあ、まずは余興です。彼女達、完全体鬼女の力、見せて頂きましょう」

そう言うと謎の人物は不敵な笑みを浮かべた。


一方、進撃を開始した西側部隊は神殿を目指して、襲い来る魔物を蹴散らしながら、山を駆け登っていた。

「うおりゃあ! どんどんかかってこぉい!」

フレイが炎を灯した剣を振り回しながら言った。

「流石に数が多いですね。ま、わたくしの手を煩わせるほどではありませんがね!」

竜巻をまとった槍を振り回すフウが言った。部隊の他の魔女達も、各々の力を振りかざし、魔物を蹴散らして行った。

魔女達の猛攻に魔物は次々に倒されていった。戦局は魔女側に傾いた。と、思われたいた次の瞬間、部隊の前方で衝撃波が起こり、周囲の魔女と魔物は吹き飛ばされた。

「っ!? なんだ!?」

フレイが言った。

「……まさか」

フウが言った。そして、衝撃のあった地点の土煙が晴れると、そこには二人の少女の姿があった。

「ひゅー! やってるやってる。俺らも混ぜてくれよ」

獣の様な鋭利な爪を備えた両腕を掲げたバジリが言った。

「……ちょっとバジリ、やり過ぎよ。魔物共まで一緒に吹き飛んじゃったじゃないの」

アルラが言った。

「知ったことかよ。俺の仕事はこの場の全てをぶっ飛ばすことだからな。ボっーとつっ立ってんとお前もぶっ飛ばしちまうぜ」

「……野蛮ね。まあ、その仕事内容は事実だけど」

「……やはり来ましたね。フレイさん!」

フウが言った。

「ああ、成長したウチの力、見せてやる!」

フレイは炎を灯した剣を構えた。

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