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神々と行く異世界物語  作者: 雪待涼介
第一章-ダレイ国-
8/28

Side-三柱-

「何から話したものか」

ここは王城の応接室。幸い侵入した時には顔を見られていなかったため、王子の客人としてすんなり受け入れられた。

「では、あなたたちとスサノオの関係を教えてもらいましょうか」

「私達とスサノオは・・・そうですね・・・兄弟、みたいなものでしょうか。厳密に言えば違うのですが、ここらへんはややこしいので・・・」

自分たちの出で立ちをここで話すとややこしくなるので笑いながらごまかした。

「じゃあ、なんでスサノオを追っているんですか?」

「それは、スサノオが去り際に残した台詞が気になったからですよ」

「それって?」

「端的に言えば、世界が破滅すると」

信じられないと言う顔をしたが、平常心を保ち次の質問を投げかけた。流石は時期王になるだけあって、こういった教育はしっかりされているようだ。

「なぜお父様は殺されなければならなかったんですか?」

「さて、それは分かりませんが・・・彼はむやみに人を殺める事はしませんよ」

「その根拠は?」

「彼は昔やんちゃしていましてね。それを反省し今は大人しくしているんです」

「それを信じろと?」

「信じるか信じないかはそちらの勝手ですが、少なくとも私達の知っているスサノオは無闇矢鱈に人を傷つけることはしなくなったんですよ」

そう言い紅茶を口にした。実際、天岩屋戸(あまのいわやど)の一件以来随分と大人しくなったのだ。

「・・・なぜスサノオはこの地に訪れたんですか?」

そうトロヴァ二世は問うた。何故、この地に訪れ父を殺さなければならなかったのか。素直な疑問をぶつけて相手の出方を窺った。

「それは分かりません。これは憶測ですが・・・スサノオはこの地に邪気を感じ取り、トロヴァ王の元へ訪れたのかと。そして彼は邪気の源がトロヴァ王にあったのではと考え殺めたのかと・・・もしくはトロヴァ王は呪われそれを浄化したか」

「呪い?」

この世界には10種類の魔法の他に、禁断の魔法が存在する。それは人の精神を蝕み狂人にすることも、呪いを付与し精神を乗っ取る事も出来るそうだ。その呪いを解くためスサノオは初代トロヴァ王と対決し呪いを解いたのだろうと推測した。

