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二人の魔女1

森の中で一人の少女がたたずんでいる。


少女は青色の短い髪をしていて、腰には銃を携えている。


「死んでいるの?」


そう尋ねる少女の目の前には、赤い長い髪をした少女が倒れている。


「……生きてるよ」


赤髪の少女は答えた。




とある大陸、デッカランド。


その大陸を中心に広がる世界。


ここではほとんどの女性が、いわゆる魔法を使うことができ、彼女たちは魔女と呼ばれている。


魔女たちは、依頼を受け、魔物退治や人命救助などを行うギルド、魔女ギルドを生業としていて、そんなギルドの存在は大陸で暮らす人々には欠かせないものとなっている。


この日も一人の魔女が依頼を受け、ギルドが存在する都市、ドマンナカから、東にある森、ポカの森に赴いた。


しかし少女には思いもよらぬ出会いが待っていた。


「いやー、腹が減って死ぬとこだった。ありがとな!」


赤髪の少女はサンドイッチを口に運びながら言った。


「別に構わないわ、サンドイッチの一つや二つ。で、何でこんなところに倒れていたわけ?」


青髪の少女は尋ねた。


「それが、昼寝してたら荷物を盗まれちゃってな。食糧も取られて行き倒れてたんだ」


笑顔でそう答える彼女を見て、青髪の少女は呆れた。


「魔物が潜む森の中で昼寝なんて、普通、考えられないわね」


「そうか? まあなんにせよ助かったよ。ウチの名はフレイ」


フレイは少女に手を差し出した。


「……ウォルタよ」


ウォルタは仕方なくその手を握った。


「あなた、一人で魔物の潜むこの森に入って来たってことは、魔女?」


「ああ、そうだよ。これから都市に行って、ギルドに登録するところなんだ」


それを聞いたウォルタはますます呆れた。


「そんな大事な用事の途中で……先が思いやられるわね」


「むっ、それは余計なお世話だな。というか、お前も魔女なんだろ、なんてギルドに所属してるんだ? 仲間は?」


その質問に、ウォルタは間を置いて答えた。


「ギルド名はヴィネア。仲間は……いない。私一人よ」


「一人? それはおかしいな。ギルドってのは大勢の仲間からなるものだと聞いたんだけど」


ウォルタは一瞬言葉に詰まった。


「いいじゃない。一人でもギルドはギルドよ。それよりあなた、森は一人で抜けられそう?」


「ああ。けど一人じゃ退屈だから一緒について行っていいか?」


ウォルタは頭を抱えた。


「言っておくけど、私はこれから森に潜む凶暴な魔物を退治しなきゃならないの。あなたを守りながらは戦えないわ」


「大丈夫、足手まといにはならないよ。なんたってウチにはこの魔法剣が……あれ?」


フレイは辺りを見回し、荷物が盗まれたことを思い出した。


「はぁ。まあ魔女とはいえ、丸腰の人間を放っては置けないわね」


ウォルタは渋々フレイと行動を共にすることにした。

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