「けど殺すだなんて酷すぎる・・・」

「もしかしたら生きているかもしれんぞ?」

そう言ってシナツヒコが割り込んできた。

「基本呪いは浄化すれば良いだけなのだから殺す必要は無い。まぁ並大抵の人間には難しいがスサノオなら容易く引き剥がすことが可能だろう」

では何故トロヴァ王はいなくなったのか、疑問は付くことが無くますます謎に包まれていた。しばしの沈黙の後、痺れを切らしたタケミカヅチがこう話した。

「スサノオを捕まえるため俺たちはここへやってきた。だが、スサノオはもうこの街にはいないようだな」

そう言いクッキーを頬張った。その見た目とは裏腹に、小動物のように少しずつ囓っていた。

「何故分かるんです?」

「奴は特別な力を持っていてな。私達はそれを感知することが可能なのだ」

神の持つ力は強大であるが波長が違うので通常の人間には分からない。だが、神々なら神力の波長が合うためどこにいるのか分かるのだ。

「よくわからないけど、その力があれば直ぐに見つけ出せるんじゃ?」

「それがヤツの力が弱くなっててな。この世界のどこかにいるのは確かなのだが、何処にいるかまではわからないんだ」

「まるで自分たちは別の世界から来たと言う口ぶりですね」

「まぁ別の国から来たんですがね。それはそうと、王子は何歳になるんですか?」

そう言ってツラナギは誤魔化し話を続けた。

「今年で10になります」

「おやおや、随分とお若いですね。さぞかし大変でしょうに」

「いえ、執務や政務は爺や家臣の者たちがやっているので僕は座っているだけですよ」

そう自傷気味に話した彼は憂いを帯びていてツラナギとしては助けてあげたかった。だが彼は自分で解決しようとしていることを感じ取り、敢えて何も言わずにいた。

そしてしばしの沈黙の後、タケミカヅチが口を開いた

「ところで王子様よ、この国以外の国の事情ってのはわかるか?」

タケミカヅチなりに笑顔を作っているのだろうが傍から見たら脅してるようにしか見えなく、護衛の者たちが身構えた。

それを王子が静止し質問に答えた。

「現状分かっているのは友好国であるカーガル国と近隣のネマイ国、そしてラッテム国だけです。ラッテム国は新興国でして、それくらいしか分かりません」

「じゃあ他の国々の事を教えてもらおうか」

シナツヒコの問に王子は一瞬困っていた。どうやら各国の情報は政務を担当している者に全て任せているらしく、王子自身はあまり詳しくないのだそう。

「一国の王ならその辺しっかり自分で確認しておけよ」

彼なりに優しく助言したのだが、それでも言葉が悪く聞こえたらしく謝られてしまった。

「謝ることは無い。彼は君のことを思って助言したんだ」

「そうなんですか?」

シナツヒコがフォローし、王子はタケミカヅチを見つめた。

「お前の事はどうでもいいが、立派な王を目指すなら覚えておけよ」

ぶっきらぼうに言い放ちそれ以降黙ってしまった。

「えっと、ありがとうございますタケミカヅチさん!」

真っ直ぐな瞳で答えられたタケミカヅチの顔は少し赤くなっていた。

「照れてるな」

「照れてますねぇ」

「照れてねえよ!!」

そのやり取りが面白かったらしく王子の表情は和らいでいた。

「ところで、政務を担当している者を呼んできてもらいたいのですが・・・」

「すぐに呼びますのでお待ち下さい」

そうして護衛の一人を使いに出した。



数分後、扉を開き一人の女性が入ってきた。ちらりとこちらを見て、すぐに王子の元へと赴いた。

「お呼びでしょうか。トロヴァ王よ」

その女性は長身で金髪青眼であり長い髪を靡かせていた。その雰囲気はトロヴァ王子とは真逆でありながらも、どことなく似ているようでもあった。

「畏まらなくていいよレイア」

そう言うと、レイアと呼ばれた女性は再度こちらを見てきたがまた視線を戻した。

「しかし王よ」

「大丈夫だよ。この人達は誰にも言わないから」

そう言ってニッコリと笑った。どうやらこの二人には秘密があるらしい。それを知ったところでスサノオ探しに意味は無いので誰かに言うなんて事はないのだが。

「どうやら何か隠し事があるようですが、我々は誰かに言うなんて無粋なことはしませんよ」

「どうだかな」

第一印象は最悪らしい。もしかしたら侵入した時に顔を見られたのかもしれない。

「・・・ふぅ。護衛の者らは下がって良い。何かあったら私が対処する」

「「はっ!」」

そう言い護衛の者を下がらせた。



「それで、何か用?」

護衛が立ち去った後の彼女の口調は砕けていた。

「うん。実はこの人達に周辺諸国の事を話してもらえる?」

「それは構わないけど、一体この人達は何者なの?」

そう言ってこちらを見てきた。

「申し遅れました。私はツラナギと申します。彼女がシナツヒコでこちらの彼がタケミカヅチです」

「変な名前ね。どこから来たの?」

「遥か東の果て、高天原(たかまがはら)と言う場所からやって来ました」

「聞き覚えのない国ね・・・なんだか怪しいわ」

そう言ってじっくりとこちらを観察してきた。この国では珍しい服装であり、聞きなれない国からの訪問者。そして、先の襲撃及び王子の一時失踪。彼らが何かしたのではとレイアは思ったが口にはしなかった。

「まぁここからかなり遠い島国なので知らないのは当然かと。それで、聞きたいことがあるのですが」

そう言って本題を切り出した。

「色々聞きたいことがあるのですが、まずはこの国の騒乱について詳しく説明して頂けないでしょうか?」

ツラナギ等はギルドからある程度の情報を聞かされていたのだが、被害がどれくらいとかしか答えてもらえなかったのである。それは、その騒動が大規模であり皆逃げるのに必死だったからとの事。

「良いでしょう。少々長くなりますよ?」

「構いません」

こちらの了承を得ると、少し間を置きこう切り出した。

「この国は新興国とあって様々な襲撃が相次いでいました。しかし、そのことごとくを初代トロヴァ王、父がそれらを解決していたのです。しかし、突如アンデッドの大群がこの国へ進行を開始したのです」

父、と言う言葉からして彼らは姉弟なのだろう。そんな事を考え、無粋だと思い考えるのを止めた。

アンデッド。通常の攻撃は効かず魔法にめっぽう弱いとされる種族が大量に攻めてきた。それならば魔法使いが対処すれば良いのではと思っていたのだが、どうやらアンデッドは倒しても倒しても無尽蔵に湧いてきて魔法使い達による前線は崩壊。王都へと侵入を許してしまったらしい。それを見過ごす事はできず、初代トロヴァ王が直接大本を潰しに行こうとした時に、スサノオと名乗る人物がアンデッドを次々と刀で屠っていたのを目にした。

「父はスサノオと協力して大本を断つため近くの洞窟へと向かっていきました。大本を断ったのかアンデッド共は突然姿を消していき事態は収束していきました」

どうやらスサノオとトロヴァ王は協力していた立場であったようだ。だが、何故スサノオが協力者であるトロヴァ王を刺さねばならなかったのか未だに謎だ。

「ですが、数日経っても二人は帰って来ず調査に向かった兵達は父の死体を発見したんです。しかしそこにはスサノオの姿は無く代わりに彼が持っていたであろう剣が刺さっていました」

「それでスサノオがトロヴァ王を殺したのだと推測したのですね?」

「そう思っているのは一部の家臣達で私は別の考えがあったんです」

「それは?」

「スサノオは幻術に掛かったのではないかと」

幻術とは、禁忌魔法の一種で相手の精神に干渉し幻覚を見せることが出来る魔法である。この魔法を食らえばどんなに凄腕の魔術師でも引っかかる程強大な力を持つ魔法故、禁忌魔法の部類に入るらしい。

「しかし、あのスサノオが引っかかるとは思えないが・・・」

「だな。俺はその推測は間違っていると思うぜ」

そう言ってシナツヒコとタケミカヅチは否定した。いくら人へ転生しても神の力を全て失ったわけではない。精神干渉など神の前では無力なのだ。

「だったらどうして!」

「もしかしたら・・・いや、ありえなくは無いですね・・・」

何やらツラナギは考え始めたので、纏まるまで別の話題へと切り替えた。

「それはツラナギが考えているから、あいつの結論が出るまで話題を変えさせてもらうぞ」

「いや、でも!」

「俺達の国には急がば回れって言葉があってな。焦っても意味はなく逆に危険にさらされる事になるかもしれんぞ?」

「・・・そういうことなら」

渋々と言った表情でレイアは引き下がり、トロヴァ王子が口にした。

「確か洞窟には剣が刺さったままで抜けないと兵に聞いたことがあります。もしかしたらそれが何か関係があるのかもしれません」

その抜けない剣が何なのか分からない。だが、騒動以前にはなかったらしい。と、なるとスサノオが何かしらしたと考えるのが自然だ。

「その洞窟とやらに行ってみてはどうでしょう?できれば早めに確かめておきたいですし」

ツラナギには思う節があるらしく早々に行動に移ろうと促した。それをシナツヒコ、タケミカヅチは賛成した。

「では明日、その洞窟へと向かいましょう。今夜は皆さんここで泊まっても構いませんよ」

その言葉に甘え、今夜はこの城に泊まる事にした。

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